- 【No.992】ドイツのコロナ対策(1)―なぜ医療崩壊に至らなかったのか | 日本総合研究所理事長 翁 百合氏 | ※読者の声 1名※
【No.992】ドイツのコロナ対策(1)―なぜ医療崩壊に至らなかったのか 日本総合研究所理事長 翁百合氏
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構想日本メールマガジン【No.992】 2021.1.14 発行
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<目次>
【1】お知らせ
コロナ後の世界を展望する 「ツルツル世界とザラザラ世界 世界二制度のすすめ」 加藤 秀樹(著)発売中
【2】ご紹介
(1) ~クラウドファンディングのおしらせ~
全国初!住民による住民のための無作為抽出の住民協議会 「自分ごと化会議in松江」第2期
(2)日本の現状を国際社会に訴えている「藤田早苗さんの講演会」オンライン、大阪、東京など
【3】巻末寄稿文
ドイツのコロナ対策(1)―なぜ医療崩壊に至らなかったのか
日本総合研究所理事長 翁百合
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【1】お知らせ
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☆京都大学前総長 山極寿一氏 推薦文☆
「新型コロナウィルスによるパンデミックで立ち止まった時、見えてきたのはこれまで歩んできたグローバリズムと科学技術偏重社会のゆがんだ姿だった。
このままでは経済が回らなくなり金融危機に陥って世界も人間も崩壊する。これまで『構想日本』を主宰し、日本の政策に鋭く切り込んできた著者は処方箋として『ツルツル世界』と『ザラザラ世界』の二制度を提案する。
それは『生き物としての人間』を中心に据えた新しい国の在り方だった。」
「ツルツル世界とザラザラ世界 世界二制度のすすめ」加藤秀樹(著)発売中
まだご覧になっていらっしゃらない方へ、目次を少しだけご紹介します。
<目次>
〈世界のしくみを考える〉
第1章 世界二制度のすすめ
〈国のしくみを考える〉
第2章 「福祉国家×民主主義×経済成長」のトリレンマ
第3章 福祉国家の原点へ
第4章 多様な民主主義の始まり
第5章 私たちは生きているか
<本書の趣旨・概略> 加藤 秀樹
本書は、構想日本の20年に及ぶ、活動とその核となる理念をまとめたものです。
格差や貧困から民主主義の危機、地球温暖化にいたるまで様々な現代社会の弊害を貫く原因を整理し、これからの「世界の仕組み」「日本の仕組み」「私たちの生き方」のデッサンを具体的な事例を交えて示しています。
構想日本では活動開始以来、一貫して「低コスト高満足」社会を掲げてきました。それは、脱「お金で評価する社会」です。 “「生き物としての人間」復活”への一歩でもあります。その歩みを進めるために、私は「世界二制度」という仕組みを考えてみました。
私たちがこれから考えないといけない社会の方向性や、現場での活動の過程で見られた地域や住民の変化、課題解決に生かせる知恵の様々な例を本書で紹介します。
是非、ご高覧いただき、感想をお聞かせいただけましたら幸いです。
これからの生き方を模索している人、政治や経済の将来を考えたい人、地域を元気にしていきたい人などに是非、読んでいただきたいです。
構想日本HP → http://kosonippon.org/wp-manager/book20201207/
Amazon書籍販売 ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B08PX7K296/
ペーパーバックとKindle版(電子書籍)がありますので、ご留意ください。
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【3】ご紹介
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(1)~クラウドファンディングのおしらせ~
全国初!住民による住民のための無作為抽出の住民協議会「自分ごと化会議in松江」第2期
第1期(2018年~2019年)は「原発を自分ごと化する」をテーマに議論。
『9つの提案』としてまとめ、中国電力、松江市長、島根県知事、世耕経産大臣(当時)にお渡ししました。
今回のテーマは「自然エネルギー」
まちの問題を「自分ごと」として考える市民を増やしたい!自由に安心して対話する場を作りたい!
