2020.01.06
炊き出しに参加して~NPO法人 抱樸(代表レポート:加藤秀樹)
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先日、北九州市で困窮支援をしているNPO法人 抱樸の炊き出しとバザーに参加(「手伝う」と言えるほどのこともしていませんが)した。度々はできない体験なので、備忘録的に残しておきたい。

夜の8時。繁華街から遠くない公園に5~60人のホームレスが列を作る。一人一人に弁当を渡し、具たくさんの熱い汁を椀につぐ。用意したベンチで汁を飲む人たち。野宿の人はずいぶんと減り、この中で何らかの形で居宅を持っている人が三分の一あまりはいると。それでも一人一人は孤独に暮らしている。そのバラバラな人たちが数十人集まって食事をしているのは、何か不思議な感覚を覚える。

お茶を持って行くとみな小さな声で、しかし、しっかりと答えてくれる。それぞれは孤独でも、この団体、抱樸とはつながっているという空気を感じる。

弁当を並べたテーブルの横には、石鹸、髭剃り、くし、手袋などを入れた箱がある。ホテルに置いてあるようなものだ。薬もある。少し離れた所にはセーターやコート、毛布などを積み上げている。

集まった人たちの身なりは、そんなに悪くはない。しかし、暖房のない所で冬を越すには相当の防寒衣が必要だ。食事を終わった人たちが三々五々、防寒衣を選びにくる。

床屋も開店する。ただし丸刈りだけ。この日の客は一人だったと思う。

1時間あまりでほぼ誰もいなくなった。弁当は持って帰る人も多いようだ。

ここから「宅配」・パトロールが始まる。市内6方向に分かれて、炊き出しに来ないホームレスに弁当や必要な物を届ける。居場所は大体決まっているから、スタッフは今日そこにいるかどうか確認しながら車を運転する。

一人は住宅街の中の公園のベンチに座っていた。若そうだ。比較的最近そこにいるようになったらしい。人とのコミュニケーションが苦手なのだろう。話しかけてもあまり返事はない。ベンチの下には食べ物の容器などがかなり盛り上がっている。一冬を公園で過ごすのは危険だろう。しかし、スタッフの呼びかけにもほとんど返事がない。無理やり移動させるわけにもいかない。暖かそうな上着を着せて私たちはそこを離れた。

もう一人は長年廃車の中に住んでいる人だ。着いた時には、フロントシートに座って小さな灯りで何か読んでいた。釣りが好きで、魚が釣れると料理して仲間と一緒に食べると言う。車のトランクの上に鍋などが重ねられている。なんだか落ち着いている。

翌日はバザーだ。バザーは、抱樸の理事長が代表を務める東八幡キリスト教会の主催だ。全国から集まった衣服や日用品が教会の中に所狭しと並べられる。相当高価な物もせいぜい数百円。

目標100万円。売上金は、抱樸をふくむ6団体に届けられる。先日、アフガニスタンで亡くなった中村哲氏が属するペシャワール会もその一つだ。

炊き出しもバザーも行われていたことは想像を超えたものではなかった。しかし、炊き出しのテーブルで食事する人たち、スタッフとのやりとり、炊き出しに来ないホームレス、バザーを手伝う自立した元ホームレスたちの表情などに接することで、少しは見えたものもあると思う。それについて改めて書くことにします。