公益を国家が独占する仕組みから、国民が担う仕組みへ
〔趣旨〕
今国会で「中間法人制度」*創設のための法律が成立する見通しだ。また、KSD事件を機に、公益法人制度の見直しが議論されているが、いずれも対症療法にすぎない。今や公益法人やNPO法人を含む非営利法人制度を根幹から見直す時機に来ている。本法案の審議を機に、その根本にある民法34条の見直しの議論を始めなければならない。
民法34条は、公益法人の設立に所轄官庁の許可を必要とするとの規定であり、公益性(社会一般の役に立つかどうか)の判断を、官庁に委ねることを意味している。そして、所轄官庁による公益性認定が得られなければ非営利法人は設立できず、税制面などにおいてさまざまな特典が得られない。これは、いわば公益を国家が独占する仕組みを制度化するものであり、単なる手続き規定ではなく、国のガバナンス(統治機構)の根幹に関ることである。この規定を変えることで、国民が公益を担う仕組み作りが始まると我々は考える。
〔提言〕
そこで、構想日本としては次の提言を行う。
(1) 一定の基準を満たした非営利団体は、官庁の判断によらず、登記だけで法人格を取得できるようにする(民法34条改正)。
(2) 法人格を取得した団体については、活動内容や財務状況に関する情報公開と外部監査を義務付け、活動の公益性を事後的にチェックする。
*中間法人:社員共通の利益を図ることを目的とする団体。今国会に法案提出。
欧米では、営利・非営利団体ともに、登記だけで法人格を取得できる。 これに対し、日本では会社は登記だけで法人格を取得できるのに対し、非営利団体については所轄官庁の許認可その他が必要。(図参照)