- 【No.147】心土不二の時代(前編)
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心土不二の時代
JIメールニュースNo.147 2004.5.14
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■■ 目次 ■■
1.《心土不二の時代》
2.《第83回「J.I.フォーラム」のご案内》
3.《お知らせ》
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1.《心土不二の時代》
― 農業から日本社会を考える ー (前編)
大阪経済大学 日本経済史研究所所長 徳永 光俊
●日本から農業が消える日
鳥インフルエンザ、BSE、遺伝子組み換え食品、農薬・・・・。もう、安
心して食べられるものがない。現在は「飽食の危機」である。しかし、ち
ょうど60年前は、食べられるものが何もない「飢餓の危機」であった。
東京都で戦後初の農業改良普及員となった薄井清は、『東京から農業が
消えた日』(2000草思社)で、こうした戦後農業の移り変わりを見事にと
らえている。戦後すぐの食糧難の中、「腹」を満たすものなら人は何でも
食べた。高度成長で次第に豊かになり、ある程度満腹になると、「口」に
入れて味の良いもの、さらには、「目」でみて見栄えの良いものへと移っ
てきた。
ところが有吉佐和子の『複合汚染』(1975)で農薬使用が問題になると、
「頭」で安全と判断できるものへと変化した。有機農業や産直運動を生み
出し、現在まで続いている。
腹→口→目→頭と、食べる身体の場所は変わりながら、食糧自給率は
40%以下にまで低下した。何だかんだ言っても輸入で何とかなってきた
ではないか、という安心感。近いうちに「日本から農業が消える日」が来
ないとも限らない。
「頭」の次に来るものは、はたして何だろうか?
●農は永遠なりか?
こうした危機の中、「有機認証制度」がもてはやされている。これで食
品は大丈夫なのだろうか。農民作家の山下惣一は、50年以上にわたる農
業経験をふまえて、これがWTO(世界貿易機関)の陰謀だと喝破する。えっ、
どういうこと?
彼の『ザマミロ!農は永遠なりだ』(2004家の光協会)には、フツーの
農家の本音が余す所なく語られている。
有機農業や環境保全型農業に対して彼は、本人たちの思惑とは別の現象
として、一般の農産物とは違うという「差別」、農業機械や農薬・化学肥
料、ビニールハウスなどによる近代的農業には与しないという「排除」、
自分たちだけが正しいという「独善」の3つの論理がまかり通っているの
ではないかと、心配する。
彼は、近代化を超えるとは、昔に戻る事ではなく、近代化の技術と経験
を活かして、原理原則を決して行きづまることのない循環、「まわし」の
基本に到達させることだという。農を軸にした成長を必要としない小さな
循環型社会を地域の消費者とともに目指そうと呼びかける。全く賛成であ
る。
山下は言う。日本から農業は消えたりはしない。農は永遠なりだ。この
国と国民に農業を守る意思がないのなら、百姓は独立するぞ!
<プロフィール>
1952年、愛媛県松山市生まれ。京都大学大学院農学研究科博士課程単
位取得退学。農学博士。現在、大阪経済大学教授、日本経済史研究所所長。
主要編著書:『日本農法の水脈』(1996)、『日本農法史研究』
(1997)、『日本農法の天道』(2000)、共編『日本農書全集』第Ⅱ期全
37巻(1993~99)(以上は、いずれも農山漁村文化協会)。共編『写真
でみる朝鮮半島の農法と農民』(2002未来社)、共編『黒正巌著作集』全
7巻(2002思文閣出版)。
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2.《第83回「JIフォーラム」のご案内》
なぜ「食べもの」が危なくなったのか?
-牛、鶏、野菜・・ ・大量生産・消費と地産地消-
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いまの日本人は食生活に関しては、世界一贅沢と言えるでしょう。世界中
の食料が手に入り、世界中の料理が味わえる。そして捨てられる食べもの
も世界一。
一方、鳥インフルエンザ、BSE、その他、農薬、添加物、遺伝子組替
え食品など、食べものを通した危険が私たちにせまっています。大量生産
が可能にしたぜいたくと危険が隣り合わせにあるのです。
そこで、『地産地消』をキーワードに、食べものについて、また農業の
あり方などについて現場を踏まえた議論をして頂きます。
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日 時 : 平成16年5月25日(火)
会 場 : 銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演 : 午後6時30分(開場:午後6時00分)
討論者 : 川瀬 滋子(鳥取県地産地消推進室室長)
原田 津 (農事評論家)
古野 隆雄(全国合鴨水稲会世話人)
山下 惣一(農民作家)
他
コーディネーター : 徳永 光俊 (大阪経済大学日本経済史研究所所長)
主 催 : 構想日本
定 員 : 160名
参加費 : 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
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参加希望の方は、下記のメールアドレスにお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
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参加ご希望の方は、誠に恐縮ですが5月24日までに出欠の是非を
お知らせ願います。
お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
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3.《お知らせ》
●「新潮45」5月号(新潮社)
権力の道化師 「猪瀬直樹の『悲劇』」櫻井よしこ
2月号から道路公団改革の政府案の決定プロセスを克明にレポートして
きたジャーナリストの櫻井よしこさん。これまで、ジャーナリストとして
のその姿勢を様々な角度から批判してきた猪瀬氏を「権力に擦り寄りつつ
改革派を装い、同時に勝ち組につく」と断罪し、その「使い手」たる小泉
首相とともに「退場」を促しています。
改悪に他ならない政府案を出した「失敗」の責任は誰がとるべきか。シ
リーズ「完結扁」です、ぜひ、ご覧下さい。
●構想日本ではこのほど、インターネットによる募金システム
「募金やドットコム」 http://www.bokinya.com/ に加盟しました。
ヘッダーにある【団体名で募金さがし】をクッリクし、カ行の欄で
構想日本をご覧下さい。
ご自身はもとよりお知り合いの方々にもお声をかけて頂き、
ご協力をよろしくお願 い申し上げます。
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