【No.153】父性と母性を求め得る時
2004.06.25

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父性と母性を求め得る時
JIメールニュースNo.153  2004.6.25
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■■ 目次 ■■
1.《父性と母性を求め得る時》
2.《第84回「J.I.フォーラム」のご案内》
3.《お知らせ》

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1.《父性と母性を求め得る時》

京都府綾部市長 四方八洲男

私は高校卒業後、大学と就職で20年間綾部を離れていた。38歳のとき突
然綾部に帰って市議になった。はじめての一般質問は「20年離れていて、
良くも悪くも綾部の町は変わっていないというのが第一印象だった。しか
し、よく見ると若者が減っていた。」ということで始まった。
綾部を離れていたのは昭和33年からから昭和53年までだから、都市が農
村の若者を呑み込みながら膨張を続けた時代だった。その農村出身の若者
が今、定年を迎えている。いわゆる「団塊の世代」も定年後の長い人生を
どうするかと思案している。
その一方で都会生まれ、都会育ち、山や畑を知らない若い世代も急増し
ている。高度成長期に対する反動と反省が今生まれつつある。
考えてみれば人間の歴史の中で工業が主流を占めたのは、せいぜい
100年。あとは産業といい教育文化といい、全て農業農村が中心だった。
戦後の農地解放は小作農を自作農に変えた。朝は朝星、夜は夜星。一生
懸命働けば飢えずにすんだ。そのことはすばらしいことだったがしかし、
農業を産業として位置づけるには余りにも弱体であった。
そこへ高度成長の波がやってきたのだから若者が都会へ都会へと流れて
いったのは必定だったのだ。その工業の波が静まり安定成長になったとき、
ふるさとが見えてきた。農業農村がみえてきたのだ。
幸か不幸かやる気があれば、ほぼ整備された農地はいっぱいある。
綾部市はこういう時代の流れを積極的に受け止めてまず、廃校跡を都市
との交流拠点にした(里山ねっと・あやべ)。市民農園や農家民泊の特区
もとった。空き家を希望する人はずいぶんおられるが、仏壇が置いてある、
世間体が悪い、値段が合わないということでなかなか取引が成立しない。
仕方がないので綾部市では風光明媚な高台に農村住宅用地(平均
420.81平方メートル、約4,682,000円=菜園を含む)を造
った。定住し一反でも百姓をやるという人を募集している。(非農家が一
反でも農地を買えるという特区も既にとっている)。
フランスでは家族の中の一人は農業についてほしいと願っているという
し、国民の70パーセントが、農業は強くなければならないと思っていると
いう。工業と農業のそういうバランスのとれた日本にしていく、今は大切
な時期だと思う。
農業に定年はない。白寿(99歳)の人でも豆の選別、草引きなど仕事は
いっぱいある。
ピンピンコロリ「健康長寿」をめざし農業農村に定年後の人生を賭けよ
うという人は、急速に増えてきている。さらに専業農家もさることながら、
食の自給体制をとりながら一方で、自分の好きな分野で何がしかの現金を
稼いで生活したいといった若者もでてきている。
ハイテク産業の経営者も農業への参入を真剣に考え始めている。
人は父性(都市)と母性(農村)をもってはじめて幸せになれる、とい
う当たり前の結論に到達しつつある。
帰りなん、いざふるさとへ!!
※農村住宅用地などの問い合わせは、綾部市役所農林課(京都府綾部市若
竹町8-1、TEL:0773-42-3280)までお願いいたします。
<筆者のプロフィール>
昭和15年、西宮市生まれ。昭和20年、綾部市に移る。京都大学経済学
部卒。三菱重工業勤務を経て、綾部市議会議員(2期)、京都府議会議員
(3期)を歴任。現在、綾部市長(2期目)。
綾部市のホームページ: http://www.city.ayabe.kyoto.jp/
◆ひとこと
「都会的」というと、たいてい、センスのいい、洒落たという意味合いで
使われる。一方、「田舎モン」というと、ダサい、遅れている、など否定
的なニュアンスが強い。これは、しかし、世界共通の普遍的な使い方では
全然ない。イギリスでは、「カントリーライフ」というと、憧れの対象だ。
綾部の取り組みが広がって、いずれ日本人が「田舎的」「都会モン」とい
った言葉を使うようになるとうれしい。
(加藤 秀樹)
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2.《第84回「JIフォーラム」のご案内》
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必見! 旧町名復活のドラマは地域活性のヒントがいっぱい!
お待ちしています!
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名は体をあらわす
-今、消えゆく町名をあらためて考えよう!―
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かつて権力者が自らの名前をつけた都市名の多くは、はかなく消え去って
いきました。では、住居表示の簡素化や市町村合併の際つけられた、官制、
あるいはお手軽地名は将来どうなるのでしょうか。
地名には、その地の歴史、風土、生活さまざまなものがこめられていま
す。だからこそ、多くの人が地名に愛着をもち、旧名復活の動きもおこる
のです。
地名を通してコミュニティのあり方、ひいては日本人一人一人のアイデン
ティティまで大いに議論して頂きます。
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日 時:平成16年6月30日(水)
会 場:銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演:午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者:今尾 恵介(エッセイスト/日本地図センター客員研究員)
松田 昭一(金沢市市民生活部部長)
三橋 浩志(日本総合研究所主任研究員/全国地名保存連盟会員)
コーディネーター:小松俊昭(政策投資銀行/金沢工業大学産学連携室客員
教授)
主 催:構想日本
定 員:160名
参加費:2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
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参加希望の方は、下記のメールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
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参加ご希望の方は、誠に恐縮ですが6月29日までに出欠の是非を
お知らせ願います。
お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
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3.《お知らせ》
●「権力の道化」 櫻井よしこ  (新潮社)
「新潮45」2~5月号で道路公団改革の決定プロセスを克明にレポートし
てきたジャーナリストの櫻井よしこさん。これに大幅に加筆修正を加えた
本が出版されました。民営化が全く形だけになった背後に何があったのか。
国民不在の政治家、正義の味方を装いながらその政治家にすりよる「道
化」。これが真実です。
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