【No.1147】代表コラム ―政治家よ、大欲を抱け
2025.01.17

構想日本 メールマガジン #1147 2025.1.16発行

構想日本ジャーナル

TOPビジュアル:壁画絵師 木村英輝

TOPICS
◆代表コラム「政治家よ、大欲を抱け」
◆月刊コピー
◆活動報告<12月の自分ごと化会議>
◆おしらせ<1月の自分ごと化会議>
◆【編集後記】リザレポンのひとりごと会議

※バックナンバーは こちらから


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代表コラム「政治家よ、大欲を抱け」
構想日本 代表  加藤秀樹
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新年おめでとうございます。

新年の新聞には「民主主義の危機」的な記事が多く見られました。民意に対応できない政治、SNSの影響力、ポピュリズムなどについて書かれていますが、それ以上の分析や提案はありません。
そこで私なりに少し整理してみました。
今の民主主義の登場人物を大まかに言うと、民意を持つ国民、住民、その民意を受けて政策を作り実行する政治家、両者をつなぐメディア、でしょうか。
民意と国民については「自分ごと化会議」に関していつも話していますから、ここでは政治家について書きます。

昨年10月、構想日本は政治資金に関する提言(*)を発表し、その後年末まで、私は与野党のキーパーソンやメディアに説明して回りました。大方理解は得られるのですが、みなさん「でも、今はそれどころじゃない」という雰囲気なのです。予算の決定に向けて、与野党のかけひきなど目の前のことで手一杯なのは分かります。しかし、彼らは年中「それどころじゃない」状態で、社会の将来像やそのための政策議論は常に後回しなのです。そうやって5年、10年すぐに過ぎる。目の前の「小さな勝負」と選挙に終始し、それに達成感を感じているうちに、それで終わる政治家も多いのが現実です。国の運営を志しながらなんと「小欲」かと思います。
私が会う議員たちはみなさん能力も問題意識も高い人たちです。それでもこうなのは、政府や国会の運営方法、いわゆる政局、有権者の動向、そしてメディアの対応など理由はいくつも挙げられますが、彼ら自身がその状況を作り、変えられないわけですから、やはり政治家の「本分」についての意識の薄さを表していると言わざるを得ません。「大欲」を語る政治家は多いのですが、行動になると縮んでしまう。もっと欲張りになれ!と言いたくなります。

メディアについて一言付け加えると、新聞やテレビの政治記者の関心は専ら「政局」です。「小さな勝負」にぶら下がって小ネタを集めている。大きい政策テーマについては月並みな報道と解説を繰り返し、SNSがその間隙を狙うように煽るような発信をしているという構図でしょうか。

これを変えていくのは大変ですが、民主主義の危機と言うならきちんと考えないといけません。
政治の「本分」を取り戻すには、まず「政党のガバナンス」の確立が不可欠です。企業の場合、利益をあげることが目的だとしても、消費者、社員、株主さらには社会に対しても公正、誠実であることが求められています。そこで、まずはカネ=財務情報を正確に公表し、嘘がないかチェックされます。
最近は環境や人権に適切に対応しているかなど非財務情報も重要視されています。これら企業の「本分」を全うするために守るべきことの基本がコーポレートガバナンスだとすれば、政治家が政治の「本分」に還るために、政党に対しても同様のガバナンスを求め、そのためのルール(政党法など)を作るべきです。
政治資金(財務情報)に加えて、政党法で組織と行動規範(非財務情報)を律すれば、政治家も「本分」を全うできるはずです。
今の時代は、様々なメディアやSNSが社会の主役のように扱われています(そう言っているのもメディア)が、あくまでも情報の流通役です。したがって、政治の「本分」が固まれば、ポピュリズムやSNS上の煽情的な情報に対する抵抗力も強くなります。そうすれば、SNSを含むメディアと、そこから出される情報も淘汰されやすくなると思います。

以上が、「民主主義の危機」に対する私と構想日本の活動の背後にある考えです。
みなさまにとって、2025年が良い年になりますように、そして構想日本がささやかでもそのお役に立てるよう、スタッフ一同例年にもまして一生懸命働きたいと思います。

*政策提言の詳細は、構想日本ホームページ(リンク)をご覧ください。

「大欲」とは:
もともとは仏教の言葉で、自分だけの利益を求める=「小欲」に対して、世の中全体が良くなることを願うといった意味。


 