そうした思いで、「自分ごと化会議in松江実行委員会」は活動しています。
☆ 目標金額は 50万円 ☆
ご支援は、3000円から承っております。
リターンは金額によって
・自分ごと化会議in松江「提案書」
・詳細レポートデータ
・共同代表3人と1時間のオンラインCAFEの権利
・共同代表福嶋浩彦氏が、あなたのまちに出かけてプロジェクトの報告
ご支援いただいた資金の使い道は以下の通りです。
・会場使用料
・講師、問題提起者への謝礼
・無作為抽出者への会議案内 印刷・送付費用など
詳細はこちらから → https://readyfor.jp/projects/kaigi2027
皆さまにもこの取り組みに、支援という形でもご参加いただければ幸いです。
※自分ごと化会議in松江 第2期 事前勉強会(動画)
昨年11月に、自分ごと化会議の活動や意義を知っていただくための勉強会を開きました。
YouTubeでの視聴が可能です。こちらから → https://youtu.be/4vf0u3UPtz4
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(2)「藤田早苗さん講演会」オンライン、大阪、東京など
これまで秘密保護法や共謀罪、日本の表現の自由の現状を国際社会に伝えてきた藤田早苗さん。
その藤田さん(イギリス在住、国際人権基準の研究者)が昨年一時帰国、全国各地で講演を行っています。
詳細はこちら→ https://hyogen-tsutaeru.jimdo.com/
○大阪「世界から見た日本の人権 表現・報道の自由、ジェンダー、貧困、移民+」
日時:2021年1月16日(土)13:30~15:30
会場:岸和田市立男女共同参画センター
定員:60名(申込不要・当日先着順)
主催:岸和田女性会議 お問合わせ:080-4984-5226
○ZOOM開催 オンライン学習会 日本を外から学ぶ学習会 「現代日本に潜む貧困問題」
日時:2021年1月23日(土)19:00~21:30(日本時間)
登壇者:奥田 知志氏(NPO法人抱樸理事長)、藤田 早苗氏
参加費:400円 ※生活保護を受給されている方は無料に致します。別途ご連絡ください。
懇親会:講演後、オンラインで実施
お申し込みフォーム URL: http://ptix.at/mLMy6R
※お申し込みに関する注意事項など 詳細は下記を御覧ください。
チラシ http://www.nagoya.ombudsman.jp/himitsu/210123.pdf
学習会FBページ : https://www.facebook.com/japanfromoverseas
事務局連絡先 : sotokaramanabu.uk@gmail.com
○東京 ※日時、会場が変更されています
「世界から見た日本のヒューマンライツ」メディア・新型コロナ・女性・貧困・差別
日時:2021年2月13日(土)14:00~16:00(13:30開場) ※1月30日(土)から変更
会場:池上会館(京浜東北線 池上駅より徒歩4分) ※ラズ大森から変更
定員:40人程度
参加費:1000円(学生無料)
お申込みは中東まで nishinaka.neon2020@gmail.com
活動の詳細はこちら → https://hyogen-tsutaeru.jimdofree.com/
上記、ご来場の際はマスクの着用をお願いします。
発熱や咳、喉頭痛などの症状がある人は来場を控えてください。
☆彡☆昨年12月に行われたオンラインセミナーが視聴できます☆彡☆
「日本は本当に自由な国なのか?」~国連自由権規約委員会にNGO共同レポートを提出~
登壇者:望月衣塑子氏、藤田早苗氏、海渡雄一氏、近藤ゆり子氏
Youtube URL → https://www.youtube.com/watch?v=k-Fi1KHA02M&feature=youtu.be
■カンパのお願い■
今回はコロナの関係で従来の協力を頼めないことが多く、特に宿泊費などがかさんでいるようです。
ご協力いただける方は、いくらでも結構です。是非ともよろしくお願い申し上げます。
郵便振替
口座番号:00870-7-216543
〇八九(ゼロハチキュウ)店 当座 0216543
加入者名:日本の表現の自由を伝える会
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【4】 ドイツのコロナ対策(1)―なぜ医療崩壊に至らなかったのか
日本総合研究所理事長 翁百合
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欧州では現在、昨年秋以降の感染が再拡大しているが、ドイツは欧州主要国の中では新型コロナウイルス感染症の死亡率の低さが際立っている。特に昨夏までの第1波では、欧州諸国の患者をICU(集中治療施設)に受け入れるなど、ドイツは欧州域内でも重要な役割を果たした。その背景をみてみたい。
