- 【No.715】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第八弾 蟹江 須成(すなり)祭」 |至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長 石田 芳弘氏|
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J.I.メールニュース No.715 2015.07.23 発行
「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第八弾 蟹江 須成(すなり)祭」
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【1】<巻頭寄稿文>
「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第八弾 蟹江 須成(すなり)祭」
至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長 石田 芳弘
【2】<お知らせ>
(1) 第214回J.I.フォーラム 7月24日(金)開催
「戦後70年 戦前の昭和期に学ぼう」
(2)《今週末の構想日本の活動》
(3)「現場みらい塾」第2期 開催中、第3期 募集中
【特集】<国立競技場の建て替え>
日本情報発信多言語ウェブサイト「nippon.com」に代表加藤の記事掲載。
《国立競技場問題の本質》http://www.nippon.com/ja/currents/d00188/
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【1】「今こそローカリズム・日本の祭シリーズ 第八弾 蟹江 須成(すなり)祭」
至学館大学・伊達コミュニケーション研究所長 石田 芳弘
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2014年3月、日本の伝統的祭の中で、国の重要文化財に指定されている32の祭をユネスコの無形文化遺産候補として文化庁が推薦した。
我が国には民俗文化を伝承する優れた祭は多い。が、いわゆる文化財として公的な機関が認定するためにはまず、「モノ」として見えたほうが判定し易い。
例えば、ねぶたや御柱のように、祭のつど「モノ」が無くなっては蓄積された文化財として判定しにくいという問題が生ずる。それはそれで、無形文化財となるが、「モノ」があって「修理」したほうが公的な補助金はつけ易い。故に、そういった祭は組織を作って補助金の獲得に励むようになる。だから、文化財指定の祭はいわゆる曳山(ひきやま)タイプが多くなる。
その曳山祭で、「全国山(やま)・鉾(ほこ)・屋台(やたい)保存連合会」という組織を作っている。この組織に属した32の祭が世界遺産候補になった。愛知県に5か所あり、全国最多。蟹江の須成祭はその1つである。※
須成祭は今まであまり世間に知られていなかった。
何故か。
一言で言うと、祭関係者が人に見せようとか観光客を呼ぼうという発想が薄かっただけのことだ。いわゆるポピュリズムに流されなかったという事だ。
須成祭は津島天王祭と同じ夏の川祭だ。牛頭(ごず)天王信仰で、夏の疫病退散と五穀豊穣を願うと聞いたが、葭(よし)を刈ってきてご神体とし、葭で禊(みそぎ)を行い、川に流す神事が祭の中心思想だ。
8月の祭前後、7月初旬から10月中旬まで約100日間かけて数々の催事があり、別名「百日祭」と呼ばれていると聞いた。祭の全貌はとても見学することはできないが、町の民俗資料館でこの百日祭のビデオを見た。
神社の氏子たちが総出で葭を刈る。車楽船(だんじりふね)に乗せる人形やその飾りを作る。その他もろもろの祭の準備とそれに伴う仕事をこなす様子を見た。
祭にプロなどいないし、全員が普通の住民であり、奉仕の精神で取り組んでいる。全て、祭の為である。祭が住民の絆をつくり、住民が祭を育てる。いわゆる共同体の原点であり、コミュニティのあるべき姿であると心から感動した。
蟹江町は平成の合併騒動の中、合併を選択しなかった。賢明であったと思う。合併というのは行政の都合で勝手に線引きし、自治体の範囲を人工的に作る。
須成祭をはじめとする日本の伝統的な祭は神社というその土地の先祖を求心力として自然に集まる共同体であり、その地の山川草木と強く結びつく。そして山川草木はすべて神となって故郷を守る。
祭関係者が冨吉建早(とみよしたけはや)神社と八釼社(はっけんしゃ)の両神社に参り、その足ですぐ隣に立つ寺院にも参詣した。
我が国では江戸時代まで、神社と寺院は必ず一か所にあった。それを分けて寺院を追い出したのは明治政府の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)という仏教排撃のせいであり、これは大きな失政であったと思っている。ところがここ蟹江では本来の信仰形態を維持していた。
※2015年に伊賀上野市の「上野天神祭」が加わって33になりました。
今年(2015年)の蟹江 須成祭は 8月1日(土曜日)に宵祭、翌2日(日曜日)に朝祭が行われる http://www.town.kanie.aichi.jp/soshiki/3/sunari.html
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石田 芳弘(いしだ よしひろ)
