- 【No.683】「債権法改正について ―そんなに急いで、どうするの?―」|立教大学法学部 教授 角 紀代恵氏|
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J.I.メールニュース No.683 2014.12.04発行
「債権法改正について ―そんなに急いで、どうするの?―」
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【1】<巻頭寄稿文>
「債権法改正について ―そんなに急いで、どうするの?―」
立教大学法学部 教授 角 紀代恵
【2】<お知らせ>
(1)第207回J.I.フォーラム 12月24日 開催
「人口減少――本当の問題は何か」
(2)Yahoo!ニュースオーサー記事更新!
(3)現場みらい塾アンケート御礼
【3】<ご紹介>
(1)「都市開発の未来と地域再生のフロンティア」12月13日、14日 開催
【4】構想日本の11月の主なパブリシティ
(1) 対外活動
(2) 記事掲載
(3) その他
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【1】 「債権法改正について ―そんなに急いで、どうするの?―」
立教大学法学部 教授 角 紀代恵
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皆さんは、現在法務省が民法の「債権法」について改正作業を行っていることをご存知でしょうか。
平成21年以来、法制審議会民法(債権関係)部会※1で検討が行われ、今年8月に概要を取りまとめた「要綱仮案」を決定しました。来年の通常国会への法案上程を目指しているようです。
債権法とはざっくり言って、契約に関するルールです。条文を読む機会はほぼありませんから、一般国民にはなじみがありません。しかし、生活には密接に関わっています。
抜本的に見直した項目は約200。債権法については、民法制定以来はじめての大改正です。
民法が制定されてから120年。時代の変遷とともに変えた方が良い点がでてくるのは当然です。しかし、今回の改正は、不具合を修理するというよりも、改正のニーズがないところまで、土台からの全とっかえを目指したものでした。
今の法律では困ると言っている人はそんなにいないわけですから、検討を主導してきた法律学者が法律の体系としての美しさを重視したためとも言えます。そのため、23年4月の中間論点整理においてピックアップされた論点は500にも達し、3.11震災直後に行われたパブリック・コメントにおいては、改正すること自体の是非を問う多くの意見が寄せられました。
さて、改正の内容を見てみましょう。
たとえば、今回の改正の目玉ともいうべき「保証」です。
そもそもは、借金の保証人の自殺などの被害をなくすため、保証人保護の掛け声の下で作られた改正案です。
中小企業が事業資金を借り入れる場合、金融機関は、保証人をたてることを要求することが、ままあります。そこで、頼み込まれてしぶしぶ保証人になる人が出ないようにするために、「金融庁による監督指針」は、保証人になれる第三者(経営者以外の者)を、「積極的に保証を申し出た事業の協力者や支援者」に限定しています。それにもかかわらず「要綱仮案」は、保証意思があることを公正証書※2にサインすれば、どんな第三者であっても、保証人になれるとしています。
「要綱仮案」では、公正証書の作成というハードルが第三者保証の歯止めになると考えているものと思われます。しかし、公正証書を作りに公証役場に行くのは、融資が決まってからです。保証人となる人が、公正証書の作成を拒否すれば、融資の話はフイになります。このような状況で、公正証書の作成を拒否できる人は何人いるでしょうか?
さらに、せっかく保証人を公証役場に連れて来たのだからと、債権者は、保証人との間で、強制執行認諾文言付保証契約書(債務者が借金を返せない場合、債権者は訴訟をしなくても保証人に、即、強制執行できる)を作成する可能性が大です。これでは、保証人の保護は、現行法よりも悪化してしまうことになりかねません。
今回の債権法改正は学者主導で行われ、現場の意見を十分に反映したものとはいえません。改正が私達の生活や社会に与える影響について、十分な関心が向けられ、討論もなされたとは言えません。また、「要綱仮案」は、中間試案からかなりの修正が行われているにもかかわらず、パブリック・コメント手続も予定されていません。
このままでは、国民が何も知らないままに、国民生活に重大な影響を及ぼす債権法改正が行われてしまいます。
債権法改正は、急を要する課題ではありません。もっと、時間をかけて行うべきです。十分な国民的議論のために、いったん手を止めることを望むものです。
※1 法務大臣の諮問に応じて、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な事項を調査審議すること等を目的とする。
※2 公証人が法令に従って法律行為その他私権に関する事実について作成した証書。法律上完全な証拠力をもつ。
参照 角教授「債権法改正について」詳細資料→(www.kosonippon.org/documents/2015/mail/20141204.pdf
)
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角 紀代恵 (かど きよえ)
富山大学経済学部助教授、筑波大学社会科学系助教授、成城大学法学部助教授を経て、平成7年より立教大学法学部教授。専門は担保法。著書に、『手続法から見た民法(共著)』『受取勘定債権担保金融の生成と発展』『基本講義 債権総論』他
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【2】(1) 第207回J.I.フォーラム 「人口減少――本当の問題は何か」
「地方消滅」という言葉が一人歩きしています。実は、人口減少は40年前から予測されていました。そして、政府もメディアもそれを「望ましいこと」と捉えていたのです(1974年人口白書)。
ところが、今「人口減少は大変だ」の大合唱です。本当に大変なのは何なのでしょうか。
人口が減ることか、それとも、それを受けとめる社会のあり方のほうか。
少子化対策の成否を問わず、日本の人口が増えることは当分ないでしょう。ならば私たちは、今何をしないといけないのでしょうか。一度冷静に考えてみましょう。
歴史人口学と地方自治のエキスパートに来て頂きます。
◯日 時: 平成26年12月24日(水)18:30~20:30(開場18:00)
◯会 場: 日本財団ビル2階 大会議室 港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111
◯ゲスト: 鬼頭 宏 上智大学 教授
福嶋 浩彦 元消費者庁長官・中央学院大学 教授 他
コーディネーター : 加藤 秀樹 (構想日本 代表)
◯主 催: 構想日本
◯定 員: 160名
◯参加費: 一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。
◯懇親会参加費: 4,000円(ご希望の方は懇親会参加と明記してください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「頤和園(いわえん)溜池山王店」 港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
※フォーラムへのご参加は、 info@kosonippon.org にお願いします。
なお、お申し込みの際の必要事項等詳細につきましては、HPを御覧ください。
( http://kosonippon.org/wp-manager/forum/regist.php?m_forum_cd=331 )
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。 TEL 03-5275-5607
*内容に関するお問い合せは、
伊藤/田中まで。TEL 03-5275-5607
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(2) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!
Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。
代表 加藤秀樹
◇11月12日 「政治とカネ」せめて一般国民、企業並みにせよ
http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20141112-00040668/
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(3)現場みらい塾アンケート御礼
「現場みらい塾」第2期開講にあたってのプログラムに関するアンケートを2週間にわたってお願いしたところ、100名を超える方からご返信を頂きました、誠にありがとうございます。
現在、募集開始へ向けて準備を進めております。今しばらくお待ちください。
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【3】<ご紹介>
(1)関西学院創立125周年 国際公共経済学会第29回研究大会
<代表の加藤、ディレクターの伊藤が登壇します>
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「都市開発の未来と地域再生のフロンティア」
今後10年あまり先の都市と地域を見通すことを共通のテーマに、計7つのパネルディスカッションおよびシンポジウムを企画。都市と地域の将来について、多角的に討論いたします。皆様のご参加をお待ちしております。
◇日 時 平成26年12月13日(土)、14日(日)
◇場 所 関西学院大学西宮上ケ原キャンパス G号館(兵庫県西宮市上ケ原一番町1-155)
◇参加費 無 料 (一般参加歓迎・参加登録あり)
◇内 容 「市民参画型行政・オープンガバメントのあり方」「震災復興を経た地域再生と行政機能」他多数。
◇加藤と伊藤の登壇スケジュール 13:00~(201号教室)
基調講演 「市民参画型行政・オープンガバメントのあり方」 加藤 秀樹 (構想日本)
パネルディスカッション 座長 上村 敏之 (関西学院大学)
パネリスト 伊藤 伸 (構想日本) 岩本 壌 (大阪市・市政改革室) 加藤 久雄 (神戸市・企画調整局)
◇申込先 詳細はこちらから http://ciriec.com/2014/10/29info/
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【4】構想日本11月の主なパブリシティ
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(1) 対外活動
<講演・研修・仕分け等>
11月1日、2日 八千代市「事業仕分け」(総括ディレクター伊藤伸)
11月2日 NPO/NGO政策提言向上セミナー~選挙じゃない政治への関わり方~(総括ディレクター伊藤伸)
11月2日 伊勢原市「事業仕分け事前研修会」(政策アナリスト川嶋幸夫)
11月4日 能代市有志勉強会 講演(総括ディレクター伊藤伸)
11月9日 伊勢原市議会創政会「事業仕分け」(総括ディレクター伊藤伸、政策アナリスト川嶋幸夫)
11月16日 大刀洗町「事業仕分け」(総括ディレクター伊藤伸)
11月29日、30日 加古川市「事業仕分け」(代表加藤秀樹、総括ディレクター伊藤伸)
11月29日 亜洲梁山泊定例会 講演 (代表加藤秀樹)
※その他、首長や自治体との打ち合わせ5件
<審議会>
11月8日 第4回 那珂市 外部評価委員会 (総括ディレクター伊藤伸)
11月20日 松阪市 公共・公用施設施設最適管理検討委員会(政策アナリスト川嶋幸夫)
(2) 新聞・テレビ等メディア掲載
11月2日 自治の力 行政に住民の声どう届ける 朝日新聞
11月5日 事業仕分けの意義は 北羽新報
11月11日 8割の事業 見直し判定 八千代市の仕分け 4事業「不要・凍結」 千葉日報
11月16日 自治の力 事業仕分け 地道に脈々 朝日新聞
11月27日 14事業 市民ら「仕分け」 加古川市で29、30日初の公開評価実施 神戸新聞
※他6件
(3) その他
10月~国立大学法人京都大学経営協議会委員(代表 加藤秀樹)
9月~隔週木曜日 法政大学 「NPO論Ⅱ」講義 (総括ディレクター伊藤伸)
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