【No.89】市町村合併-国会議員はこのように考えています
2003.03.14

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市町村合併-国会議員はこのように考えています
JIニュースNo.89  2003.3.14
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■■ 目次 ■■
1.《地方制度改革》 市町村合併-国会議員はこのように考えています

構想日本政策担当ディレクター 冨永朋義
2.《2月25日第68回「JIフォーラム」の報告》
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1.《地方制度改革》 市町村合併-国会議員はこのように考えています
構想日本政策担当ディレクター 冨永朋義
●盛り上がる市町村合併の議論
現在、各地で「市町村合併」の検討が行われています。合併の準備を進
めているところ、一律の人口規模を基本とする合併は地域の実情に合わな
いと反対するところ等々、自治体や住民の対応は様々です。また、市町村
合併に関するフォーラムも、各地で開催されています。先月、長野県の栄
村で行われた「小さくても輝く自治体フォーラム」に参加しました
( http://www.janis.or.jp/users/sakae/ )。
600人を超える参加者で、会場は一杯でした(うち町村長は約50名、
地方議員は約100名)。町村長からは、市町村合併の進め方に対する意
見とともに、それぞれの「まちづくり」の活動についての紹介がありまし
た。そこでの共通のメッセージは、「小さいから『こそ』輝ける」という
ものでした。
●ところで、国会議員の考えは?
市町村合併は、住民の生活に直接影響を及ぼす大問題であると同時に、
国の根幹にかかわる重要な政治テーマです。”基礎となる自治体の団結心
が旺盛であるか否かは、国民の団結に大きく影響する”という、群馬県上
野村の黒澤村長のご指摘は、その通りだと思います。19世紀初頭に、民
主政治の本質と限界を見抜いたトクヴィル(フランスの歴史家、思想家、
政治家)も、”大国では愛国心が小国においてよりも発展もしてないし、
強力でもない・・・風俗の頽廃、個人的利己主義、利害の混乱などは、ほ
とんど常に国家の巨大なことから生ずる災難である”(『アメリカの民主
政治』)と言っています。
しかし、事の重要さの割には、市町村合併に関する国会議員の考えが、
あまり自治体や住民に伝わっていないようです。栄村のフォーラムでも、
“これだけ議論が巻き起こっているのに、合併を含む地方制度全体のあり
方を最終的に決める国会から何も意見が出てこない。”(A村長)、“地
元に帰ってきてもノーコメント。賛成とも反対とも、まったく何も言わな
い。”(B町議会議長)、などの声が聞かれました。
構想日本は、「提言・実践首長会 合併部会(議長:逢坂二セコ町
長)」と「(社)経済同友会」と共同で、2月より「市町村合併に関する
国会議員アンケート」を実施しています。以下は、途中結果の一部です
(3月10日時点、回答数153)。
(1)『 現在の市町村合併の進め方』に対しては、「慎重派(賛成だが
慎重に)」がトップ(37%)、その後に「反対派」(31%)、「積極
派(どんどん進めるべき)」(30%)が続く
(2) いわゆる”西尾私案”に見られるような『中央主導型』の合併推
進に対しては、60%が反対(西尾私案=平成17年4月以降、新たな法
律により、一定の人口規模を持たない自治体を解消し合併を進める、など
を内容とする案)
(3) 『財政健全化の手段としての合併の意義』については、約50%
が否定的
今後も、引き続き回収を進め、できるだけ多くの議員の声をお伝えした
いと思います。みなさんの選挙区の議員はどう考えているのか、是非ご覧
ください( http://db.kosonippon.org/ )。
また、「市町村合併に関する市町村長と国会議員とのディスカッショ
ン」を、今月の25日午後3時より、衆議院第二議員会館第一会議室にて
開催する予定です。参加予定者は、逢坂町長(北海道ニセコ町)、穂坂市
長(埼玉県志木市)、高橋村長(長野県栄村)、国会議員ほか、です。議
論の様子は、後日ホームページでお知らせします。
● 本質的な議論を進めるべき
市町村のあり方を考える時に、「合併」はひとつの方策でしょう。しか
し、地方の財政悪化をもたらした構造的な要因は、かねてから指摘してい
るように、国から地方に対して、“仕事(指示)”と“カネ(補助金や交
付税)”がセットで下りている仕組みにあります。先週のメルマガでお伝
えしましたが、先月26日に、構想日本代表の加藤が、衆議院予算委員会
の公聴会で、「市町村合併」と「国と地方の税財政改革」との関係につい
て意見を述べました(資料は、
http://kosonippon.org/wp-manager/doc/pdf/20030304.pdf )。
国と地方の税財政を見直す時には、Aは変えるがBはそのまま、といっ
た“つまみ食い”ではダメです。それでは、カネの流れが複雑に入り組ん
だ仕組みの問題の本質に迫ることはできません。結局、弱いところへのし
わ寄せに終わるだけです。
構想日本は、改革に不可欠なすべてのポイント(地方がやるべき仕事に
対する政府の基準や規制の廃止、交付税や補助金の全面的見直し、財源や
債務の配分の見直しなど)を網羅した提言を、今年半ばを目途に公表する
予定です。ご期待ください。
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2.《2月25日第68回「JIフォーラム」の報告》
40年前の日本にはなかった花粉症、気管支喘息、アトピー。これらの
病気の患者は、最近特に急増し続け、今や”国民病”になっています。寄生
虫学の藤田紘一郎氏によると、旧東ドイツと旧西ドイツを比較した場合、
旧西ドイツの方が花粉症の人が多く、その原因は、同国が早くから文明化
してカイチュウを排除してきたためです。私達の体は、病原菌や細菌など
の危険物に取り囲まれており、そうした”外敵”から身を守るために備わっ
ている機能が「免疫」です。”きれい社会”は、そうした「免疫」機能から
本来の”外敵”を奪ってしまうため、花粉のような本来は違うものを “外敵
“としてとらえて反応してしまうのです。
だから、藤田氏ご自身の腸内に”飼って”いるサナダムシ「きよみちゃ
ん」は、「(藤田氏が)アレルギーやガンにならないようにしている。こ
う考えると、抗菌グッズ、抗生物質による治療など、日本人の『清潔』志
向はいき過ぎ。」と、氏は警鐘を鳴らします。
また、環境工学の小野芳朗氏は「自分の体や家は、きれいにすることに
余念がないが、それ以外は気にしなくてもいいというシステムが(社会全
体に)できあがってしまっているところに、今の環境問題の根っこがある
のではないか。」
「いきいき」編集長片寄斗史子氏は「本来は、自分の体で自分の『きよ
みちゃん』に聞かなければいけないことを、頭でやっている。」と、現代
社会への「警告」を語って頂きました。
日本人は、一般的に清潔好きな国民だと言われています。ある便器メー
カーは、「抗菌」は実は体に悪い(肌がかぶれる)と知りながら、「抗
菌」と謳わないと売れないので、やむを得ず、商売の為に売ったという話
です。
「抗菌靴下」「抗菌ブラウス」「抗菌まな板」など、抗菌グッズに躍ら
されがちな私たち消費者も、自らの行動について反省すべき点がありそう
ですね。
<討論者>
小野  芳朗(岡山大学環境理工学部教授)
片寄 斗史子(「いきいき」編集長、兼コーディネーター)
藤田 紘一郎(東京医科歯科大学医学部教授)
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