- 【No.1092】★代表コラム★ 「長い目で、そして目の前の」 加藤秀樹
★代表コラム★ 「長い目で、そして目の前の」 加藤秀樹 #1092
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構想日本メールマガジン【No.1092】 2023.1.5 発行
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<目次>
【1】代表コラム「長い目で、そして目の前の」加藤秀樹
【2】この先1か月の活動予定
【3】各地からの現場レポート
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【1】代表コラム「長い目で、そして目の前の」
構想日本 代表 加藤秀樹
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新年おめでとうございます。
お正月にはお賽銭、お年玉などお金がつきものです。
だからというわけでもないのですが、少しお金の話を。
昨年の後半から、金利引上げ、円安、物価上昇などがたびたび話題になっています。
日本は、物価上昇率2%を目標に、ゼロ金利とか国債の日銀買入れなど、10年間あんなに無理しても達成できなかったことが、去年あっという間に「実現」しました。
その背景には世界中がコロナ対策で無制限といっていいくらいの景気刺激策をとったこと、加えてロシアのウクライナ侵攻で燃料や穀物の価格が急上昇したこと、日本の場合は、円安で輸入品の価格が高くなったことなどがあります。
お金の話はこのくらいにして、私がみなさんに一緒に考えていただきたいのは、ものごとを考える時間の長さです。
「出口戦略」という言葉を時々聞きます。
昨年末、黒田日銀総裁が、10年に及ぶ金融緩和の転換とみられる方針発表の会見において、これは「出口戦略ではない」と言いました。
出口戦略というのは、ある政策(例えば景気刺激)を採った場合、どこでそれを止めるか、どういうふうに転換していくかといったことです。
アメリカの金融当局などは、ある政策を始めた時(これが入り口)から出口戦略について言及することも珍しくありません。入り口には必ず出口を用意しておかないといけないという考えでしょう。長短両方の視点で政策を考える姿勢です。
一方、日本で出口戦略がきちんと議論されないのは二つの理由からではないかと私は思います。
一つは、出口=方針転換なので、出口に言及すると、これまで採ってきた政策や方針が否定される、あるいは間違っていたと言われるのを恐れている。
福島第一原発の事故までは事故の話はタブーだったという「無謬性神話」に通じるものです。
もう一つは、先のことを考えてない、あるいは考えたくない。
目の前の景気対策、政権維持、次の選挙…に追われてしまうのです。
朝令暮改を絵に描いたようなトランプ氏は特別としても、プーチン大統領や習近平国家主席のような長期政権を維持している人も含めて、世界のリーダーたちがこの意味で近視眼的になっています。
世の中が大きく動いているから人々は将来に何かの拠り所を求める。
政治は人気とり的にそれに小さく短く対応しようとするから、結局本当には人々の生活や気持ちには添えない。そんなミスマッチの繰り返しではないでしょうか。
出口状況は必ず来るのに、出口議論はしないから、いざという時に後追いになるのです。日本はその典型と言っていいと思います。
これでは戦闘は強いが戦略がないから敗ける、と言われた旧日本軍と同じです。
冒頭に述べたお金の話は、世界が直面している大きなうねり=地球環境を含めた社会の大転換が経済現象として短期的に噴き出してきたものでしょう。これに適切に対応するには、まず、大きいうねりがどういうものかよく見極め、長い眼で見た経済のあり方を考えたうえで目の前にある現象をこなすことが必要です。構想日本は、政権を担っているわけではないので長い眼でのものの見方に特に重きを置き、それをベースに今できることをする。つねにそれを心がけながら今年も活動していきます。
みなさまにとって今年が良い年になりますように、そして構想日本がささやかでもそのお役に立てるよう、スタッフ一同今年も一生懸命働きたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
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【2】この先1か月の活動予定
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(1)北海道芽室町 新嵐山スカイパーク自分ごと化会議
芽室町で初の住民協議会を実施。4回シリーズの会議の2回目が開催されます。重要な観光拠点である新嵐山スカイパークについて、無作為で抽出された町民の声を反映し、活用計画の見直しを目指します。
【日時】1月9日(月) 14時30分~17時30分(予定)
【場所】めむろーど2階セミナーホール
【テーマ】新嵐山活用計画について
【無作為抽出した人数・応募のあった人数】2,000人・46人(応募率2.3%)
☆詳細は芽室町HPよりご覧いただけます。
☆構想日本HPでも紹介しています
