- 【No.92】選挙を巡る課題(後編)
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選挙を巡る課題
JIメールニュースNo.92 2003.4.18
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■■ 目次 ■■
1.《統一地方選挙に思う》選挙を巡る課題(後編)
財団法人松下政経塾第22期生
(構想日本会員)
吉田 健一
2.《読者の声》
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1.《統一地方選挙に思う》選挙を巡る課題(後編)
財団法人松下政経塾第22期生
(構想日本会員)
吉田 健一
●選挙制度の問題点
前編で、低投票率にはそれ相応の理由があり、起死回生の策はないと
書いたが、それでも、いくつか投票率を上げるために選挙制度を改める
余地はあろう。現在の選挙運動の方法は、果たして有権者の政策や人柄
を本当に理解できるようになっているか疑問である。街宣車の連呼では、
有権者には候補者の名前しか伝わらない。今のような選挙運動では、有
権者が候補者の政策の内容や実行力といった政治家としての資質を見抜
くための情報を得ることは難しい。
金のある候補者が有利にならないように、選挙の公正さを保つ事は重
要だ。そのため、選挙運動にルールを設け、適正な選挙運動が行われる
ようにすることは必要であろう。しかし、現在のルールは、細かい規制
が多く定められ、候補者は画一的で窮屈な選挙運動を強いられている。
その結果、有権者は投票に必要な候補者情報を充分に入手できないので、
先に書いたようにイメージで入れることになってしまう。
選挙期間中でも、立候補する人間が自由にいろいろな場で有権者と交
わって話し合いをするというのが理想的な姿だと思う。今の個人演説会
などは開かれていることを知らない有権者も多いし、候補者もよほど動
員力のある人でないとコンスタントに多くの会場に人を集めるのは難し
い。戸別訪問の解禁や、夜の居酒屋に出向いて行って候補者が有権者と
一杯やりながら語り合えるようにするなどの(外国でパブで候補者と市
民が交わるように)、思い切った改革も必要だ。
現在の公職選挙法を根本的に変えてみてはどうか。どこの国の選挙
ルールもこれほど厳しくないが、日本の選挙が世界一クリーンなわけで
は決してない。現行制度の規制緩和で問題が増えると恐れるのは、役所
の通弊である。
●立候補者に求められるもの
制度や有権者の意識も問題だが、出馬する人間の責任は何にも増して
大きい。立候補する側の人間は絶えず、有権者の様々な層の意識を出来
るだけ汲み取ろうという努力を続けなければならない。私事に近くなる
が、今回は政経塾の私の同期や先輩も出馬した。私自身、研修をかねて
友人である複数の塾関係者の選挙事務所に入り、当選を目指して闘った
が、彼らも議員になる事だけが自己目的化する「当選至上主義」に
なってしまっては意味がない。
選挙に出ようと思った時の原点を大事にした志高い政治家になれるか
否か、同志と謂えどもその辺りは常に厳しく見ていきたい。
統一地方選を機に、2週にわたって、選挙を巡る課題について考えて
きたが、私がこれまで指摘してきた問題は、特に目新しいものではなく、
よく指摘されている問題である。しかし、健全な「政治」を実現するの
ためには、こうした“当たり前の問題”を放置せず、ひとりひとりの有
権者が当事者意識をもって意識改革、制度改革を進めるために、声をあ
げていくことが大切ではないか。
政治に不信感を募らせているだけでは、私たちの社会は何も変わりら
ないのだから。
*吉田健一氏プロフィール
1973年京都市生まれ。立命館大学大学院政策科学研究科修士課程修了。
その後京都市立中学校講師(社会科)を経て、2001年、財団法人松下政
経塾へ第22期生として入塾。教育問題をテーマに活動。
ホームページは、 http://www.mskj.or.jp/profile/yoshidake.html
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2.《読者の声》
当メールニュースNo.87「生物としての「ヒト」の理解」(2003.2.28
発行)について、読者の中村元 氏(伊勢志摩NPOネットワークの会
会長、 伊勢志摩バリアフリーツアーセンター理事長)から感想がよせ
られました。
「生物としてのヒト、興味深く読ませていただきました。生物学的な見
地からでなくても、人をヒトとして考えると、例えば社会が補完性の原
理によって成り立っている意味も説明しやすいし、子どもの教育、環境
の改善についても方向性を持たせやすくなります。科学と人文学のバリ
アを取るだけで、生活者起点の学問になりますね。」
※ 中村元氏のホームページ「地球流民の海岸」は、
http://www.e-net.or.jp/user/rumin/
J.I.メールニュースでは、みなさんからのご意見、ご感想をお待ちし
ています。
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