概略
※記載している数字および自治体名は、 「住民が直接参加しない事業仕分け」を含めた総合実績です。
2024年3月末時点。
「自分ごと化会議」には2タイプあります。
①事業仕分けタイプ
「自分ごと化会議(事業仕分けタイプ)」は、行政が行っている事業が本当に住民の役に立っているのか「現場」の視点でチェックします。そして、個々の事業の無駄をなくし、さらに事業の根拠になっている制度や組織などの改革に結びつけていきます。
※「事業仕分けタイプ」には、「仕分け人と住民の参加者がチェックする事業仕分け」と、「住民は参加せずに構想日本が派遣する専門家がチェックする事業仕分け」があります。
②住民対話タイプ
ゴミ問題や防災など、地域のさまざまな課題を行政任せにせず、住民が自分たちの生活目線で議論し、解決策を考える場が「自分ごと化会議(住民対話タイプ)」です。課題の現状を知り、意見を出し合うことで、意見が違う住民同士の理解が深まり、出された意見を行政が取り入れるようになります。
日本は世界有数の「他人ごと」の国。
民主主義の大前提は、住民(国民)が政治・行政を「自分ごと」として考えることです。その点、日本は「他人ごと度」がきわめて高い国です。日本は過去半世紀以上、世界の中でも最も安定して「良い時代」が続いてきた国のひとつです。しかし、世の中がうまく回っていると住民(国民)にとって政治・行政が「他人ごと」<私に関係ない>になりがちです。そうすると、どうしても政治・行政は国民の方を向かず、声の大きい人や身内の意見が通ったり、無駄な行政が増えます。こんな状況が続くと、そのツケは結局、増税、汚職、財政破綻などのかたちで住民(国民)に返ってきます<私に関係ある>。
必要なのは「自分ごと化」できる場。
政治や行政の「他人ごと」を治すには、どうすれば良いのでしょうか。基本は、(1)みんな(住民、国民)が政治・行政に関心をもち、ふだんからチェックすること。(2)そのために政治・行政が実情を正直に示すこと(情報公開)です。その有力な方法が「自分ごと化会議」です。それまで政治家や公務員任せにしていたことを住民(国民)が直接話し合う会議を、構想日本はこれまで数多く行い、そのすべてで大きな成果をあげています。まちのことを行政に任せっぱなしにせずに、自分たちがもっと関わっていく。「自分ごと化会議」は、そのきっかけの場なのです。そして、構想日本は「自分ごと化会議」の現場でつかんだ住民(国民)の考えや思いを、政策に反映して提言し、実現していく活動につなげています。
参加者を抽選方式で募る「無作為抽出」。
カギは、参加する住民を行政など主催者側が選ばないやり方、つまり「無作為抽出(抽選方式)」で選ぶことです。具体的には、住民基本台帳で無作為に選んだ住民に案内を送り、それに応募した人が参加する方法です。従来の公募や行政が指名する方法ではいつも同じ人、行政が選びたい人が参加します。しかし、「無作為抽出」なら幅広いふつうの人が参加するのです。「関わってもいいけど自分からは・・・」「誘われれば参加してもいい」。そんな日本人の性格に、「無作為抽出」という手法は相性がいいのです。
「楽しく」自分ごと化すると、毎日が変わる。
ほとんどの参加者は人の前でしゃべった経験がありません。そのため、はじめはみんな少し不安顔です。しかし、だんだん「あんなこと考えている人がいるんだ」「それならこうも考えられる」とアイデアが浮かび、発言が増え、お互いにうちとけていきます。例えば、ゴミ問題がテーマなら「生ゴミはこう捨てたらいいんじゃないか」と家で考えたり、観光がテーマなら「この景色は、うちのまちの観光のウリになるんじゃないか」と、まちの中を歩いたりするようになります。社会にとって大事なことも、どこかに楽しいと思える側面がないと興味が続きません。「自分ごと化会議」がきっかけで、まちのことを考えたり、観察することが楽しくなる。そうすると、もっと自分ごとになっていくのです。