【No.155】戦場ジャーナリストの公と私
2004.07.09

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戦場ジャーナリストの公と私
JIメールニュースNo.155  2004.7.9
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■■ 目次 ■■
1.《戦場ジャーナリストの公と私》
2.《第85回「J.I.フォーラム」のご案内》
3.《お知らせ》

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1.《戦場ジャーナリストの公と私》
民間シンクタンク勤務 O

仕事柄、東南アジアを訪れる機会が多い。海外出張の魅力は、現地
の雰囲気を五感、肌身で感じ取れることにあるが、そのほかに国内で
は会うことができない日本人に出会うこともある。
私は2年前、タイ・バンコクである人の紹介で、先日イラク取材中
に亡くなった橋田信介さんと食事をする機会を得た。初対面でかつ
戦場ジャーナリストとしか情報のない当方は困惑をしていた。日本の
アジアに対する役割や課題など、厳しい質問を受けると覚悟した。
しかし現れた橋田さんは、もう日本国中で知れ渡っている通りの
「温和な初老」であった。日本のアジアに対する役割などには一切
触れず、タイを話題に、橋田さんお気に入りのレストランでタイ料理
に舌鼓を打った。
逆に質問をぶつけたのは私達の方であった。戦場ジャーナリストと
いう、本当に「命を賭ける」仕事に携わっているにしては、いやに柔
和過ぎるじゃないかと思ったからである。
そこからわかったことは、橋田さんにとって戦場が一番落ち着くの
だということだった。「天才は自分の天才ぶりに気がつかない」とい
うことはよくあることだが、橋田さんも生まれた時から戦場ジャーナ
リストとしての資質を備えた人であったのだろう。
今回の事件をニュースで聞き、さらに戦争の被害を受けたマルコム君
を日本に招き、自費で目の手術を支援しようとしている件を聞いて、
2度驚かされた。
戦場ジャーナリストとしての「公の行為」は、戦場の悲惨さを伝え
ることである。そのために、橋田さんは伝聞ではなく、五感を鋭く
しながら、戦場を歩くことを自らに課した。それでジャーナリストと
しての「公の行為」は十分に果たしている。
マルコム君の件は、橋田さんの人間としての「私の行為」といえる。
おそらく、戦場ではマルコム君のような子供は多く、個人の力は「焼
け石に水」に過ぎない。しかし個人の行為の結果が、何万分の1の改
善にしかつながらなくても、「私の行為」を成し遂げようとした橋田
さんの行為には考えさせられた。
時間がたつにつれ、橋田さんの「公の行為」を継続しながら、具体
的な「私の行為」を積み重ねていくことは、本来「普通」のことでは
ないかと思うようになった。
しかし、これが案外難しい。年金問題について激論する人は、近所
のお年よりを幾人知っており、この1週間で何をしただろうか。開発
・環境問題を考え、世界の平和を訴える人は、単に「気分転換」のた
めに60億人のすべてが味わえない休日のドライブをしてはいないだ
ろうか。
そういう思いで、政治討論を聞いていると、人の話を聞かず同じこ
としか答えない、人の失敗ばかりを問題にする、討論自体ができない
政治家は「普通でない」と確信するようになった。今度の参院選では、
候補者の「公約」ではなく、日頃の「行為」を投票基準にしてみたい
と思っている。
◆ひとこと
構想日本は、改革の実現という「公の行為」を仕事にしているが、福
祉や教育などで「私の行為」を黙々とつみ重ねている人たちを見ると、
構想日本の活動にはリアリティが欠けているような気がして、時々虚
しくなります。そんな時には「私の行為」が世の中により効果的に生
きるようにするのが構想日本の仕事だと思い直している。政治家やテ
レビのコメンテーターなどにはおよそリアリティの感じられない人が
多いが、学校教育にボランティア活動を義務づける前に彼らに「私の
行為」を義務づけた方が日本はよくなるかもしれない、と自省しつつ
考えました。
(加藤 秀樹)

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2.《第85回「JIフォーラム」のご案内》
女性必見!男性超必見!!
-女性リーダー達の勇気と元気と心配り-
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「JIフォーラムは、男の理屈っぽい話が多い」という感想を時々戴きます
(本当はそうでもないのですが)。男だ女だと分けること自体、意味がな
いことだと思います。しかし、私達の回りを見渡すと、女性の方が最近は
どうも元気なようです。
そこで今回は、様々な分野でリーダーとして慕われ、また腕を振るって
いる4人の女性たちに、実体験に基づいた臨場感のある話をふんだんにし
て戴きます。話の引き出し役は、人の能力と魅力を引っ張り出すプロの
渋谷さんです。
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日 時:平成16年7月27日(火)
会 場:銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演:午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者:小笠原 敬承斎(小笠原流礼法宗家)
牧嶋 博子(TBS報道局社会部部長)
野村 るり子((株)ホープス代表取締役)
本井 稚恵(アクセンチュア(株)パートナー)
コーディネーター : 渋谷 和宏(日経ビジネスアソシエ編集長)
主 催:構想日本
定 員:160名
参加費:2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費:3,500円
※今回からゲストを囲んで懇親会を開催いたします。
事前申込のみ承ります。
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参加ご希望の方は、7月26日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会         参加する      参加しない
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お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
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3.《お知らせ》
●「権力の道化」 櫻井よしこ  (新潮社)
「新潮45」2~5月号で道路公団改革の決定プロセスを克明にレポートし
てきたジャーナリストの櫻井よしこさん。これに大幅に加筆修正を加えた
本が出版されました。民営化が全く形だけになった背後に何があったのか。
国民不在の政治家、正義の味方を装いながらその政治家にすりよる「道
化」。これが真実です。
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