愛知県議会議員、犬山市長、衆議院議員など、地方、中央の政治と行政を経験。特に教育、文化行政に力を入れた。「まちは生涯学習の最良の教室である」というのが持論であり、学校教育も生涯学習の一環であると考え、市民が教師の総合学習や全市博物館構想を推進。また、シンクタンクの研究員として先進国の地方議会を視察、研究。我が国地方議会も議院内閣制を導入すべしという、地方議会改革論議のオピニオンリーダーである。
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【2】(1)第214回J.I.フォーラム 7月24日(金)開催
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集団的自衛権の問題を含めて、今の世相が昭和初期に似ているということをよく聞きます。それなら、歴史に学ぼう。悔いのない選択をするために、という趣旨です。 (加藤秀樹)
「戦後70年 戦前の昭和期に学ぼう」
大正末から昭和期にかけて、ラジオ放送開始などメディアが普及し、庶民生活は豊かになりました。普通選挙も始まりました。しかし、金融恐慌以後、経済、政治の機能不全が一気に表面化し、戦争へと進んでいきます。
その時に、政党、財界、言論界、そして国民はどのように動いたのでしょうか。
あらゆる要素がつまっているからこそ、私たちがこの時代に学ぶことは多いと思います。戦後70年の機会に、日本近現代史の第一人者、筒井清忠さん、細谷雄一さんと、昭和初期をよくみつめ、多くを学びたいと思います。
◯日 時:平成27年7月24日(金)18:30~20:30(開場18:00)
◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室 港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
◯ゲスト:筒井 清忠 (帝京大学 文学部長兼大学院文学研究科長)
細谷 雄一 (慶應義塾大学 法学部 教授)
◯コーディネーター:加藤 秀樹 (構想日本 代表)
◯主 催:構想日本
◯定 員:160名
◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。
◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」
港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
※フォーラムへのご参加は7月23日(木)18:00まで info@kosonippon.org にお願いします。
お申し込みはこちらから http://kosonippon.org/wp-manager/forum/index.php
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(2)《今週末の構想日本の活動》
7月25日(土) 香川県三木町第5回「百眼百考会議」
7月26日(日) 大刀洗町 住民協議会1
今年度の実施一覧はこちらからご覧いただけます→ http://kosonippon.org/wp-manager/blog/?page_id=145
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(3)「現場みらい塾」第2期 開催中、第3期 募集中
政策シンクタンクPHP総研と共同で昨年度スタートした「現場みらい塾」。
受講生の満足度が高かったこともあり、今年度は第2期、第3期を開講することとしました。
自治体職員を主な対象としていますが、それ以外の方も参加可能です。是非お申込みください。
テーマ
「”自分事”からはじめる地方自治 ~現場目線で人口減少時代を突破する ~」。
人口減少時代に突入した今日。地域にとって最も必要なのは、直面するさまざまな課題を自分事として捉え、考え、行動できる人材です。前例踏襲を振り払い、マニュアル依存から抜け出して、課題解決と未来創造に挑戦する。そんな強い志をもち、現場で活躍できる地域リーダー人材を輩出することをめざします。
特 徴
1.地域経営の第一線で活躍している講師陣
2.最先端の政策や手法のトレンドを学びとる講義プログラム
3.自ら考え、取り組むことで体得する実践プログラム
『第2期』スケジュール 1回のみのご参加も承ります。
第4回:8月8日(土)13時~18時半、9日(日)9時半~16時
『第三期』スケジュール
第1回:9月26日(土)13時~18時半、27日(日)9時半~16時
第2回:10月24日(土)10時~18時
第3回:12月5日(土)10時~18時
第4回:2016年1月16日(土)13時~18時半、17日(日)9時半~16時
その他詳細はこちら
http://research.php.co.jp/event/2015/05/16.php
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【特集】<国立競技場の建て替え問題>
日本情報発信多言語ウェブサイト「nippon.com」に代表加藤の記事が掲載されています。
《国立競技場問題の本質》
2020年7月、東京オリンピックの開会式は近代オリンピックの歴史に残る画期的なものとなった。
