【No.460】「景観まちづくりの原点は何か」 |龍谷大学 教授  牛尾 洋也氏|
2010.07.15

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J.I.メールニュースNo.460 2010.07.15 発行
「景観まちづくりの原点は何か」

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◆◇ 目 次 ◇◆

【1】 「景観まちづくりの原点は何か」
龍谷大学 教授 牛尾洋也

【2】 第157回J.I.フォーラムのご案内 7月29日開催

【3】 2010年度自治体の事業仕分け 開催スケジュールはホームページでご覧ください
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【1】 「景観まちづくりの原点は何か」
龍谷大学 教授 牛尾洋也

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1年にわたって学生達と取り組んできた「景観まちづくり学生提言」の活動は、私たちのま
ちづくりの研究活動の出発点であった鞆の浦のある福山市と広島県へ提言を提出し、ようや
く一段落しました。私たちが訪れたそれぞれの町には、「まちづくり」について個別に喫緊
の課題を抱えており、各様の取り組みを学ばせていただきましたが、同時に、その問題の根
深さを知るにつれ、思想または文化のレベルで「まちづくり」の原点を再度考えてみる必要
があると感じました。

かつて、友人であったドイツ人学生に、「公共性」という言葉に繋がる「公的」というドイ
ツ語“offentlich”を他の言葉で言い表すならば、どのような言葉があるだろうかと尋ねた
ところ、即座に“burgerlich(市民的)”という言葉が返ってきました。強いて英語でいえ
ば“public”を“civil”と言い表したことになります。わたしは、彼等の物の考え方に大
いに感心しました。

一般に、offentlich(公的)とprivat(私的)とは対義語です。しかし「公」をburgerlich
(市民的)と表現したのは、それが「官」の類義語でないことを示しつつ、単なる個人とし
ての「私」の存在を超越した「市民」こそが、コミュニティーの一員として「公」を編成す
るという考え方があるからではないでしょうか。

ちなみに、「民法」は、私的な個人の財産を保護する「私法」ともいわれますが、「民法」
のドイツ語はまさに“Burgerliches Recht”であり、英語でも“Civil Law”です。このよ
うに一般的に用いられている「市民的」という言葉に代えて、誤解を恐れずあえて身近な
「私たちの」という言葉を用いるならば、「公的」なるものについて、もう少し発想を広げ
ることができるのではないかと思います。

すでに、ご存知の方も多いかと存じますが、ヨーロッパやドイツの町(Stadt)では、特に旧
市街などでは、町全体に亘って車両交通が規制され、まち中への車の遮断は人々が安心して行
き交うことができます。市庁舎前には大きな広場が確保され、季節や曜日、時間によって様々
な市場(Markt)やフェスト、イベントやパーフォーマンスが繰り広げられています。

まち並みは曲線で構成され、広場のカフェーには多くのパラソルが開き、道端のベンチや遊具
噴水や記念碑なども多く点在しています。古い建物を美しく端正に修復し、現代の人々の営み
に利用されている建物群は、屋根の色やスカイラインが調和するように整えられ、広告や店の
ディスプレイ、色彩、形状もシックで芸術的でさえあります。教会の門をくぐれば、しばしパ
イプオルガンや賛美歌の美しい音色に聴き入り、通りやお店で出会った人との何気ない会話が
楽しい。一人でも、家族連れでも歩くだけで十分「まち」を堪能できるのです。

「まち」は“burgerlich”な空間ですが、生活する人はもちろん、行き交う人々も、そこをこ
よなく慈しむ人々にとって、「私たちの」空間であるという意識を共有しているといえるでし
ょう。

さて、日本の「まち」はどうでしょう。思想や文化のレベルで「まちづくり」の原点を再考す
べきではないでしょうか。

【2】 第157回J.I.フォーラムのご案内 7月29日開催
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「期待される新人議員たちが語る!(仮)」
○日 時: 平成22年7月29日(木) 18:30~20:30

○会 場: 日本財団ビル2階 大会議室
港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111(代)
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html
※会場のセキュリティの都合上、本案内状を会場1階で提示してください。

○開 演: 18時30分(開場:18時)

○討論者  : 各党新人参議院議員多数

○コーディネーター: 加藤秀樹(構想日本)

○主 催: 構想日本

○定 員: 160名

○フォーラム参加費: 2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)

○懇親会参加費: 4,000円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで、下記の会場で懇親会を開催いたします。
「トラットリア・イ・プリミ 虎ノ門店」
港区虎ノ門2-2-1 JTビル1F TEL 03-3589-5812
(http://www.ep-tokyo.com/iprimi/toranomon/)

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参加ご希望の方は、7月28日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org

お名前

所属

ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない

————————————————————–
*参加申し込みに関するお問い合せは、
事務局 木下明美まで。TEL 03-5275-5665

*内容に関するお問い合せは、
フォーラム担当 西田陽光まで。TEL 03-5275-5607
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【3】 2010年度自治体の事業仕分け 開催スケジュールはホームページでご覧ください
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藤沢市 2010年7月17日(土)、18日(日)開催

稲城市 2010年7月24日(土)開催

相模原市 2010年7月31日(土)、8月1日(日)開催

高松市 2010年8月1日(日)開催

大阪市 2010年8月21日(土)、22日(日)開催

●詳しくは構想日本HPをご覧ください:http://kosonippon.org/wp-manager/shiwake/

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