自治体職員の研修派遣
構想日本では、全国から自治体職員を受け入れる研修派遣を行っています。派遣の期間は1〜2年です。2009年からはじめて、これまでに14自治体、33人に来てもらいました。構想日本の研修派遣では、地域の課題を住民や他の自治体職員と考えたり、国の制度や政策を担当省庁の職員と議論するなど、多彩な経験や知識が得られます。また、さまざまなツールを活用し、リモート勤務も可能な環境を整えているので、自治体とは違った働き方も経験できます。これらの知見や体験をそれぞれの自治体に持ち帰り、役立てていただいています。
構想日本での学びは、頭だけの理解ではなく、身につきます。自分ごと化会議など構想日本が全国で手掛ける事業を通じて、自治体担当者が抱えている葛藤、官民問わず各分野で活躍する外部協力者の実体験に基づく助言、そして何より、生活実感から出てくる住民の本音に触れることができ、これらの抽象化されていない生の声から得た学びは、頭だけの理解にとどまらず身に沁み付きやすいのだろうと思います。市役所で日々の業務に忙殺されていると、ともすれば業務をこなすスキルばかり身につき、事業の目的や成果、それが住民生活の実態と合致しているかといった本質を見失いがちですが、構想日本で身につけた学びは、これらを見失わないための指針となってくれていることを実感しています。
自治体が複雑化・多様化する社会課題に対応していくには、これまで以上に民間連携が重要となります。全国で活躍する実績をもつ構想日本は、各自治体が共通して持つ課題や悩みをよく理解してくれていますので、自治体にとって心強い味方です。また、構想日本では自治体からの派遣も積極的に受け入れています。川西市でも令和元年から令和5年現在までに5名の職員がお世話になりました。官民のスピード感の違いに苦労した職員も多かったようですが、各分野における行政課題を民間の視点から考えることや事業評価の考えを学び、大きく成長したという実感を持っています。現在は、各々が構想日本での経験を生かして、職場の中心的な役割を担う存在として活躍しています。
高校を卒業し、淡路市役所に入庁してから7年目に構想日本へ出向しました。それまで6年間は教育委員会に所属しており、出勤初日は緊張のあまり食事が喉を通らなかったのは懐かしい思い出です。出向中は全国の自治体を訪れ、多くの人に出会い、市役所では経験できない刺激的な1年間を過ごしました。その中で、自分ごと化会議の回数を重ねるごとにその人の想いや姿勢、意識が変わってくる姿に驚き、「対話」の重要性を感じたことが特に印象に残っています。構想日本での1年間は私にとって何にも代えがたい【経験】・【学び】・【つながり】となり、微力ながら日々の業務の中でも「対話」の重要性を意識しながら、「まず、足を運ぶ」ことを信条に日々邁進しています。これからも構想日本の活動・思いが全国に広がることを願い、応援しています。
構想日本では、自分ごと化会議の準備・運営に関する業務を担当しています。住民目線で仕事をするのは行政職員の基本中の基本ですが、県庁の職員は、市町村の職員と比べても住民に接する機会が少なく、ともすればそのことを忘れてしまいがちです。自分ごと化会議を通じて他自治体の住民の方々の考えを聞くことで、大事な基本を再認識することができました。また、自分ごと化会議は、企業の経営者の方、他自治体の職員の方など、たくさんの関係者の協力を得て成り立っています。業務には綿密な調整と丁寧な情報共有が求められますが、県庁では出会う機会のない方々とのつながりを得ることができ、多くの刺激をもらえます。また、会議内容に一定のフォーマットはありますが、各自治体の特性に応じて様々なアレンジを加えるため、前例踏襲にこだわらず、常に「もっと良くできないか」を考えながら業務を行っています。この心構えは自治体での業務にも必ず役立つと思いますし、思いついたアイデアが自身の業務にすぐ反映できるのも、自治体に比べて規模の小さい構想日本ならではの魅力です。
※掲載の肩書きおよび所属先は2024年4月時点のものです。