神宮の森に囲まれ、真ん中に赤レンガ色のトラックがある11万m2の真っ青な芝生。
世界各地からの選手たちはその芝生の上で互いの参加を祝福し、健闘を誓いあった。
そこには外界を遮断するスタジアムの高い壁もなく、ましてや屋根もない。
真っ青な芝生の上での交歓には、世界からの観戦者が加わり、その様子が最新技術によるネット中継によって世界中で共有、体感された。
オリンピックの開会式が近未来デザインの巨大なスタジアムと過剰な演出の競い合いから解放されることの素晴らしさを世界が実感した瞬間だった。
続きはこちらから御覧ください → http://www.nippon.com/ja/currents/d00188/
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今、指摘されている問題点を、あらためて見なおしてください。
文部科学省と日本スポーツ振興センター(JSC)が進めてきた新国立競技場計画が白紙撤回されました。
2520億円の建設費があまりにも高いというのが主な理由です。
しかし、新競技場の目的、決定プロセス、景観など、これまで指摘された問題は基本的に未解決のままです。
また、1000億円減額してもまだ高すぎます。
この問題はこれからが本番です。日本の行政、政治そして関係業界、団体が持つすべての課題が象徴的に集約されています。
是非一人でも多くの人に「自分事」として考え、将来世代が誇りにできる競技場を建設できるようにしたいと思います。
「新国立競技場の建て替えは将来世代に誇れることなのか」2014年5月2日 YAHOO!ニュース
http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20140502-00035003/
「国立競技場解体予算を徹底解体しよう。」2014年10月3日 YAHOO!ニュース
http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20141003-00039651/
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《 お知らせ 》
(1)新国立競技場 「国会請願プロジェクト」
「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」の「国会請願プロジェクト」
◎請願事項
1.建設費、維持費、工期、計画決定プロセスの疑惑、環境負荷等に問題があり、国民の95%が反対している進行中の新国立競技場計画を中止してください。
《こちらは、皆様の声で「白紙撤回」というかたちで実現しました。》
2.上記を実行した上で、簡素で使いやすいメインスタジアムの計画にすぐに取り掛かってください。
日本の信頼できる建築家たちは、2020東京オリンピック・パラリンピックまでに素晴らしいスタジアムを完成させるでしょう。
こちらはまだ未知数ですので、継続いたします。
http://2020-tokyo.sakura.ne.jp/cn16/pg201.html
詳細は上記を御覧ください。 *国会請願には自筆の署名が必要です。
(2)賛同署名募集のお知らせ
「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」は緊急声明の賛同署名を募っています。
1,000兆円の赤字を抱えるわが国で、震災被災者、原発避難者がいまだ20万人も故郷や家を失ってさまよっているこの国で、亡国の事業といわざるを得ない。
都有地の供出、都営霞ヶ丘アパートの住民の追い出しも認めない。
私たちは、国民の代表機関である国会で、有識者会議の各委員を証人喚問し、国民全体の利益に関わるこの問題をどう判断したのか、論議がつくされることを望む。(一部抜粋)
ご賛同いただける方は、下記サイトでご署名ください。
◎チェンジ・オルグ【神宮外苑の青空と銀杏並木の風景を守ろう】(現在84,000人超)
https://www.change.org/ から 「巨額の建設費をかけない新国立競技場 」で検索してください。
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《参 考》
☆2015年6月16日に「神宮外苑と国立競技場を未来へ手わたす会」が開いた
(1)記者会見
「新国立競技場現行案に対する緊急市民提言」
動画 https://www.youtube.com/watch?v=jjZCso0JjV8
HP http://2020-tokyo.sakura.ne.jp/
(2)森山高至氏の勉強会
「緊急開催!まだまだ終わらない公開勉強会2 真国立競技場へ」
動画 https://www.youtube.com/watch?v=iWafqvDamEo
ブログ http://ameblo.jp/mori-arch-econo/page-2.html
☆2015年7月6日 鈴木知幸氏(元2016年東京五輪招致推進担当課長)の勉強会
「まだまだ終わらない公開勉強会3 新国立競技場は、ほんとうに使えるものになるのか?」
動画 https://www.youtube.com/watch?v=eI5gGJm2WGM
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