【No.64】「配偶者特別控除の廃止」を政策転換の第一歩に!
2002.09.13

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「配偶者特別控除の廃止」を政策転換の第一歩に!
JIニュースNo.64  2002.9.13
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■■ 目次 ■■
《政策ラウンジ》「配偶者特別控除の廃止」を政策転換の第一歩に!
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《政策ラウンジ》「配偶者特別控除の廃止」を政策転換の第一歩に!

政府税制調査会が9月3日、「あるべき税制の実現に向けた議論の中
間整理」をまとめ、発表しました。この中で、“配偶者特別控除につい
ては、基本的に制度を廃止する方向で見直しを行うこととし、税引後手
取りの逆転現象に対しては所要の配慮措置を検討する”としています。

●「配偶者控除」・「配偶者特別控除」とは?
<配偶者控除>
配偶者の年収が一定限度まで(現在は103万円)の場合、納税者の
年収から年間38万円が控除される制度です。この制度は、勤労世
帯の税負担について自営業者とのバランスを図り、妻の内助の功に配慮
するために1961年、創設されました。
これは、高度成長期から、男性が長時間働き、女性が子ども・老人の
世話をするという日本のキャッチアップ体制を支えてきた制度です。
<配偶者特別控除>
配偶者の年収が一定限度(現在は103万円)を超えると、「配偶者
控除」が受けられなくなります。この場合、納税者の税負担が増え、配
偶者の収入が増えたにもかかわらず、世帯所得が急激に減ってしまう逆
転現象が起きてしまいます。「配偶者特別控除」は、この逆転現象を解
消するために1987年、創設されました。
この制度は、配偶者の年収が141万円未満で、納税者の合計所得金
額が1,000万円以下の場合、納税者の年収から年間38万円を上限とす
る控除が段階的に適用されます。
(「配偶者控除」・「配偶者特別控除」制度の仕組みは、財務省のホー
ムページをご覧下さい。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/046.htm )

<企業の「配偶者手当」>
企業の約75%は、福利厚生の一つとして、「配偶者手当」を支給し
ています。その多くは、年収についての支給制限額を「配偶者控除」
限度額である103万円に設定しています。つまり、企業は「配偶者手
当」の支給基準を、国の税控除制度に合わせているのです。
そのため、税制だけをとってみると、「配偶者特別控除」制度の導入
によって世帯所得の逆転現象は解消されましたが、企業の「配偶者手当」
によって第2の逆転現象が起き、103万円を超えないように就業調整
が行われています。

●働きやすく、子育てしやすい制度への転換を!
構想日本は、以前より、「配偶者控除・配偶者特別控除の廃止」と
「児童手当の増額」「保育支援政策」などをセットにした、「サラリー
マン+専業主婦」を前提としない制度への転換を提言しています。
(詳しくは、 http://kosonippon.org/wp-manager/prj/c/?no=18 )
「配偶者控除」・「配偶者特別控除」の問題点は、
(1)所得税率が高い高所得世帯ほど減税効果が大きい
(2)世帯所得が同じでも配偶者の就業の有無や年収によって税負担が
異なる
(3)高所得世帯ほど配偶者控除を受けている比率が高い
(4)収入を103万円以下に就業調整するパートタイマーが多い
などです。
「配偶者控除」・「配偶者特別控除」の廃止は、それだけを見れば、
景気低迷が続く中、ただでさえ苦しい生計をより一層、苦しくする政策
に見えてしまいます。ですから、子育て世帯への育児支援とセットにし
なければなりません。
また、同じように、働く意欲を阻害する制度になってしまっている年
金の「第3号被保険者制度(労働時間や労働日数が常用雇用者の4分の
3未満で、年収が130万円未満の場合、妻の保険料は免除)」や健
康保険制度についても、あわせて見直す必要があります。
政府税制調査会提案の「配偶者特別控除」の廃止が、政策転換の第一
歩となるよう、引き続き、周知活動をしていきたいと思います。
みなさんより、ご意見・ご助言をお寄せください。

(文責:「社会政策」プロジェクト担当 山谷 真名)
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