他の誰かが、きっとやってくれるはず
多くの人がそう思った結果、結局、誰もやらずに問題が放置されたまま。そんな経験、ありますよね。
まちの課題についても同じです。
行政や議員に任せておけばいい、という考えになりがちです。
誰かがやるの「誰か」を「自分」と思い、具体的に動いている人たちによってまちは支えられているのです。


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活動報告<12月の自分ごと化会議>
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●12月1日  群馬県前橋市「地域福祉市民ワークショップ」(全4回の2回目)
●12月8日  京都府与謝郡与謝野町「与謝野町自分ごと化会議」(全3回の1回目)
●12月14日 群馬県富岡市「とみおか未来会議」(全1回)
●12月15日 岡山県津山市「つやま未来デザイン会議」(全4回の1回目)
●12月15日 岩手県滝沢市「たきざわ自分ごと化会議」(全4回の1回目)
●12月21日 福岡県三井郡大刀洗町「大刀洗町自分ごと化会議」(全4回の3回目)
●12月21日 群馬県太田市「太田市自分ごと化会議」(全4回の3回目)
●12月21日 奈良県奈良市東部地域「奈良市版自分ごと化会議」(東部地域:全4回の3回目)
●12月22日 大阪府東大阪市「ひがしおおさか地方創生ラウンドテーブル」(全4回の3回目)
●12月22日 奈良県奈良市都祁地域「奈良市版自分ごと化会議」(都祁地域:全4回の3回目)
●12月22日 京都府与謝郡与謝野町「与謝野町自分ごと化会議」(全3回の2回目)

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おしらせ<1月の自分ごと化会議>

近くにお住いの方は、ぜひ傍聴にお出かけください。
事前申し込みが必要な自治体もございますので、詳細は各自治体のホームページ(リンクをクリック)をご覧ください(一部リンクがない自治体もあります)。
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●1月13日(月祝)京都府与謝郡与謝野町「与謝野町自分ごと化会議」(全3回の最終回)
【自治体HP】こちらをクリック

●1月19日(日)群馬県前橋市「地域福祉市民ワークショップ」(全4回の3回目)
【自治体HP】こちらをクック

●1月19日(日)大阪府東大阪市「ひがしおおさか地方創生ラウンドテーブル」(全4回の最終回)
【自治体HP】こちらをクリック

●1月25日(土)和歌山県かつらぎ町「かつらぎ町自分ごと化会議」(全2回の1回目)

●1月26日(日)奈良県奈良市東部地域「奈良市版自分ごと化会議」(東部地域:全4回の最終回)
【自治体HP】こちらをクリック

●1月26日(日)奈良県奈良市都祁地域「奈良市版自分ごと化会議」(都祁地域:全4回の最終回)
【自治体HP】こちらをクリック

●1月26日(日)福岡県大刀洗町「大刀洗町自分ごと化会議」(全4回の最終回)
【自治体HP】こちらをクリック

 

【編集後記】リザレポンのひとりごと会議

先日、オーストラリアで16歳未満のSNS利用を禁止する法案が可決され、2025年末に施行されるというニュースがありました。
個人的には、ぜひ日本も同様にしてほしい位良い案だと思います。「子どもにSNSが必要か」と問われれば、
あれば娯楽にはなるけれど「必要性」は感じません。(正直大人だってなくても生きてはいける)
大人でさえスマホ(SNS)依存が起きるのに、子供に理性的に使わせることが難しいのは当然だと思います。

スマホデビューは一般的に小学高学年から中学生にかけてが多いようですが、現代の子供は学校から帰っても常時SNSで繋がっていないと不安なため、
学校の人間関係から離れることが難しいそうです。他にもざっと思いつくスマホ利用のデメリットとして、SNS上でのいじめ、
保護者が把握していない人間と接触する可能性、ゲームやSNSへの依存、不適切なコンテンツへの容易なアクセス、など多数浮かびます。
デジタル教育の推進は素晴らしいけれど、健全な心の成長を阻まず進めるにはどうしたらよいのか、現代の保護者や社会の喫緊の課題だと思います。

◆リザレポン
構想日本広報宣伝リーダー/構想日本ジャーナル編集長。絵本作家としての一面も持つ。夫と二人の娘と地方在住。家では和食、外ではエスニック料理が好き。


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