- 【No.681】「新国立競技場をめぐるふたつの後悔」|建築家・一般社団法人OSAジャパン(会長) 坂田 泉氏|
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J.I.メールニュース No.681 2014.11.20発行
「新国立競技場をめぐるふたつの後悔」
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【1】<巻頭寄稿文>
「新国立競技場をめぐるふたつの後悔」
建築家・一般社団法人OSAジャパン(会長) 坂田 泉
【2】<お知らせ>
(1)オリンピック妄想委員会「こんなオリンピックがいいなぁ」(アイディア募集中)
(2)【現場みらい塾】第2期、第3期開講にあたってのアンケート
(3)第206回J.I.フォーラム 本日開催!!
「2020年以降のオリンピック『妄想委員会』」
(4)自治体との共同プロジェクト今後の予定
(5)Yahoo!ニュースオーサー記事更新!
【3】<ご紹介>
(1)民法改正の見直しを考える会 シンポジウム 「要綱仮案を検証する」11月29日(土)
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【1】「新国立競技場をめぐるふたつの後悔」
建築家・一般社団法人OSAジャパン(会長) 坂田 泉
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私は30年近く前川國男建築設計事務所に在職した建築家です。その在職中に、国際協力機構(JICA)の要請で一年間、ケニアの大学で建築教育に従事する機会があり、現在はその経験を活かし、ケニアと日本の間に虹を架けるような仕事を目指しています。
現時点では、「水を使わないトイレ」の開発や、使用済みバッテリーを再生利用するプロジェクトをケニアで進めています。同時に、公益社団法人日本建築家協会の国際交流委員も務め、日本国内外の建築にまつわる動きに関わっています。
ここでは、建築界に留まらず広く世間の関心を集めることになっている「新国立競技場」について、私なりに感じたところを書いてみたいと思います。ただ、私の話はまことに残念ながら威勢のいいものではなく、不甲斐ない後悔とならざるを得ないことを初めにお断りしておきます。
ひとつめの後悔:踊りを踊った建築家たち
新国立競技場のデザインコンペの公示があったのは、2012年の夏のこと。たまたま前職の設計事務所に立ち寄った際に、このコンペへの応募の是非について意見を求められる機会がありました。その時私が主張したのは、「現在の競技場を壊すのは余りにもったいない。現状を活かす案であれば応募する意味がある」という一点のみでした。結局、古巣の事務所も応募を断念。私の関心も離れました。ザハ・ハディトの当選案を見ても、周りのことなどお構いなしのいつもの作風は想定の範囲内でした。それよりも私ががっかりしたのは、私が知る限り誰ひとりとして、現状を活かす案を提案していなかったことです。今、ザハ案に異を唱えている多くの建築家も同様です。ザハ案には強い異和感を感じたものの、私には皆同じ土俵で踊りを踊ったかに見えました。その中ではザハの踊りが一番眼を惹いただけのこと。何とも言えぬ絶望感が広がりました。
ふたつめの後悔:建築家たちは造り過ぎた
今年の8月上旬。私は日本建築家協会の国際交流委員として、日本を代表する建築家、伊東豊雄氏をアテンドして南アフリカ、ダーバンで開催された建築家の国際会議に参加しました。伊東氏はその会議の基調講演者として招待されていたのですが、氏がザハの「新国立競技場」案に対して強硬な反対意見を表明していることは、世界中から会議に参加した建築家の間でも周知の事実でした。会期中、都市の建築資産の有効活用をテーマとする小さなシンポジウムに伊東氏と同席した時のことです。フランスから参加している女性建築家が言いました。「東京に新しい競技場はいらない。私たちはすでに造り過ぎたのだから」。伊東氏も私も、そして多くの建築家が賛同の拍手を送りました。当たり前の視点です。でも、この当たり前の視点を見ぬふりして造り続けてきたのは私たち建築家に他なりません。拍手を送りつつも苦い思いが胸に去来しました。
新国立競技場の顛末は、私にとってはこうした不甲斐なさを伴わずには語り得ません。今までも、またこれからもそれは変わることはないでしょう。 ナイロビにて
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坂田 泉 (さかた いずみ)
1955年、東京生まれ。1982年、京都大学工学院研究科修士課程修了。前川國男建築設計事務所在職中の1994年から1年間、国際協力機構(JICA)派遣専門家としてケニアのジョモ・ケニヤッタ農工大学にて建築教育に従事。2011年、一般社団法人OSAジャパン(http://osa-rainbow.com/)を設立、会長に就任。現在は、株式会社LIXILとの「循環型無水トイレ」の開発や、株式会社環境ライフテクノロジーと使用済みバッテリーを再生利用するビジネスの調査をケニアで進めている。
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【2】(1) オリンピック妄想委員会「こんなオリンピックがいいなぁ」(アイディア募集中)
「未来のオリンピック、こんなものにしてみたい」妄想、暴想、賢想…募集中です。
11月20日のJ.I.フォーラムに是非ご参加下さい。
参加できない方も、メール、FBなどでご意見をお寄せ下さい。面白いものはゲストに“いじって”頂きます。
タイトル「妄想アイディア」で info@kosonippon.org へ、どしどしお願いします。
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(2)【現場みらい塾】第2期、第3期開講にあたってのアンケート
構想日本とPHP総研の共同企画として今年度から始まった自治体職員向け研修「現場みらい塾」。来年度は前半と後半にそれぞれ、第2期、第3期を行うことになりました。
テーマはまず、住民が行政を「自分事にすることから~人口減少を乗り切るために~」。現在、カリキュラムを策定中ですが、「このような人の話を聞きたい」、「こういう日程なら参加できる」など、皆さんのご意見を伺い、カリキュラムを充実したいと考えています。
是非、アンケートにお答えください。こちらから⇒ https://docs.google.com/forms/d/1y7dsllUSO9IleodeqM2-PJ63m9WHEw-4K6J3Y-lCMMY/viewform?c=0&w=1
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(3)第206回J.I.フォーラム 本日開催!!
