- 【No.157】深刻な医師不足、その背景には
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深刻な医師不足、その背景には
JIメールニュースNo.157 2004.7.23
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■■ 目次 ■■
1.《深刻な医師不足、その背景には》
2.《第85回「J.I.フォーラム」のご案内》
3.《お知らせ》
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1.《深刻な医師不足、その背景には》
構想日本政策スタッフ 金野桂子
都会に住んでいると、多くの病院や診療所が身近にあるのでピンとこ
ない方も多いと思いますが、実は、日本の医療問題の一つに医師不足が
あります。「へき地」と言われる山間部や離島など医療機関のない地域
を含め、深刻な問題となっています。
7月9日、厚生労働省は、へき地を含む地方の医師不足が深刻な事態
であるのを受け、医師の確保が困難な病院の場合、医師の配置基準を
10%引き下げて診療報酬が減額されないよう配慮する特例措置を3年
間認めることを決めました。
医師不足の状況を招いている背景には、どのような問題があるのでしょう
か。そして、それに対する今回の厚生労働省の対策は適切なのでしょう
か。これらについて考えてみます。
まず、配置基準とは何でしょうか。病床数や外来患者数などをもとに、医
療機関が配置しなければならない医師数が法律で定められています。さら
に、その医師数が基準の60%を切ると、診療に対して医療機関に通常支
払われる報酬が減額されることも定められています。例えば、医師数を9
人配置しなければならないところ、5人しか配置していなければ、
55.6%で減額対象の病院となります。今回の厚生労働省の対策は、
この基準を一時的に緩めようというものです。
この対策は、昨年、充分な数の医師を確保できないでいた病院が、大学
に在籍する医師の名前を借りて常勤医として登録することで減額を免れ
ていたことが次々と発覚したためにとられたものです。いわゆる「名義
貸し」問題です。
文部科学省の調査によると、医学部を置く国公私立大学79校のうち、
51校で1000人以上も「名義貸し」をしていた実態が確認されたの
です。
この問題が出てきた背景には、大学病院にいる大学院生の収入不足解消
と地方病院の医師不足解消という、大学側と病院側の利害の一致があっ
たのです。ところが、「名義貸し」の問題で、地方の病院が法律で決め
られた医師を確保していない実態が明らかとなったわけです。
医師の確保が難しいのは、医師の数に比べ病床数が多すぎる、何かと便
利な都心部での診療を希望する医師が多く、地方を希望する医師が少な
い、経営上多くの医師を雇えないなど様々な理由が上げられています。
しかし、医師不足もさることながら、そもそも法律で決められた全国一
律の医師の配置基準にも無理があるのです。
医師の配置基準数は、病床数と外来患者数から機械的に算出されるもの
ですが、例えば、高齢者が多い地域で慢性疾患の患者が多い病院は、長
期間の療養、栄養指導やリハビリなどの診療に重点が置かれるべきです。
一方、専門的な高度医療を担っている病院は、先端的な技術と知識を持
った専門医たちがチームで医療を提供をすることが必要な場合が多いの
です。これだけ多くの名義貸しがあるということ、そして厚生労働省が
それにあわせるかのような特例措置を出したということは、基準どおり
の医師数がなくても十分やっていける病院だって多いということじゃな
いでしょうか。
このように、患者のニーズが違う医療機関に、一律の配置基準による医
師数を義務づけているのです。地域ごとの状況や医療機関ごと担ってい
る役割を考慮しながら、医師数を考えることが必要なのです。
全国一律その基準で本当にいいのか、逆に、この基準が医療現場に混乱
をもたしていないかどうかも含めて、基準そのものの見直しが必要です。
そのためには、もっと医療現場の実態を把握することが必要です。
医師不足を補うために行っていた医師の名義貸しですが、この問題の
ベースにあるのは、医療制度のゆがみや矛盾があるように思われます。
構想日本は、現在の医療制度見直しの提言を行う予定です。
医療についてのご意見、ご経験をお聞かせ下さい。
◆ひとこと
行政が決めた一律の基準、これは私たちの生活や企業活動のすみずみに
まで及んで、不便や非効率をもたらしています。これを変えていくのが
本来の「構造改革」なのです。しかし、これを変えていくには、すべて
を行政の責任にしたがるという私たち自身の態度もあらためなければな
りません。それが「自己責任」の意味だと思います。
構想日本が先頃発表した教育行政改革や三位一体改革の提言も、そのよ
うな脈略の中で是非読んでみて下さい。
(加藤秀樹)
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2.《第85回「JIフォーラム」のご案内》
女性必見!男性超必見!!
-女性リーダー達の勇気と元気と心配り-
http://kosonippon.org/wp-manager/forum/new.html
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「JIフォーラムは、男の理屈っぽい話が多い」という感想を時々戴きます
(本当はそうでもないのですが)。男だ女だと分けること自体、意味がな
いことだと思います。しかし、私達の回りを見渡すと、女性の方が最近は
どうも元気なようです。
そこで今回は、様々な分野でリーダーとして慕われ、また腕を振るって
いる4人の女性たちに、実体験に基づいた臨場感のある話をふんだんにし
て戴きます。話の引き出し役は、人の能力と魅力を引っ張り出すプロの
渋谷さんです。
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日 時:平成16年7月27日(火)
会 場:銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演:午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者:小笠原 敬承斎(小笠原流礼法宗家)
牧嶋 博子(TBS報道局社会部担当部長)
野村 るり子((株)ホープス代表取締役)
本井 稚恵(アクセンチュア(株)パートナー)
コーディネーター : 渋谷 和宏(日経ビジネスアソシエ編集長)
主 催:構想日本
定 員:160名
参加費:2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費:3,500円
※今回からゲストを囲んで懇親会を開催いたします。
事前申込のみ承ります。
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参加ご希望の方は、7月26日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先
懇親会 参加する 参加しない
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お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
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3.《お知らせ》
●「権力の道化」 櫻井よしこ (新潮社)
「新潮45」2~5月号で道路公団改革の決定プロセスを克明にレポートし
てきたジャーナリストの櫻井よしこさん。これに大幅に加筆修正を加えた
本が出版されました。民営化が全く形だけになった背後に何があったのか。
国民不在の政治家、正義の味方を装いながらその政治家にすりよる「道
化」。これが真実です。
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