2021.01.07
【代表コラム】2021年新年のご挨拶「ザラザラ元年」 
タグ :

みなさま、今年のお正月はいかがお過ごしでしたでしょうか。

昨年はコロナに明け暮れた年でした。そして、テレワーク、リモート、オンラインなど従来あまり使われなかった言葉が日常で使われるようになりました。これらの言葉が表す働き方、集まり方、暮らし方の変化のかなりの部分は、コロナが収まった後も定着するのでしょう。

コロナとは別のことですが、企業の行動に関しても、昨年は大きい変化が見られました。企業の公共的な役割です。SDGs(持続可能な開発目標)とか、ESG投資(環境・社会・ガバナンス要素も考慮した投資)という言葉が、随分と一般的になりました。内容がどの程度伴っているかは課題としてありますが、日本のESG投資は昨年1年間でも急激に増えています。これは地球温暖化による気候変動、災害がいよいよ危機的になっていることに加え、所得格差や社会の分断などが悪化し、企業が社会の課題、公共的なことに目を向けざるを得なくなったことを表しているのでしょう。

個人的なことで恐縮ですが、昨年末、私は「ツルツル世界とザラザラ世界・世界二制度のすすめ」という長くて変わった名前の本を出しました。大雑把に言えば、ツルツルというのは、効率よく物やサービスを作り、売り、経済的にさらに豊かにしていこう、という、これまでのやり方、価値観。ザラザラというのは、人間も生き物なんだから、「効率」に追いたてられるのではなく、もっと身の丈に合った経済、社会を考えようといったことです。

その意味では、SDGsもESGもザラザラをあと押しする動きだと思います。コロナによる社会の変化も、ザラザラ要素を多く持っていますし、働き方も生活もツルツルまっしぐらでなくてもいいんだ、できるんだという「発見」が多くの人の間にあったのだと思います。ザラザラ社会は、地域のことを行政任せ、税金頼みでなく、人がより多く関わる社会でもあります。ということは、単なる「小さい政府」とか国や自治体が決めた枠の中で自助、共助を担うだけというのではありません。公共的な意思決定にも、住民が関わるということです。

構想日本が行ってきた「自分ごと化会議」は地域のザラザラ化を進めてきたと思います。本の中でも、福岡県大刀洗町や、松江市の例を紹介しました。この本は「自分ごと化会議」はじめ、地域での具体的な例と、「低コスト高満足」「世界二制度」など、大きな考え方や方向性との関係が分かるように書きました。日本をはじめ、世界中で政治が目指すべき方向を見失う一方で、先に述べたような企業行動の変化もあります。

今年の構想日本は、従来の地域での活動に加えて、ここに述べたような、これから私たちが進むべきと考えられる大きな方向性もあわせて示していきます。そしてこれまで以上に、大勢の人に共感していただき、それがさらに大きい動きとなって拡がるような、「ザラザラ化」活動を始めます。

後から振り返って今年が「ザラザラ元年」になりますよう、スタッフ一同、一生懸命働きます。今年もどうぞ宜しくお願いいたします。