「2020年以降のオリンピック『妄想委員会』」
2020年のオリンピックへ向けていろんなことが走り始めました。大いに盛り上がるのはいい事ですが、オリンピック後、ハコモノではなく、将来に誇れるものを残せるのか、が大事です。未来のオリンピックの姿をそろそろ考えてもいい時だと思います。
乙武洋匡さんは、「オリンピックとパラリンピックを一つにしよう」と言っています。過度の商業主義とか、震災復興の妨げにならないのか、などの批判もあります。
猪子寿之さんは自由な発想とテクノロジーを使ったアートで世界を感動させています。
この二人のかけ算から、何が生まれるでしょうか。
近代オリンピックを始めたのはフランス人ですが、2020年から先のオリンピックについて、勝手に構想しませんか。暴論、妄論何でもありです。
◯日 時 : 平成26年11月20日(木)18:30~20:30(開場18:00)
◯会 場 : TKPガーデンシティ永田町 (ホール3E)
千代田区平河町2-13-12 東京平河町ビル TEL 03-4577-9258
◯ゲスト : 猪子 寿之 (チームラボ株式会社 代表取締役社長)
乙武 洋匡 (作家、東京都教育委員会委員)
◯コーディネーター : 加藤 秀樹 (構想日本 代表)
◯主 催 : 構想日本
◯定 員 : 160名
◯参加費 : 一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。
◯懇親会参加費 : 4,000円(ご希望の方は下記懇親会参加に○をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「Restaurant KITANO」 北野アームス1階 東京都千代田区平河町2-16-15
TEL 03-3261-3726
(http://www.kitanoarms.com/cafe_restaurant/restaurant/)
※フォーラムへのご参加は、 info@kosonippon.org にお願いします。
なお、お申し込みの際の必要事項等詳細につきましては、下記を御覧ください。
( http://kosonippon.org/wp-manager/forum/regist.php?m_forum_cd=330 )
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なお、12月のJ.I.フォーラムは以下の通りです。
第207回 12/24(水)「人口減少 -本当の問題は何か」 ゲスト 鬼頭 宏(上智大学)、福嶋 浩彦(前消費者庁長官) 他
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。 TEL 03-5275-5607
*内容に関するお問い合せは、
伊藤/田中まで。TEL 03-5275-5607
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(4) 《自治体との共同プロジェクト今後の予定》
11月29日(土)30日(日) 兵庫県 加古川市 公開事業評価
http://www.city.kakogawa.lg.jp/18,66589,178.html
今年7月に就任した岡田康裕市長のリーダーシップにより初めての実施。「オープン」をキーワードに、徹底した情報公開と市民との対話を柱に掲げている市長の思いの実現のために実施します。
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(5) Yahoo!ニュースオーサー記事更新!
Yahooニュースにオーサーとして投稿している記事が更新されました。ぜひ御覧ください。
代表 加藤秀樹
◇11月12日 「政治とカネ」せめて一般国民、企業並みにせよ
http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20141112-00040668/
◇10月3日 「国立競技場解体予算を徹底解体しよう。」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20141003-00039651/
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【3】<ご紹介>
構想日本が協力している活動に関するお知らせです。
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(1)民法改正の見直しを考える会 シンポジウム 「要綱仮案を検証する」
民法改正の作業が急ピッチで進められており、8月に「要綱仮案」が決定されました。
「契約」など私達の生活に身近な法律が、国民的議論が全く行われないまま、大改正されようとしています。一体誰のための、何のための改正なのでしょうか。
この法案の問題点や、全体像が把握できる内容となっています。この機会に、ぜひご参加ください。
◇日 時 平成26年11月29日(土)午後1時?5時30分
◇場 所 専修大学5号館5階551教室(東京都千代田区神田神保町3‐8)
http://www.senshu-u.ac.jp/univguide/profile/campus.html
◇定 員 200名(先着順) 事前申込あり(当日もOK)
◇参加費 無 料
◇講 師 内田清人氏(司法制度調査委員会副委員長)、鈴木仁志氏(東海大学特任教授)、加藤 雅信氏(名古屋学院大学教授)、角紀代恵氏(立教大学教授)、新藤 宗幸氏(千葉大学名誉教授)。司会:杉山 真一弁護士。?
◇申込先 詳細はこちらから http://kaisei-minaoshi.cocolog-nifty.com/blog/
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