- 【No.731】「歴史上最大の誤訳 -女は男の肋骨からつくられた-」|京都大学特任教授 資源・環境ジャーナリスト 谷口 正次氏|
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J.I.メールニュース No.731 2015.11.12 発行
「歴史上最大の誤訳 -女は男の肋骨からつくられた-」
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【1】<巻頭寄稿文>
「歴史上最大の誤訳 -女は男の肋骨からつくられた-」
京都大学特任教授 資源・環境ジャーナリスト 谷口 正次
【2】<お知らせ>
(1) 第218回J.I.フォーラム 11月25日 開催
「地方自立のカギ」
(2) 今後の構想日本の活動
(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中
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【1】「歴史上最大の誤訳 -女は男の肋骨からつくられた-」
京都大学特任教授 資源・環境ジャーナリスト 谷口 正次
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旧約聖書、創世記第二章第22項には、女は男の肋骨の一本をとってつくられたと書いてあります。女性にとっては面白くないことではないでしょうか。したがって、旧約聖書の記述がシュメール語の誤訳に起因するものであったとすれば、女性にとって好ましいことではないでしょうか。
女性に限らず、誰しも“男(アダム)の肋骨から女(イヴ)が造られた“と書かれているのをみると、なぜ“肋骨”なのか、奇異に感じると思います。私もその一人でしたが、ある時調べてみました。
調べていくうちに、へブライ語で書かれた旧約聖書の内容には、紀元前3,500年頃から約1,000年続いたメソポタミアのシュメール文明時代の神話・伝説の残響がみられるということがわかりました。これは、創世記がシュメール語からヘブライ語に翻訳されてつくられている部分が多いということを意味します。
シュメール語で書かれたメソポタミアの世界最古の物語、ギルガメシュ叙事詩の中には、創世紀にあるノアの箱舟の大洪水と同じような話があるのです。
創世記に書かれている“肋骨の女”に相当するシュメール語は、その音価で“Nin-Ti ”といいます。“Nin”は女性を意味します。そして“Ti ”にはいろいろの意味があるなかで、ヘブライ語の語り手は、Ti を‘肋骨’と訳してしまったのが間違いのもとです。
結論から言うと、‘肋骨’の女ではなく、「“命あるものの母としての”女性」と訳すべきであったと私は考えます。
シュメール・アッカド語対仏辞典 によると、Ti には異なったいくつかの意味があるのです。身体あるいは構造体の一部を表すときには、“肋骨”あるいは“船の竜骨”などを意味します。しかし同時に、“生命ある”、“生きる”、“癒す”、という意味もあるのです。
したがってヘブライ語の語り手は、“生命ある”の方を使うべきであったわけで、Ti に肋骨という意味があったからといって、アダムの肋骨をとってイヴをつくったと言わなくてもよさそうなものです。
ちなみに、Ti を二つ並べてTi-Ti とすると、乳房、豊かな胸、Ti-AMATは海という意味になります。いずれにせよ、Nin-Tiは“生命あるものの母としての女性”と訳す方が自然です。
しかし、“生きとし生けるものすべての母”と訳すと、母なる大地、豊穣の女神、地母神崇拝、水神、天候を司る神など多神教につながり、ヘブライの一神教の世界では都合が悪いので、あえて肋骨の女と訳したのかもしれません。
ユダヤ教、キリスト教以前のメソポタミア文明、クレタ島のミノア文明、古代ギリシャ文明そして日本の縄文文明など古代文明圏では、自然の生命の源として、また同時に死すべき命の墓としての大地、永遠の生命の再生・循環を司る女神すなわち地母神=“命あるものの母”として女性をみていました。
キリスト教という一神教を中心とする西洋文明、そして西洋化された社会は、自然を征服すべきものとして破壊を続けてきた結果、地球環境は人類の持続可能性が脅かされる事態にまでなってきました。
いまや、地球の限界に直面した人類最初の世代として、わたしたちは古代の人々のように、“母なる大地”、“生命あるものの母”を中心とする、再生・循環、自然との共生に立ち戻る必要があるのではないでしょうか。
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谷口 正次 (たにぐち まさつぐ)
1938年東京都生まれ。60年、九州工業大学鉱山工学科卒業。同年、小野田セメント㈱入社。87年、資源事 業部長に就任。93年、常務取締役。96年、秩父小野田㈱専務取締役、98年、太平洋セメント(株)専務 取締役(研究開発・資源事業・環境事業管掌)。現在、京都大学経済学研究科自然資本経営論講座特任教授。資源・環境ジャーナリスト。他にNPO法人ものづくり生命文明機構副理事長等も務める。専門は資源・環境論。著書:『自然資本経営のすすめ』(東洋経済新報社2014)他多数。
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《自然資本経営論講座シンポジウム》 谷口正次さんからのお知らせです
人類共通の資本としての自然をより少なく消費し、より良く生きる経済社会を築かなければなりません。そのためには、貧富の格差、資源収奪、環境破壊を生み出す現代消費社会の経済成長中心主義から脱出しなければなりません。
人間“本来”の価値観に基つく経済・社会を築くことを目指し、ここに「自然資本経営;”適応“から”本来“へと題して」シンポジウムを開催致します。 (趣旨より抜粋)
◇日 時:2015年11月29日(日)10:00~17:40
◇会 場:国際連合大学 ウ・タント国際会議場
〒150-8925 東京都渋谷区神宮前 5-53-70
◇参加費:無料
◇内 容:「自然資本経営 ”適応から本来へ”」
【映画上映】「うみやまあひだ」