ドイツは人口当たりの医師数が日本の1.7倍と多く、家庭医制度が充実していることで知られる。しかし、コロナ対策で際立って効果を発揮したのは「集中医療態勢」である。人口10万人当たりのICUは、日本が5.2床であるのに対して、ドイツは33.9床と、日本の6倍以上の病床数が整備されている。
ICUの多さは医療コスト高の要因として批判の対象となっていたが、今回の危機にはこれが医療崩壊の回避に寄与した。また、注目すべきは病院に勤める「集中治療専門医」の人数だ。全体数をみると、ドイツが8,328人(2018年)に対し、日本は1,850人(2019年)と大きく異なる(日本医師会調べ)。人口当たりでみると、日本の集中治療専門医とは、実に7倍の開きがある。
さらにデータの利活用が進み、ICUなどの空き病床の状況を病院ごとにオンラインで把握していることから、迅速かつ効果的に、重症者にICUを提供しえた可能性が高い。集中医療の物的、人的面での充実、そしてデータを活用した効率的な運用は、危機時を考えた医療態勢のレジリエンスを考える上で、日本が学ぶべき点があるといえるのではないか。さらに、政府の機動的対応も目立った。検査態勢を早期に充実させるとともに、補助金などのインセンティブを活用して、重症病床を増やした。
ドイツではSARS(重症急性呼吸器症候群)を経験した8年前から、リスクシナリオを想定した危機対応計画が用意されていた。このため、コロナウイルスの正体が明らかになり始めると、感染症対策は迅速に展開された。
ドイツ政府は、まず感染状況を把握することが感染予防につながるという方針を定め、初期の段階からPCR検査体制を充実することを優先し、これを実現した。短期間でPCR検査体制が整備できた理由として、早期に全国で300もの研究所や大学病院が「検査スキーム」に参加したこと、連邦機関のロベルト・コッホ研究所から「検査の必要性」についての勧告が出され、多くの州がその勧告に従ったこと、そして、検査を公的医療保険の対象に認めたことや、250社もの民間検査会社がPCR検査を実施し、多くの国民が検査を受けられるようになったことなどである。
また、重症者対応のためにICUを創設する医療機関に対して、政府が積極的に支援を行ったことも奏功した。具体的には病院のインセンティブを考慮し、コロナ用ICU創設を補助金(1床600万円=5万ユーロ)で支援し、全国で2.8万床だったICUが一気に4万床に増床できた。
ドイツでは科学的な問題に対しては、19世紀頃から専門家が政府に助言する仕組みがあり、その知見が尊重されている。昨年初から専門的な知見を政策に生かすために、感染拡大の初期から疫学者などの専門家が、内閣に毎週助言する仕組みが作られた。特に、ロベルト・コッホ研究所の専門家が中心的な役割を果たし、政府と常時連携をとりながら感染拡大防止対策を支援した。感染防止対策では、専門家は検証したエビデンスに基づき意見を述べることに徹し、最終的な判断と責任は政府に帰する形で政策が執行された。
ロベルト・コッホ研究所は、3月下旬に「全国規模流行状況住民保護法」に基づきその役割が強化され、同研究所に連邦政府と州、その他の機関との協力を調整し、情報交換を行う権限などを持たせた。同研究所の専門家以外にも積極的に助言を行ったのは、PCR検査の必要性をメルケル首相に直接進言した、世界的に著名な疫学者クリスティアン・ドロステン博士である。博士は専門家の立場から国民に向けて、コロナウイルスやその感染防止策などについてポッドキャストを通じて説明を行い、多くの国民がこれをダウンロードし、最もよく視聴されるポッドキャストとなったという。
(つづく)
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翁 百合(おきな ゆり)
日本総合研究所理事長。京都大学博士(経済学)。84年日本銀行入行。日本総合研究所に移り、主席研究員などを経て2018年から現職。
この間、慶應義塾大学特別招聘教授、産業再生機構産業再生委員、規制改革会議委員、未来投資会議・構造改革徹底推進会合「健康・医療・介護」会合会長などを歴任。現在、金融審議会委員、産業構造審議会委員、内閣府「選択する未来2.0」懇談会などを兼任。著書に『金融危機とプルーデンス政策』日本経済新聞出版社など。
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(編集後記)
政府は3月にも不特定多数を対象にした新型コロナウィルスのPCR検査を始める方針。
どれくらいの規模なのかなど、詳細はこれからのようです。ちなみに、
日本のPCR検査数は人口あたりの数で、世界150位前後を推移しているそうです。
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********** 読者の声 **********
翁百合氏のドイツのコロナへの対応を紹介した記事、
日本と同様家庭医の医療体制であるにもかかわらず、
日本では小泉、竹中体制下で過度の効率化、
コロナの問題は公と私の役割分担の考え方を見直すいいきっかけに
もう一つ興味深かったのはロベルトコッホ研究所が、
そうすれば過度の自粛・
構想日本 会員 N氏