(2)群馬県太田市 自分ごと化会議2022
今回で6回目となる太田市の自分ごと化会議。4回シリーズの会議の3回目が開催されます。外国人居住者が多い太田市でその声を市政運営に反映するため、国外出身の市民も2名参加します。
【日時】1月21日(土)13時~16時(予定)
【場所】太田市役所本庁舎3階大会議室
【テーマ】防災
【無作為抽出した人数・応募のあった人数】600人・11人(応募率1.8%)
☆詳細は太田市HPよりご覧いただけます。
☆構想日本HPでも紹介しています
(3)岡山県新庄村 「村づくり自分ごと化会議」と「子ども会議」を同時開催
今回で3回目となる新庄村の自分ごと化会議。特色の1つは議会主催であること。さらに今年は「株式会社子ども会議(仮)」との連携という新たな試みが加わりました。今回のテーマである「子どもの教育環境づくり」を考えるにあたり、子供の視点を取り入れるため、村の小・中学生(7歳~15歳)が9人集まって議論を行い、その結果を自分ごと化会議に反映します。
☆「株式会社子ども会議(仮)」の詳細はこちらからご覧いただけます。
【日時】1月22日(日)10時~12時(予定)
【場所】≪村づくり自分ごと化会議≫ 新庄村公民館 大会議室
≪子ども会議≫ 新庄村公民館2階会議室
【テーマ】
≪村づくり自分ごと化会議≫
・子どもたちの未来につなぐ新庄村ならではの教育環境づくりとは
≪子ども会議≫
・前回考えたアイデアをもとに実行したことや、その時の気持ちを共有する
・実行したことの結果をもとに、次の行動について考え、大人に向けて発表する
【無作為抽出した人数・応募のあった人数等】
≪村づくり自分ごと化会議≫ 108人・10人(応募率9.3%)
≪子ども会議に参加する子どもたち≫ 公募に応募した村内の小学2年生~中学2年生:9人
☆詳細は構想日本HPよりご覧いただけます
(4)群馬県富岡市 一ノ宮地区・富岡地区円卓会議(自分ごと化会議)
11地区の公民館で無作為で抽出された市民が地域の課題について議論する円卓会議(自分ごと化会議)を開催。11地区のうち2つの地区(一ノ宮地区・富岡地区)で構想日本が会議をサポート。5回シリーズの会議の4回目が開催されます。
≪一ノ宮地区≫
【日時】1月28日(土)9時30分~12時 (予定)
【場所】富岡市社会教育館
【テーマ】地域運営や地域活動等における役員のなり手不足
【無作為抽出した人数・応募のあった人数】713人・12人(応募率1.7%)
≪富岡地区≫
【日時】1月28日(土)13時30分~16時30分(予定)
【場所】富岡公民館 大会議室
【テーマ】災害への備え
【無作為抽出した人数・応募のあった人数】282人・7人(応募率2.5%)
☆詳細は富岡市HPよりご覧いただけます。
(5)福岡県大刀洗町 大刀洗町住民協議会
2014年に全国で初めての住民協議会を実施し今年で9年連続の開催。無作為で抽出された町民で議論する4回シリーズの会議の3回目が開催されます。今回の特色は、台湾のJoinを参考にデジタル民主主義を進めている一般社団法人国民会議との連携。新たな試みが加わりました。
【日時】1月15日(日)13時~16時15分(予定)
【場所】大刀洗町役場3階大会議室
【テーマ】歴史ある住宅と城址の未来
【無作為抽出した人数・応募のあった人数】488人・27人(応募率5.5%)
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【3】各地からの現場レポート
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北海道芽室町 新嵐山スカイパーク自分ごと化会議
芽室町で初の住民協議会を実施。4回シリーズの会議の1回目を開催しました。
【日時・場所】12月18日(日) 14時30分~17時30分 めむろ新嵐山スカイパーク 国民宿舎 新嵐山荘 2階研修室
【テーマ】新嵐山活用計画について
【無作為抽出した人数・応募のあった人数】2,000人・46人(応募率2.3%)
【参加者の声】
・こうして役場が新嵐山の今後について悩んでいる、という事実がそのまま自分事の悩みと同じである、という認識を持った。
・無作為の抽選だが、予想に反してみんな積極的に意見を言っており、発言しやすい雰囲気であったと思う。
・他の町民の方から手厳しいご意見も出ていましたが、蓋を開けてみると事実と異なっていたり、『悪い噂話』がひとり歩きしている印象があった。
・本件を通し、これだけの町民と意見を交換し、交流を持てるという意味でも意義深い。
・今後少し大胆な意見が出ても、それを否定する空気にならないような会議であることがいいのでは、と思います。
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(編集後記)代表がコラムで言っている「長い眼でのものの見方と、それをベースにした具体的な対応」の大切さ。今年は、自分自身もそのことをより心がけて過ごしたいと思います。それと同時に、手段を目的化しない!ことも。今年に限らず今後ずっと意識すべき大切な指針だと、改めて感じています。
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