【講演】「現代文明の病理と本来・適応・自己解体」放送大学教授 仁科 エミ
「つなげよう森・里・川・海」環境省大臣官房審議官 中井 徳太郎
「自然資本の経済に向けた世界の動向」(株)レスポンスアビリティ社長 足立 直樹
【研究報告】「包括的富と自然資本経営」京都大学 特定准教授 山口 臨太郎
「クリティカル自然資本について」南山大学 研究所員 篭橋 一輝
「自然資本経営のケーススタディ」京都大学 研究員 玉沖 貴子
「地方行政と自然資本経営」京都大学 研究員 濱 真理
【総括討論】仁科・中井・足立・谷口・篭橋・玉沖・濱、山口(モデレータ)
詳細はこちらから http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/natural_capital/detail
◇意見交換・交流会17:50 - 19:30 (参加費3,000 円) 2 階レセプション・ホール
◇お問い合わせ・お申し込み
京都大学大学院 経済学研究科 自然資本経営論講座
以下 URL のエントリーフォームより、お申し込みください
http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/natural_capital/entryform
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*みなさんのご意見をお待ちしています。(800字以内でお願いします)
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【2】(1)第218回J.I.フォーラム 11月25日 開催
「地方自立のカギ」
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「地方の時代」「地方分権」「地方創生」・・・。
40年以上も同じことが言われていますが、「国のコントロールと地方の依存」という構図はほとんど変わらず、地方はどんどん元気を失っています。
しかし、よく見ると、地域の再生に向けた新しい動きも始まっています。民の立場でまちづくりを進めている地域のリーダーと、国に頼らず住民と一緒に考え、行動する首長たちに、現場の実体験、そこから見えてくる「ここがポイント」ということを大いに語って頂きます。
◯日 時:平成27年11月25日(水) 18:30~20:30(開場18:00)
◯会 場:アルカディア市ヶ谷 5F 穂高・西 ※場所がいつもと違います
千代田区九段北4-2-25 TEL.03-3261
◯ゲスト:門 康彦 (淡路市長)
後藤 健市 (株式会社プロットアジアアンドパシフィック)
山中 光茂 (前松阪市長)
◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)
◯定 員:120名
◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。
◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。
「TO THE HERBS(トゥザハーブズ)市ヶ谷店」千代田区五番町2(JR市ヶ谷駅2F) TEL.050-5787-1164
※フォーラムへのご参加は11月24日(火)18:00まで info@kosonippon.org にお願いします。
お申し込みはこちらから http://kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php
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(2)《今後の構想日本の活動》
《行政関係》
11月15日(日) 茨城県 行方市「第4回なめがた市民100人委員会」
11月28日(土) 福岡県 大刀洗町住民協議会(4)
今年度の実施一覧はこちらからご覧いただけます→ http://kosonippon.org/wp-manager/blog/?page_id=145
《その他》
2015年10月~隔週月曜日 京都大学経済学部 「公共経営論2」講義 (代表 加藤秀樹)
毎回ゲストを呼んでの講義です。
第1回(10/5)は「日本の政治の問題点について」 衆議院議員 河野 太郎氏。
第2回(10/19)は「地域の産業について」 京都信用金庫理事長 増田 寿幸氏、株式会社商工組合中央金庫執行役員 小林 利典氏 です。
2015年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論II」講義 (総括ディレクター伊藤伸)
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(3)「現場みらい塾」 第3期 募集中
政策シンクタンクPHP総研と共同で昨年度スタートした「現場みらい塾」。
その特徴は、
1.地域経営の第一線で活躍している講師陣
2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム
3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム
昨年の第1期受講生の反響と要望の大きさを考え、今年度は第2期(5月~8月)に続き、第3期(11月~2016年2月)を開講することとしました。
自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。
『第3期』は次の通り ※日程が変更になりました
第1回:11月22日(日)13時~18時半、23日(月)10時~16時
第2回:12月12日(土)10時~18時
第3回:2016年1月16日(土)10時~18時
第4回:2016年2月6日(土)13時~18時半、7日(日)10時~16時
その他詳細はこちら
http://research.php.co.jp/event/2015/11/22.php
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