1997.12.15
【案内】民間法制審議会(仮称)の開催について

平成9年12月15日

民間法制審議会(仮称) 座長 森島 昭夫

〔趣意〕

行革、規制緩和など「官」から「民」への流れの中で、いわゆるNPO,NGOの活動がめざましい。特に、阪神大震災以来、市民活動団体の重要性が強く認識され、これらに法人格を与える目的でNPO法案が提案された。しかし、官庁の外郭団体である公益法人が多く存在する一方で民間団体の法人格取得が困難であるのは、公益法人の設立が主務官庁の「許可」を要するという民法34条の規定に帰するところが大きい。この民法の規定は明治29年制定時の価値観をそのまま残すものであり現在の社会状況には合致しない。公的活動は「官」が行うものであり、例外的に「民」がこれを行う場合には「官」の許可・監督を必要とするという考え方自体が、時代の要請に合わなくなって来ているのではなかろうか。

以上のような問題意識に基づき、我々は、民間非営利活動の自主的な発達を阻害してきた民法上の公益法人制度を見直していくための方策を検討することとした。そしてその手法として、従来国の法制審議会が検討することとされている民法のような基本法の見直しについて、社会の実情を反映しかつ迅速に検討するため、学会だけでなく広く財界、民間活動家、言論界等からも参加を募り、民間レベルの「審議会」を開催することとした。そして、このような趣旨に従い、開かれた民間版の法制審議会という意味あいで、仮称として「民間法制審議会」という名称を付した。

平成10年度末までに提言をまとめ発表し、また、審議の過程についても広く公開していく予定である。この試みが民間の手による民間の公的活動促進の為の法制度改正の実現につながると同時に今後、国の審議会の運営が社会に開かれたものになってゆくことを期待している。

〔審議方法〕

民間法制審議会(委員名簿―以下に記載)を2ヵ月に1回程度の頻度で開催し、民間非営利団体に関する法制度の在り方について審議するとともに、その審議の材料を提供するため、先進諸国の制度の調査をおよび法案要綱作成のため民法学者による専門部会を設置する。

〔審議事項〕

現行制度の問題点

・先進諸国の非営利法人制度

・我が国民法の制定過程と戦後の民法改正論

・民間非営利活動を支援するための法人制度のあり方

・以上を踏まえた具体的な非営利法人制度に関する法律案(民法改正案)

・非営利活動における公益概念の位置づけ

・非営利活動法人に対する税制上の取り扱い

・非営利活動法人と特殊法人の関係

〔法制度改正へ向けての運動展開〕

民間法制審議会は、単に制度改正の提言を行う為の審議機関ではない。審議の過程で具体的な法制度改正案を作成し、これを国の法制審議会や国政関係者などに提案することを通じて、民間非営利活動を促進するための法制度改正へ向けて積極的に運動展開していく計画である。

なお、この運動展開の一環として、平成10年度には「民法改正を考える議員連盟」(仮称)の設立を呼びかけ、国会での議論の促進を図っていきたい。

審議会委員(敬称略・五十音順)

座長 森島 昭夫 上智大学教授

委員 加藤 種男 (アサヒビール(株)企業文化部)

鈴木 庸夫 (千葉大学教授)

竹中 ナミ (プロップ・ステーション代表)

田中 尚輝 ((社)長寿社会文化協会理事)

本間 正明 (大阪大学教授)

森田 朗 (東京大学教授)

諸井 虔 (秩父小野田 (株)取締役相談役)

山岡 義典 (日本NPOセンター事務局長)

山野目 章夫 (中央大学教授)

山本 豊 (上智大学教授)

専門部会委員(敬称略・五十音順)

委員長 山本 豊 上智大学教授

委員 大野 秀夫 (青山学院大学非常勤講師)

中村 昌美 (拓殖大学・東京経済大学非常勤講師)

山野目 章夫 (中央大学教授)

運営委員会委員(敬称略・五十音順)

森島 昭夫 (上智大学教授)

伊藤 裕夫 ((株)電通総研)

加藤 秀樹 (構想日本代表)

本間 正明 (大阪大学教授)

山岡 義典 (日本NPOセンター事務局長)