12月24日 「大災害時代、千葉に学び、全国に生かす」をテーマにJ.I.フォーラム
(第254回)を開きました。
千葉県は、今年たて続けの台風で甚大な被害を受けました。
これまで災害が少なかった地域、逆に災害が多いから念入りに対策をしてきた地域、どちらも、これまでの常識で対応できなくなっています。
そこで、千葉県下で被災の時から現場で奮闘してきた自治体職員、民間企業の社長など4名の方と、内閣府の防災担当副大臣の平将明氏、広島県三原市で先進的な地域防災の活動をしている佐木学氏をお招きし、「現場では何が起きていたのか」「課題は何だったのか」「今後、市民、地域、行政それぞれで生かせることは何か」などについて議論しました。
フォーラム登壇者:(敬称略)
- 平 将明(内閣府 防災担当副大臣・衆議院議員)
- 石井 秀征(鴨川市 経営企画課 課長補佐 兼 総務課 台風被害復興室長)
- 熊井 成和(館山市 健康福祉部長)
- 鈴木 航太(富津市 総務部資産経営課資産経営係 係長)
- 鈴木 裕士(富洋観光開発株式会社 代表取締役)
- 佐木 学(三原市まちづくり戦略検討会議委員・小坂町 防災会会長)
以下は、フォーラム当日のディレクター伊藤による実況ツイートです。雰囲気を感じてください。
【構想日本 総括ディレクター伊藤伸による実況ツイート】
構想日本第254回JIフォーラムスタート。タイトルは「大災害時代、千葉に学び、全国に生かす」。ゲストは、内閣府防災担当副大臣の平将明さんや災害対応にあたった千葉県下の市職員など6名。現場と政策責任者が一堂に会して議論します。#構想日本 pic.twitter.com/0R7xMpxHsF
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) December 24, 2019
まず構想日本スタッフより、県下の複数の市で災害対応に関するインタビュー調査を行った結果のまとめについて説明。主に、「庁内体制の機能不全」「ノウハウや課題の蓄積と共有」「要支援者名簿の整備」「情報伝達と収集」「自助・共助の重要性」「生活再建への支援」に大別された#構想日本 pic.twitter.com/Hm361CK0iV
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まず鴨川市台風災害復興室長の石井秀征さん。
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) December 24, 2019
「一番の想定外は停電。当初は3,4日で復旧の見込みと聞いていたが大きく変わった。一番長いところで15日間の停電。情報を伝達するためのメインが防災行政無線だったが、24時間しか持たないことを全庁的に周知されていなかった」#構想日本
石井さん「防災行政無線でたくさん情報を伝えようとするとバッテリーが早く切れてしまう。鉄塔が立っているのが山の上だったのでそこに燃料を運ぶために職員がチェーンソーで道を切り開きながら向かった。」
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石井さん「無線が使えなくなってからは広報車を回して職員が録音した音をスピーカーで流した。どのエリアが停電しているのかの情報がなかったので夕方になってから電気のつかないところをチェックして回すようにした」
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次に館山市健康福祉部長の熊井成和さん「館山市は全世帯の3割が被災。関東大震災以来の災害と言われている。自分は救護本部の責任者であった。救護本部には多くの外部支援チームが入ってくれた(23日間、のべ78チーム273人)。しかし、内部の準備不足で効率的にお願いすることができなかった」
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熊井さん「医療・介護関係者は透析・在宅酸素・熱中症・安否確認などに従事してもらった。救護本部としては病院ごとの患者の情報は把握していたがそれらを医療関係者にフィードバックできておらず効率的対策が打てなかったという反省がある」#構想日本
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熊井さん「振り返ると、情報ラインの一本化が必要だった。情報が錯綜してしまった。様々な情報が出てくる中で定期的に共有する場をもっと持てばよかった。議論プロセスの共有もしなければいけない。これは日頃からトレーニングをしていなければ急にはできないと感じた」 pic.twitter.com/wyZShIeGKU
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次に富津市資産経営課資産経営係長の鈴木航太さん。「自身は情報収集や救援物資の仕分け・配送を担当。今回の災害は油断をしていた。夜が明ければ通過するだろうと思っていたが時間が経つにつれ天候は悪くなり市民からの問合せが増えてきた。前の日の夜から翌日にかけて何百件単位で電話が来た。」
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鈴木さん「情報セキュリティも担当している。市役所が停電し自家発電の重油が足りなくなったため重油確保が大変だった。市役所はマイナンバーやセキュリティ関連など複数のネットワークがありそれらが落ちないようにすることに細心の注意を払った」#構想日本
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次に被災者である富洋観光開発株式会社代表取締役の鈴木裕士さん(富津市で観光施設を経営)。「房総半島は年に1回は台風が来るという認識の人が多いが、今回は停電も想定外だったが、風速もこれまでに経験したことのないものだった。」 pic.twitter.com/gmeyQ927uS
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鈴木さん「3か月が経過してもまだ施設の復旧は終わっていない。業者と建築資材(屋根材、ガラス材など)が圧倒的に不足している。今は完全ではない段階で再開はしているが資材が整った段階で再度休館して復旧作業する。周辺では今回の災害によって廃業する飲食店が複数出ている」
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鈴木さん「これからは想定外を折り込んだ備えをしなければならないと感じている」#構想日本
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次に広島県三原市で先進的な地域防災の活動をしている防災会長の佐木学さん。「自分の地域(小坂町)は708世帯、1399人。昔から災害の起きる地域だった。防災会は自治会と女性会やPTAなどの各種団体で構成。役員が120名。」#構想日本
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佐木さん「防災会の特徴は
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・災害のみならず行方不明の捜索、事件・事故、不審者情報などにも対応
