第155回
日本から無縁・孤立・貧困・閉塞感をなくそう「パーソナルサポーター」特区実現に向けて
2010.06.07
  • 岩永 牧人 (NPO法人ユースポート横濱)
  • 小川 泰子 (社会福祉法人いきいき福祉会)
  • 奥田 知志 (NPO法人北九州ホームレス支援機構 代表)
  • 川崎 あや (NPO法人アクションポート横浜)
  • 重徳 和彦 (内閣府行政刷新会議事務局 参事官補佐)
  • 清水 康之 (NPO法人ライフリンク 代表)
  • 鈴木 晶子 (NPO法人ユースポート横濱)
  • 玉城 勉 (財団法人沖縄県労福協 専務理事)
  • 日置 真世 (NPO法人地域生活支援ネットワークサロン 理事)
  • 湯浅 誠 (反貧困ネットワーク 事務局長)
  • コーディネーター:加藤 秀樹 (構想日本 代表)

自殺、貧困、引きこもり。現代の日本が抱える様々な問題の根底に広がる閉塞感をなくすにはどうしたらよいか。2010年当時、支援体制の整備が始まったパーソナルサポーターの提案を軸に、現場で活動している多数のゲストによる議論が行われた。

現状の大きな問題として各団体から共通してあがったのは、行政機関の縦割りによる領域間の連携や引継ぎが難しい点。例えば困窮者の悩みは必ずや複数にまたがるが、一つの支援機関を訪ねても総合的な対応が追いつかず、自殺に至ってしまうなど。また経済的困窮に加え、家族との関係や絆が切れることが増えているが、その絆を取り戻すことが難しい点。「ケアする人はいても、自分のことを常に気にかけてくれる人はいない」という話が端的にそれを表す。

今後の理想的な伴走支援に必要なこととして:
・一人の対象者に対し、複数の人間が連続的・多重的にケアする計画を立てられる
・日本でも対人ケアサービスが正当に評価され、対価が支払われる
・家族が担ってきたものを地域で整える
・血縁と地縁と有志のネットワ-クの組み合わせの度合いは地域で異なるが、それらを総合的にコーディネートする役割が立てられる
・「自立の概念」を就労だけでなく、社会的・人間的な範疇で捉える(就労がゴールでも、就労できないことが無意味でもない)
・もっと小さい頃から、一人ひとりが抱える問題の解決力を高められるような学習や解決のシミュレーションを積ませる
などが挙げられた。以上を官民一丸となって縦割り分野を超え、連携していくべきと話された。今後ますます「ケアのあり方」が問われる今、ニーズに応じた社会のしくみが求められている。