【No.46】道路関係4公団の民営化へ向け、漸く第1歩!
2002.05.10

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道路関係4公団の民営化へ向け、漸く第1歩!
JIニュースNo.46  2002.5.10
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■■ 目次 ■■
《政策ラウンジ》道路関係4公団の民営化へ向け、漸く第1歩!
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《政策ラウンジ》道路関係4公団の民営化へ向け、漸く第1歩!

特殊法人改革は、「小泉構造改革」の“目玉商品”です。特殊法人と
は、行政運営上の特別な目的のために設立された政府出資法人で、多く
は公社、公団と呼ばれています。

構想日本は、1999年に最大の特殊法人、日本道路公団の不健全な財務
状況をとりあげて以来、その背後にある無理な道路建設や対症療法的な
償還計画(債務返済計画)について、警鐘を鳴らし続けてきました。

私たちは、利用可能なあらゆる公開データを駆使して、同公団のバラ
ンス・シートを作成し直し、企業会計方式にのっとって詳細な財務分析
を行いました。その結果、今のやり方で採算の合わない事業を続けて行
けば、経営は破綻をきたし、「第2の国鉄」ともいえる深刻な債務超過
に陥るという結論に達しました。そのつけは、打開策を講じない限り、
国民に回ってきます。
最大の問題は、「全国プール制」と「償還主義」が適切に運用されて
おらず、結果としてこれら“2つのどんぶり勘定”によって、野放図な
道路建設を許しているという現状にあります。
「全国プール制」は、全国の高速道路を一本の道路とみなして、採算
の高い道路事業で採算の低い分をまかなうという制度です。「償還主義」
は、借入れたお金を数十年という長期にわたる期間内に、料金収入で返
済していく方法です。この2つの仕組みの結果、個々の高速道路の事業
計画が採算に合わないものであっても、「全国プール制」によって建設
が可能になります。そして、新しい道路計画が加わる度毎に、償還計画
が引き延ばされ、債務返済期限がどんどん先送りされてきました。その
結果、ずさんな事業計画が全体の中で見えなくなり、結局、道路公団の
経営全体をむしばむに至ったのです。
また、特殊な会計方式によって経営実態がわかりにくくなっている上、
経営情報も充分に公開されておらず、さらに、責任の所在があいまいに
なっているという問題も、見過ごされてはなりません。

構想日本は、公団改革の緊急性を訴えるため、これまで、討論会や国
会議員への説明、委員会審議での参考人招致など、あらゆる機会を通じ
て、精力的にキャンペーンを展開してきました。同時に、最も望ましい
解決策として民営化を提言、具体的な改革プランとそれに基づいたシュ
ミレーションを紹介してきました。

特殊法人改革の最重要テーマとして昨年末、道路関係4公団の民営化
を前提とした廃止が決定されました(「特殊法人等整理合理化計画」の
閣議決定)。そして、これに代わる新たな組織形態については、「民営
化推進委員会」(いわゆる第三者機関)で検討し、2002年度中にまとめ
られる予定となっています。
その「民営化推進委員会」の設置法案がまもなく成立します。小泉首
相はこの問題に関して、民営化するからには上場するという姿勢を明ら
かにし、特に「上場」の重要性を強調しています(衆議院内閣委員会締
め括り総括質疑での首相答弁)。

この法案が成立すれば、今後は、この委員会の人選が焦点となります。
特定の利益を代表する関係者ではなく、広く国民的利益を追求するフェ
アな人選によって、オープンな議論が交わされるよう、監視していかな
ければなりません。
1982年にとりまとめられた土光臨調(第2次臨時行政調査会)の基本
答申に、「…特殊法人等の徹底した見直しを行い、廃止、縮小、及び民
営移行を含む合理化を推進しなければならない。」という1文がありま
す。
20年経った現在、道路公団の問題はようやっと、「第三者機関」の設
置が決まったところです。“too little”“too late”と批判される日
本の政策決定の典型と言えるかもしれません。

近年のように、社会変化のサイクルが速い時代には、改革の内容に加
え、スピードが遅すぎるということが命取りになりかねません。まして
や、道路建設はこう言っている間も全国で着々と進められており、公団
の抱える借金はそれとともに、雪だるま式に膨れ上がっています。
特殊法人改革のように、利害関係者の思惑が交錯する問題は、往々に
して“族議員”を中心とした抵抗勢力によって、改革の推進が阻まれが
ちです。これに屈せず、国民的利益にかなう改革を断行するためには、
世論の支持が不可欠です。
構想日本は、道路公団の民営化が実現するまで、今後も粘り強く、キ
ャンペーンをつづけていきます。
特殊法人改革は、“待ったなし!”です。読者の皆さん、「実のある
民営化」実現のため大いに声を出していきましょう! さもないと、そ
のつけは私たち自身に回ってくるのです。
「構造改革」は、政治家に任せることではなく、私たち自身が行うこ
となのですから。

(文責:「特殊法人改革」プロジェクト担当 志田 玲子)
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