・民生委員2名を本部役員として組織化(高齢者、要援護者への対応)
・老人福祉施設三原慶雲寮と「災害応援協定」
・11月3日を「小坂町防災の日」として訓練を実施:今年度14回目。例年300名程度参加」
佐木さん「防災会の中の農家と災害時の米の提供の協定を結んだり、自治会館の隣に防災倉庫を設置し、発電機2基、レシーバー、炊き出し用の釜などを備蓄。災害時には対策本部を設置している。昨年7月の西日本豪雨の時には発電機があったため携帯電話やスマホの充電支援ができた。」
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佐木さん「行政の支援はないものと覚悟し、命を守るために先んじた行動に重点を置いた。昨年の西日本豪雨の際は、防災会対策本部会議の実施(5回)、危険が予測された地区への安否確認、避難所運営会議の実施(3回)、1時間ごとに町内巡視、三原市防災対策本部との連携、近隣防災会との連携を行った」
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加藤「共助はすぐにはできない。日常的な会話などコミュニティが成り立っていなければできない。日常からの行動が命を守ることにつながる」#構想日本
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最後は内閣府防災担当副大臣の平将明さん。「今回の台風災害で最も大変だったのは長期停電。送電系統は政府も持っていない。情報共有の観点では必要になってくる。電線に倒木して引っかかっているものを行政が勝手に処理することができないことになっている」
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平さん「現在、基盤的防災情報流通ネットワーク(SIP4D)が整備されている。どの電線が寸断されているかなどもプロットできるようになっていて、政府、県、自衛隊での情報共有ができたことは一歩進んだと言える。ただ、そのように国が変わっていることを基礎自治体に伝えきれていなかった」
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平さん「災害が起きると役所に猛烈な量の電話が来る。その対応に職員は追われる。それを脱却するためにLINEのAIチャットボットを使った「千葉県災害2019」を2日間で実装した。被災者の生活再建等に関する問合せに24時間自動で回答できるようしている」
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平さん「時代によって色々なものが変わる。共助と言うと以前は近所や親せきの家に避難することが想定されたが、例えばコミュニティが成熟していない地域などにシェアリングエコノミー『防災民泊』なども検討していく必要があると感じている」#構想日本
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鈴木裕士さん「富津市南部の重要な観光資源が鋸山。3本ある登山道がすべて倒木により寸断された。クラウドファンディングで登山道の復旧を目指しており300万円の目標額はクリアしたが他の登山道も早急に復旧していきたいので引き続き支援をお願いしたい。https://t.co/GPsOmvgdeQ」#構想日本
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平さん「災害時は固定電話や携帯電話などの通話は、緊急用に回線を確保するため制限される。それに比べてパケット通信は電話よりもつながりやすいので留意してほしい」#構想日本
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) December 24, 2019
平さん「防災×ICTはもっと機能すると思う。例えばマイナンバーによる罹災証明の発行。今は罹災証明を発行するために市町村職員が現地確認をした後に紙で作成して県に送付、県から東京にある都道府県会館に送付して人為的な確認を経て紙の証明書が発行される。送付による時間ロスが大きい」#構想日本
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熊井さん「全国的な組織、地域組織、個人などボランティアはたくさん来てくれた。皆さん本当に熱心に活動してくれた。ただそれらの人たちの活動を共有したり連携するような動きに行政としてはできなかった。ボランティア組織の間での文化の違いなども見えた」#構想日本
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) December 24, 2019
佐木さん「三原市は災害3日後に社協が中心になってボランティアセンターを作り全国的な防災NPOなどたくさん現地に入ってくれた。そこで、県域のNPOが主導して全国的なNPOや地域組織などが一堂に会してNPO会議を定期的に開いた。その場での情報共有は非常に重要だった」#構想日本
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) December 24, 2019
平さん「デジタルガバメントの実施主体は自治体。自治であるからこそ一律には進まないので個別に首長と連携していくことが必要。過去の災害対応のアーカイブがあれば解決できることがあったのではないか。それが今はできていないので行革の観点で行っていきたい」#構想日本
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) December 24, 2019
熊井さん「行政の考えや情報をコンパクトに伝えることを職員は日常から訓練するべきだと思った。災害時に関わる組織との日常的なコミュニケーションが足りていなかった。」#構想日本
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) December 24, 2019
鈴木航太さん「ICT技術を自治体も活用していかなければいけないが依存し過ぎないことも必要ではないか。今回の長期停電による通信遮断は絶望感を持った。通信インフラがなくなった時の想像力が問われるのでは。そこまで自分ごと化できるようにしていきたい」#構想日本
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) December 24, 2019
平さん「地球温暖化で更なる激甚災害は今後起きると思う。その中で対応する人口は減ってくる。だからこそデジタルでできることは行う方向性が必要。首都圏の災害を考えると例えば12時間前に避難指示を出しても交通機関が麻痺している状態で多くの人たちが動きを取ることは難しい」#構想日本
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) December 24, 2019
鈴木裕士さん「停電が11日続くと冷蔵庫のものはすべてダメになる。電気のない世界を生きる力を持つことも考える必要がある。」
— 伊藤伸 (@Ito53Shin) December 24, 2019