【No.189】文化の明日(前編)
2005.03.11

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文化の明日
JIメールニュースNo.189  2005.3.11
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■■ 目次 ■■
1.《文化の明日》
2.《第93回「J.I. フォーラム」のご案内》
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1.《文化の明日》
― 「心」の豊かさが地域を創る ―
<(社)土木学会創立90周年記念懸賞論文
優秀賞受賞作品(一部加筆修正)- 前編>
慶應義塾大学総合政策学部1年・構想日本非常勤スタッフ
中河香一郎

現在の日本は、「失われた十年」を経た後も、少年犯罪、キレる子供な
ど少年問題から、不確定な時代に生きる壮年者の漫然とした不安、老後不
安まで、全世代にわたり暗雲がたちこめている。このまま日本が「失わ
れ」続けて良いはずなど無いが、現在の日本上空の厚い雲を取り除き、高
気圧を呼び込むことも難しい。しかし、私は文化の豊かさ、文化に触れる
ことによる「心」の豊かさが、地域を、ひいては日本を明るくする鍵の一
つになると確信している。以下、幼少時代の沖縄での経験を中心に文化の
可能性を考察しつつ、いかに我々が未来のコミュニティを創造していくべ
きかを述べる。
そもそも、文化とは何か。広辞苑では(1)文徳で民を教化すること。
(2)世の中が開けて生活が便利になること。文明開化。(3)(culture)人間が
自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果。(以下略)となっている。
我々が最もよく使う語意は精神的意味合いが強い(3)であり、本論文も、こ
の定義によるカルチャーとしての文化について考えていく。
私が初めて出会った「文化」は書道であり、小学校一年生のときであっ
た。まだ書に対して特別な感情を抱いていた訳ではないが、教室通いは欠
かさなかった。一つの転機が訪れたのは小学校二年生の時で、私は山陰地
方から沖縄の学校に転校することとなった。私は、幼いながらも沖縄で今
までと明らかに違う空気を感じ取った。この空気とは沖縄の人々であり、
歴史に彩られた建造物であり、有形無形の文化遺産であった。この空気こ
そ私にとって第二の「文化」である。首里城など世界遺産の遺跡群が目と
鼻の先にあり、文化の壮大さを享受するには最高の環境であったが、当然
書道の鍛錬も忘れず、賞を頂く機会も増えていった。それまで特別な理由
なく書道を続けていたが、賞を頂いたり、著名な先生に指導してもらう中
で自分は何故書を続けているのかを考えるようになった。その答えは実は
単純で、「好きだから」という一言に尽きた。
書には苦しい面も多々あるが、それに加え美しさ、安らぎなど多くの要
素が含まれているように思う。言葉にすると抽象的だが、書という行為は
人間の生き様そのもののように感じられるのだ。特に私は「静」という部
分でそれを最も顕著に感じる。ただ一人紙に向かうのは一見退屈な行為だ
が、客体でなく実際に経験すると、退屈な要素など微塵もないことが分か
るはずだ。というのもまず一つに半紙の上で二度と同じ現象は起こらず、
書とは専ら自らに対する挑戦であるからだ。今まで限界だと認識していた
ところに到達すると更に先が見えてきて、限界が自分から遠のいていく。
つまり、限界とは自らの手で作っている一つの通過点に過ぎないのだ。
また、普段の喧騒の中では静寂の中で物思いにふける機会はそうはない。
だが書に向かうその時だけは特別である。先に「静」が人間の生き様を表
している、と述べたのはこの「静」の時間の中で実際は多くのことを考え、
自らと対峙しているからである。また外面的な「静」の時間も実は心の内
面では「動」であったりするのだ。当時ここまで考えていたわけではない
が、幼いなりの「静」「動」を感じ取っていたのだ。
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2.《第93回「J.I. フォーラム」のご案内》
もう一度歴史をよく見てみよう
-日本人の生き方、暮らしぶり-
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神は細部に宿ると言います。古文書などを丹念に調べて歴史研究を行って
おられる磯田道史氏。
そこから、かつての日本人の生活や考え方が浮きぼりにされます。
これからの世の中を考えていくうえで、歴史に学ぶことはまだまだ多いと
思います。ところが、とかく、私たちはパターン化された「日本人論」
「日本型」にとらわれがちです。11人家族で生活感あふれる馬淵澄夫氏
との対談を通じて、私たちがまだ気づいていないかもしれない日本人の一
面について、何かを感じとって頂ければと思います。
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日 時 : 平成17年3月29日(火)
会 場 : 銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演 : 午後6時30分(開場:午後6時00分)
ゲスト : 磯田 道史(茨城大学助教授・『武士の家計簿』著者)
聞き手 : 馬淵 澄夫(衆議院議員)
主 催 : 構想日本
定 員 :160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   :3,500円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで懇親会を開催いたします。
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参加ご希望の方は、3月28日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
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*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下まで。TEL 03-5275-5665
*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田まで。TEL 03-5275-5607
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