- 【No.158】二大政党政治に一直線?
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二大政党政治に一直線?
JIメールニュースNo.158 2004.7.30
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■■ 目次 ■■
1.《二大政党政治に一直線?》
2.《第84回 「J.I.フォーラム」の報告》
3.《お知らせ》
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1.《二大政党政治に一直線?》
ジャーナリスト 藤田正美(ふじた・まさよし)
参議院選挙で民主党が勝ったので、これで二大政党政治への流れが一気に
加速した、そうだ。「政権を担える政党」というのが民主党の口癖であっ
たが、昨年の総選挙での「大躍進」に続く今回の勝利で、来るべき総選挙
では一気に天下取りをめざすという。ただ残念ながら、総選挙は小泉不信
任案が可決されるというような事態にならない限り、3年経たないと行われ
ない。ということは、3年もの間、民主党がそれだけの勢いを保っていられ
るかどうかが焦点になる。
そう考えると、民主党の政党としての脆弱性がやはり気になる。自民党も
政治的な立場としては右から左まで包含している政党ではあるが、それに
負けず民主党にも右から左までいろいろいる。自民党の場合は、党内で意
見が割れても党が分裂する可能性は少ない。なぜなら自分を勝たせてくれ
る(議員にしてくれる)政党である限り、自民党に所属する意味があるか
らだ。自民党のタガが緩んでいると言っても、まだパワーはある(少なく
ともそういう幻想はある)。それに対して民主党は、今のところ所属議員
を納得させるだけのパワーはない。勢いはあるが地力はないと言ったらわ
かりやすいかもしれない。
だから党の結束を損なうような争点があれば、民主党は比較的容易に分裂
してしまう可能性がある。そのひとつは憲法改正問題だろうし、もう一つ
は自衛隊の海外派遣の問題だろう。さらに、全逓や官公労など民主党の支
持母体に関連する行政改革問題である。いずれも避けて通れないテーマだ
が、ここに直面したとき民主党内部では深刻な主導権争いが生じる危険性
がある。どちらかといえば自民党よりの現執行部では、政党としての差別
化ができないということで、左派が突き上げて亀裂が広がり、結果的に分
裂というシナリオもありえる。
本来的に言えば、二大政党と言っても、今は世界的に二つの政党の対立軸
が見えにくくなっている時代。福祉を重視する左派といえども、財政が逼
迫している状況(これも先進国は似たり寄ったりで日本あたりが一番ひど
い)を考えれば、大きな政府を標榜するわけにいかなくなっている。イギ
リスやフランスではかつて、左派政権が誕生すると企業が国有化され、右
派政権が誕生すると民営化されるということが繰り返されていた。しかし
企業は国有化したほうがいいと考える人は今ではほとんどいないだろう。
つまりわれわれは、イデオロギー対立がとうの昔に終わってしまって、右
であろうが左であろうが選択肢はごく限られている時代に突入しているの
である。米共和党のブッシュ大統領のいちばんの盟友が英労働党のブレア
首相であることが、こういった状況をきわめてよく象徴している。
このような状況になるには、そこまでにかずかずの「洗礼」を受けてくる
ものだ。すなわちさまざまなアジェンダを通じて、その問題をどうとらえ
るかが議論され、その中で絞られてくるものだと思う。民主党はそういっ
た党内論争を残念ながらまだあまり経ていない若い政党である。だから自
衛隊問題などで、自民党から踏み絵を突きつけられた時に、執行部が舵取
りを誤ったりすると、分裂の危機を迎えてしまうかもしれないのである。
まして改革派であるべき民主党のいちばんの組織票が労働組合という構造
が桎梏にならないという保証はない。かつての労働組合は、労働者の待遇
改善を推進し、結果的に社会的不公正を解消する重要な役割を担っていた。
しかし今では、雇用者側との運命共同体の中で、社会変革どころかむしろ
現状維持を唱える集団となっている。これは労働運動指導者の問題ではな
く、社会の変化に伴う役割の変化なのだと思う。政府や自治体の効率化が
叫ばれるとき、必ずこの問題が出てくる。官公労が自ら血を流して効率化
を進めることはありえない。
なぜならそれは存在価値の否定につながるからだ。民主党はこのときどう
するのだろうか。そこをクリアしないと3年後の政権はないのである。
<プロフィール>
1948年東京生まれ、東洋経済新報社で経済記者をつとめ、1985年
よりニューズウィーク日本版で編集に携わる。1994年から2000年
まで同誌編集長、2004年3月まで同誌編集主幹。4月よりフリー。
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2.《第84回 「J.I.フォーラム」の報告》
名は体をあらわす
-あらためて地名を考えよう。
そこから町、さらには国のすがたが見えてくる-
住居表示の簡素化や市町村合併の際つけられた、官制、あるいはお手軽地
名は将来どうなるのでしょうか。今回は地名を通してコミュニティのあり
方などについて大いに議論して頂きました。
くわしくは、 http://kosonippon.org/wp-manager/forum/log.html?no=1100
をどうぞ。
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3.《お知らせ》
●ザ・討論会
子どもと国会議員が大激論!!
~参院選の模擬投票をふりかえって~
討論会では、子ども・若者たちが、日本の選挙や政治、政治家など
について、日ごろ抱いている疑問、思い、意見などを国会議員に直接
ぶつけます。先日の参院選の結果をどう考えるのか? これからの日
本をどうするのか? 「未来の有権者」である子ども・若者と現役の
国会議員が本音で熱く語り合います。
ご関心のある方は奮ってご参加ください!
日 時: 8月3日(火) 午前11時30分から12時30分
場 所: 衆議院第二議員会館・第二会議室(1F)
東京都千代田区永田町2-1-2
挨 拶: 加藤 秀樹 構想日本代表
討論者: 下村 博文 衆議院議員(自民党)
阿久津 幸彦 衆議院議員(民主党)
ほか国会議員、模擬投票実施者
(学校関係者など)ら複数
主 催: NPO法人Rights(ライツ)
後 援: 構想日本
※申込み手続は必要ありません。当日、議員会館1Fで
主催関係者が整理券をお配りします。
<お問合せ先>
NPO法人Rights (ライツ) 担当:林
TEL:090-1991-7458 E-mail: info@rights.or.jp
構想日本 担当:西田、室田
TEL:03-5275-5607 E-mail: info@kosonippon.org
●「権力の道化」 櫻井よしこ (新潮社)
「新潮45」2~5月号で道路公団改革の決定プロセスを克明にレポートし
てきたジャーナリストの櫻井よしこさん。これに大幅に加筆修正を加えた
本が出版されました。民営化が全く形だけになった背後に何があったのか。
国民不在の政治家、正義の味方を装いながらその政治家にすりよる「道
化」。これが真実です。
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