第81回
外国人から見た日本の政治
―時代の変わり目を迎えている日本の取組みを外からの目で語る―
2004.03.30
  • オ・デヨン (中央日報日本支局 東京特派員 / 韓国)
  • ジェームズ・ワグナー (ニューズウィーク日本版 副編集長 / アメリカ)
  • ジョナサン・ルイス (一橋大学大学院 助教授 / イギリス)
  • ピーター・D・ピーダーセン (㈱イースクエア 代表取締役社長 / デンマーク)
  • コーディネーター:山田 厚史 (朝日新聞社経済部)

イラクへの自衛隊派遣、少子高齢化など21世紀初頭の日本社会を、外国人はどう見たか。

日本社会への印象を問われ、ワグナー氏は「民主主義は本当に日本人の肌に合うか疑問がある。大正デモクラシー以外は、米国から押し付けられたもので本当に自分たちの政治、政府だと心から思っていないのかもしれない」と言う。オ氏は、「日本では世論の多数が同調すれば、反対の意見を持っても言い出せずかき消され、黙る雰囲気になる。それが利用され憲法改正が起きるのでは」と語る。

あまり「公」に対して意見を言わない日本人の気質と政治の関わりについて、ピーダ―セン氏はメディアに責任ありとした上で、「今の国債発行は例えて言えば、売上40億の会社が毎年80億の経費を何十年も使い、リストラも収入を増やすこともせず、社員や外部の金融機関から借金を続けている状態。その結果、売上20年分の借金を抱えているとはあまりに無責任。」と怒りを示す。オ氏は、「侍や江戸の文化の名残なのか、日本では根回しで非公式に決まることが多い。周囲の考えが分からない時は極力話さない。責任回避のためなのか。」と言う。

ピーダ―セン氏は、「デンマークは非常に税負担が高いがその約60%が返ってくる。随所で税金が戻ることが見えるため負担が多くても本質的に不満を持つ人は少ない。また投票率は約80%、自分の1票で政権が変わるという実感があり、政治が自分たちに近い」と語る。また「議員は民主主義ではPublic
Servantなのに『先生』と呼ばれる。みんな黒い車に乗るなど異様なことが多い。大臣の任期期間も短すぎる」。

オ氏は「二世・三世の議員が多すぎることに驚いた。韓国では元大統領の子だからといって国会議員になれるわけではない」と話す。ワグナー氏は「政治の中身より制度、形の方を重視している。概して制度のことを論じるのが好きで、本題になかなか入らない」。ルイス氏は「議員というのは代表か代理かの問題がある。もし議員が代表ならば国会全体が国民の鏡のようになるべきという問題がある。国会議員はその意味で国の代表ではなく選挙区の有権者の代理人。例えば選挙で女性だから女性の候補に投票するということはないはず。政治の女性進出は大いに良いことだが、女性議員を増やすべきか考える必要がある」と話した。