「政治とカネ」問題の根本解決策を提言としてまとめました。ひと言で言うと民間企業や公益法人と同等の資金管理をすることです。
提言のポイント
●政党や政治団体は、企業や公益法人と同等の複式簿記に基づく財務諸表を作成し、外部監査を受ける。
●政治資金を他の政治団体に移転している政党や政治団体は、その移転先の団体との連結財務諸表を作成し、外部監査を受ける。
●政党や政治団体の財務諸表を監査する「内閣から独立した」政治資金監査院(仮称)を設立する。
この提言は、経営者など有志からなる「民主主義を考える円卓会議」の提唱・サポートを受けて、構想日本が専門家による「検討委員会」を設け、とりまとめたものです。
1.考え方
カネのかからない政治を目指すにしても、政治活動には相応の資金が伴います。ですから、個々の政治家や政治団体、ましてや寄付者や寄付金額を個別に規制しても問題の解決になりません。政治資金全般について国民の納得を得られる資金管理をすることが肝心なのです。そのためには民間企業や公益法人と同等の会計ルールを適用し、財務諸表等を開示することが最適との結論にいたりました。
そうすることによって、政治団体、政治家の資金管理の不透明さが払拭され、国民からの信頼の回復につながります。具体的には、以下のような政治資金規正法改正などを行います。
2.具体策 ―連結ベースの財務諸表と「政治資金監査院(仮称)」
① 政党、国会議員関係政治団体及び一定額以上の資金の移転を行う政治団体に、発生主義に基づく複式簿記を採用し、P/L、B/Sなど財務諸表の作成と公開、外部監査を行うことを義務付ける。
② 一定額以上の資金を政治団体に移転している政党、政治団体に、その移転先の政治団体を被連結団体とする連結財務諸表の作成と公開、外部監査を行うことを義務付ける。
③ 内閣から独立した、政治団体の資金に関する財務諸表等を監査する「政治資金監査院(仮称)」を新設し、政治団体の財務諸表等の適正性をチェックする。
3.期待される効果
〇 企業会計という、既に確立し普遍的に使われている資金管理・情報開示システムの導入によって、政党や政治団体の資金の状況を国民が納得できる形で開示できるようになります。
〇 民間企業や公益法人と同等の網羅性と体系性を備えた、分かりやすい開示制度を導入することは、政治資金の規律ある利用を促し、議員・政治家の立場を守ることに繋がります。
〇 一定期間を経れば、政治資金の流れの単純化と、政治資金利用における団体と個人の区別が進みます。その結果、政治資金の課税上の扱いも国民や企業と同等となり、その点でも国民の共感を得られるようになります。
〇 資金管理を適切に行えば、政党ガバナンスの8割方は確立することができます。(残りの2割は「政党法」によって組織規定を行うことで成立すると考えます。)
4.この提言にいたる経緯
海外では当たり前ですが、日本でも政治に対して経済界・経営者も「言うべきことは言っていこう」という趣旨で、「民主主義を考える円卓会議」は2016年から様々な議論をしてきました。
昨年来の「政治とカネ」の問題は、政策よりはるか以前の組織ガバナンスの根本に関わることであり、民間ではありえないレベルのことです。そこで、円卓会議の提唱・サポートのもと、本年6月より3名の専門家による「政党ガバナンスを考える民間検討委員会*」を設け、構想日本でこの提言をとりまとめました。
*「政党ガバナンスを考える民間検討委員会」委員
飯尾 潤 政策研究大学院大学教授
角 紀代恵 立教大学名誉教授
藤井 秀樹 京都大学名誉教授、金沢学院大学副学長
これらの解決策を具体的に法制化する改正法の「骨子」「要綱」は下記リンクからご覧いただけます。
【骨子案】政治資金ガバナンス確立策_20241022.pdf
【要綱案】政治資金ガバナンス確立策_20241022.pdf
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団体概要
一般社団法人 構想日本は、「実現」する政策シンクタンクです。「自分ごと化」をキーワードに、政治や行政を身近にする幅広い活動をしています。
・所在地:東京都千代田区平河町2-9-2 エスパリエ平河町3F
・代表:加藤秀樹
・URL:http://www.kosonippon.org
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