【No.191】「人がしっかり自然とつきあえば、森林の災害は減る」に寄せて |読者の声・藤田 恵氏|
2005.03.25

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「人がしっかり自然とつきあえば、森林の災害は減る」に寄せて
JIメールニュースNo.191  2005.3.25
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■■ 目次 ■■
1.《読者の声》「人がしっかり自然とつきあえば、森林の災害は減る」に
寄せて
2.《第92回 「J.I.フォーラム」の報告》
3.《第93回「J.I. フォーラム」のご案内》
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1.《読者の声》「人がしっかり自然とつきあえば、森林の災害は減る」に寄せて

JIメールニュースNo.184(2005.2.4発行)「人がしっかり自然とつきあえば、森林の災害は減る」に対し、藤田恵様から意見が寄せられました。(No.184は http://kosonippon.org/wp-manager/mailnews/log.html?no=194 )
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「水害は杉林の間伐不足と遅れが元凶の人災」
●水害
私のふる里、徳島県木頭村の隣の木沢村(木頭という地名もあり、県内にも木頭村と間違える人がいます)と上那賀町の、昨年の8月に全国的ニュースになった台風10号の2人死亡などの大災害は私からみれば完全な人災です。

私は現地へ行き写真も撮ってきましたが、人災であると今直ちに学問的な立証はできませんが、山や川の大自然の中で育った私には体験的にも疑う余地は全くありません。これは、最近の全国の大水害にもほとんど当てはまると考えられます。
人災の第一の理由は、杉林の間伐不足や遅れのため、林内の山肌を保護する下草(草や小さな木など)が生えないため、大雨で山肌がいっぺんに削られ大崩壊を引き起こしたのです。つまり、拡大造林後の放置による、保水力の低下と山肌の過大浸蝕です。
第二は、急峻な斜面に幅員が広すぎる農道や林道を、急峻な地形や崩壊しやすい土質などを十分に考慮しないまま開設したため、たとえば、大量の雨水や伏流水により林道などの擁壁からまず決壊が始まり、道路や道路付近の崩壊から民家の流出などが発生したのです。

第三に、河川には台風以外の時も恒常的に、大量の土砂が流入し、河床の上昇と共に、大きな淵が土砂で埋まりますが、加えて、河川工事によって本来の蛇行流路がほとんど直線化しているため、洪水時に水が一気に流れ、下流の流量が一挙に増大するようになりました。そのため、堤防が壊れ、杉などの流木が橋にかかり、濁流をせきあげるなどの水害が多く発生するようになったのです。
これらの当面の解決策としては、a.間伐の促進、b.林道開設の規制、
c.防水林の整備などが考えられます。

●経済成長に依存しない政策以外にないのでは
経済成長のためと言いながら、災害をもたらす日本の公共事業費は国際比較でも突出しています。例えば、経済開発協力機構(OECD)の統計によると、国土面積当たりで比較すれば、G7の日本以外の6カ国(米国、カナダ、英国、フランス、ドイツ、イタリア)平均の80倍、可住面積当たりだと200倍近くになります(「公共事業は止まるか」2001年、岩波新書14ぺージ以下)。
自然は有限で自然環境を破壊する無限の経済成長などあり得ません。経済成長に依存しなくても、安定した生活が出来る仕組みを創るという政策以外に人類が生き残る道もありません。にもかかわらず、日本では自民党から共産党まですべての政党の政策は経済成長を前提にしています。

また、1950年代から薪や炭はプロパンガスにと変わり、薪山(主に薪を伐っていた山)なども、拡大造林(主に50年代から60年代にかけて当時の農林省が全国的に実施した大愚策で、ブナなどの広葉樹を皆伐させ、伐採跡地に杉などの針葉樹の人工林を造成することを莫大な補助金を付けて奨励した)のために、丸裸同然になり、ほとんど杉を植林しました。
これによって、林業の停滞とともに広大な面積の人工林が手入れ不足に陥り、生物の多様性を損ねている上に、広葉樹を扱う技術なども後退してしまいました。その一方、今回のような大災害が全国で頻発しています。

これは私が数年前から予想し(拙書「脱ダムから緑の国へ」2004年緑風出版)、本格的な森林の保全を訴えておりますが、林業政策が変わらなければ、不幸にも私の予想は的中し、今後も日本全国へ拡大する一方でしょう。
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2.《第92回 「J.I.フォーラム」の報告》
人づくりのしんどさと面白さ
-京大アメフト監督と人事コンサルタントが大いに語る-
討論者:水野 弥一(京都大学・アメリカンフットボール監督)
桑畑 英紀(マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティ
ング(株)取締役・次世代リーダー育成塾)
※ 詳しくは http://kosonippon.org/wp-manager/forum/log.html?no=1108
をご覧ください。
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3.《第93回「J.I. フォーラム」のご案内》
もう一度歴史をよく見てみよう
-日本人の生き方、暮らしぶり-
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神は細部に宿ると言います。古文書などを丹念に調べて歴史研究を行って
おられる磯田道史氏。
そこから、かつての日本人の生活や考え方が浮きぼりにされます。
これからの世の中を考えていくうえで、歴史に学ぶことはまだまだ多いと
思います。ところが、とかく、私たちはパターン化された「日本人論」
「日本型」にとらわれがちです。11人家族で生活感あふれる馬淵澄夫氏
との対談を通じて、私たちがまだ気づいていないかもしれない日本人の一
面について、何かを感じとって頂ければと思います。
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日 時 : 平成17年3月29日(火)
会 場 : 銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演 : 午後6時30分(開場:午後6時00分)
ゲスト : 磯田 道史(茨城大学助教授・『武士の家計簿』著者)
聞き手 : 馬淵 澄夫(衆議院議員)
主 催 : 構想日本
定 員 :160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   :3,500円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで懇親会を開催いたします。
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参加ご希望の方は、3月28日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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