【No.84】スペインを通して見る、日本の姿
2003.02.07

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スペインを通して見る、日本の姿
JIメールニュースNo.84  2003.2.7
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■■ 目次 ■■
1.《スペインで感じたこと》スペインを通して見る、日本の姿
慶應義塾大学総合政策学部2年
吉岡 直美
(構想日本非常勤スタッフ)
2.《J.I. Action Summary》
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1.《スペインで感じたこと》スペインを通して見る、日本の姿
慶應義塾大学総合政策学部2年
吉岡 直美
(構想日本非常勤スタッフ)

昨年の夏、語学研修のためにスペインに約40日間滞在してきました。短
期間ではありますが、観光ではなく異文化の中で生活をし、スペインを肌
で感じ、また日本について客観的に見つめなおす良い機会になりました。
私が見たスペインを一言で表すとすると、「焦らない、心が豊かな国」
となります。なぜこう感じたのか、エピソードを交えて紹介します。
●“密接な関係”
私が滞在していたのは、首都マドリッドからバスで2時間半ほどの、サ
ラマンカという都市でした。サラマンカの旧市街地全体が、世界遺産に登
録されているという、歴史ある街です。
サラマンカを歩いていて気が付いたのは、マンションだらけだというこ
とです。都市によっては一軒家が主流のところもありますが、サラマンカ
ではマンションがほとんどでした。
サラマンカに住む人が、マンションに住む理由をこう教えてくれました。
「私たちは家族や恋人はもちろん、友達ともキスをしたり抱き合ったり、
とっても距離が近いでしょ。それと同じで、皆と仲良くくっついて暮らし
たいのよ。」
私はこの話を聞いて、支え合って生きていくという、人々の強いつなが
りを感じました。現在の日本では、隣人の顔も知らないことも珍しくない
ようです。また、インターネットや携帯電話などのコミュニケーションツ
ールが普及する一方で、人との直接的なコミュニケーション不足が指摘さ
れています。
昔から「和」や「情」を尊び、人との関係を大切にしてきた日本社会が、
変化しつつあるのです。GDPなど数値化された豊かさで見ると、日本の方
がスペインより豊かだと言えますが、大切な人々に囲まれて暮らしている
サラマンカの人々は、日本人よりも幸せそうに目に映りました。
●スペインワインは有名?
スペイン南部は、ワインの原料となるブドウの生産に適した地中海性気
候です。高い品質の美味しいワインが出荷されています。しかし、フラン
スやチリのワインと比べると、知名度が低いと思いませんか?
これには理由があります。スペイン人は大のワイン好きです。朝食から
ワインを飲む光景を、幾度も目にしました。以前は、ワインをほとんど国
内で消費してしまい、輸出する量が少なかったために知名度が低いそうで
す。
もし、スペインが経済成長を急ぐならば、ワインを国の名産品として、
国内よりも世界に送り出していたのではないでしょうか。東南アジアの漁
民が、お金のために日本向けのエビの養殖をし、彼らは一度もエビを口に
したことがないということは、目を背けてはならない現実です。
スペインには、他にも産業基盤があるから急ぐ必要がないのだと言われ
れば、その通りかもしれません。しかし、日本のように常に発展を目指し
てきた国と違って、どこか焦りのない、無理のない国だと思いました。
もちろん、スペインも経済成長を望んでないわけではありません。失業
率は日本の約4倍と高く、社会問題の一つです。今日は仕事でも明日は休
みというように、毎日ではなく隔日で働いたりその日暮らしをしている人
もいました。
“その日暮らし”という言葉は、マイナスイメージを連想させます。し
かし、スペインでは“その日暮らし”だからこそ、今日1日を大切に楽し
もうという人が多かったと思います。

日本はこれまで、経済成長を目指して走り続けてきました。だからこそ、
今の豊かな生活があるのであり、私はその恩恵を受けていると思います。
しかしながら、スペインを通して日本を見て、現代の日本人に足りないの
は経済的な面よりも、精神的な面である心の豊かさではないかと、私は感
じました。
最近のTV・新聞で景気の話など聞くにつれ、もっと違う方向、違う次元
の議論をした方が出口がみつかるのではないかという気がします。
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2.《J.I. Action Summary》
■構想日本の1月の主な活動状況■
●政策プロジェクト
(1)国と地方(税財政改革)
提言づくり
・県の事業仕分けの結果をベースに、税財源配分、補助金事業、地方
交付税制度に関する改革案をパッケージとして作成中
キャンペーン
・1/25:シンポジウム「分権時代の自治体変革」(@三重県)で、
県の事業仕分け結果および制度改革のポイントを説明
(2)国会議員アンケート
「市町村合併」に関するアンケートを実施(「構想日本」、「提言・
実践首長会 合併部会(議長:逢坂二セコ町長)」、「(社)経済同友
会」の共同アンケート)
・市町村合併がもたらすものは一体何か?(結果は2月下旬にホーム
ページで公表)
http://db.kosonippon.org/enq/question.phtml?policy_set_id=13
(3)公益法人改革
民法34条改正を含む、「非営利活動法人制度」の抜本的な改革に向
けたキャンペーン
・全国のNPOの声を集結させ、提言実現のためのネットワークづく
りを推進中(年度内に、内閣官房行政改革推進事務局から「公益法
人制度改革大綱(仮称)」が出される予定)

(4)選挙制度
制度改正に向けたキャンペーン
・1/18:日本青年会議所の京都会議「公開討論会セミナー」の場
で、代表の加藤が選挙運動の自由化の必要性について講演
政治教育に関する取り組み
・統一地方選挙の際に予定している、子供や若者による「模擬投票」
(@東京・神奈川)実施に向けた準備
●ネットワークづくり
(1)教育
地域の新しい教育づくり事例集に新入荷(1/29)
・文化資料館が授業の場-伊吹山文化資料館「友の会」の取り組み
http://kosonippon.org/wp-manager/prj/edu/jirei/ibukiyama/i1.html
上記のほか、「医療制度改革」、「年金制度改革」などの政策プロジェ
クトが進行中。
詳しくは、 http://kosonippon.org/wp-manager まで。

(文責:政策担当ディレクター 冨永朋義)

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