• 構想日本の活動

公益法人制度


2000/11/18(土)
[提言]地方自治体におけるNPO税制について -低コスト高満足社会の実現へ向けて-

〔趣旨〕

21世紀、NPOはコミュニティーにおける公共的な活動の主要な担い手となると考えられる。かつて、コミュニティーは地縁によるものであった。それに対し、NPOは福祉、教育、環境などのテーマ別コミュニティーであると言える。

小さな政府への流れの中で、低コストで満足度の高い社会を作って行くためには、行政が全ての公共サービスを抱え込むのではなく、NPOを支援する方がより未来指向であり、住民のニーズに合っている。

そこで、NPOが自律的な活動を活発に行うことができるよう、税制、資金、人材、情報などに関する環境整備を行うことは行政の重要な役割だと考えられる。

このような考えに基づき、私たちは以下の提言をする。


《提言1》 公益性認定制度 

A.独立性を有する公益性認定諮問機関

行政がNPOを支援する際に重要なことは、NPOの活動が公益に資するものであり支援の対象としてふさわしいものであるかどうかの判断を、独立性を有する機関が行うことである。
そのため、首長の付属機関として公益性認定諮問機関を設置し、併せて、機関の独立性を確保するために次の措置をとる。

1:機関の構成員の選任基準や資格要件を事前に定める。
2:基準の設定や個々の判断につき、情報公開を義務づける。
3:首長は公益性認定機関の答申を尊重する義務及び、答申を受け入れない場合はその理由を説明する義務を負う。

B.公益性認定基準の設定と審査

認定基準は例えば次のような枠組みに基づいて、地域の実情を勘案して設定する。

1:活動実績が一定期間(例えば2年)以上あること。
2:運営及び財務状況(資金の流れ、寄付者との関係を含む)に関する適切な情報開示が行われていること。
3:収入の一定割合(例えば3割)以上が複数の主体からの寄付、助成金、会費によるものであること(米国のパブリック・サポート・テストが参考になる)。
4:収入の一定割合(例えば7割)以上を非営利活動に支出していること。
5:申請を受けた公益性認定諮問機関は審査を行うにあたり、申請NPOのみならず、そのNPOの活動の受益者である人々の実情を勘案すること(ヒアリング、アンケート等による)。
6:基準の設定、審査に関する情報を公開すること。

なお、資金、人材、情報等に関して、実績がまだ十分ないNPOを育成する目的で支援を行うにあたっては、上記の基準に準じた基準を設けることとする。


《提言2》 NPO支援措置 

A.税制面での優遇

(1)NPO法人に対する個人の寄付金を住民税の課税対象所得から控除する制度を条例により創設する。しかし、地方自治体が条例によって独自にNPO法人に対する寄付控除を定めるのは、地方税法上困難であるとの見解が一般的である。この障害を取り除くために、地方税法第34条および第314条の2を改正する(注1)。

その際、控除となる寄付金合計額の下限を現行の10万円から1万円へと引き下げる。

(2)上記改正までの暫定的措置として、「NPO寄付金控除制度」を創設する。都道府県、市町村又は特別区はNPO基金を設立し、そこへ個人からNPO法人への寄付金を一旦受け入れた上で、一定の基準にしたがってNPO法人に配分する。

B. その他の支援

NPO活動に対する支援策として例えば以下のものが考えられる。1.低利融資、利子補給、融資保証、補助金など財政金融面での支援(注2)、2.NPOのスタッフ、ボランティアなどについての情報提供、研修、人材紹介等の支援、3.福祉、教育、環境など公共分野に関して行政が収集、保有している諸情報の提供。


《提言3》 国への要望

A.国レベルでの公益性認定制度の指針

国レベルでの課税除外のための公益性認定は所轄官庁によるものとなることが予想されるが、公益性の判断はNPOの活動に最も近い地域において、行政からの独立性を有する機関によってこそ適切にできるものである。したがって、上記提言1の仕組み及び認定基準を国レベルでの制度設計及び運用の際に勘案することを要望する。

B.NPO法人格取得制度の改正

別途の検討事項であるが、NPOは営利団体である企業と同様、一定の要件を満たせば、届出のみによって法人格を取得できるべきであり、そのために民法34条を改正することを要望する(現行の非営利法人制度は民法及び多数の特別法からなっているため極めて複雑であり、整合性にも欠けている。また、既存の公益法人の活動実績について疑問視される部分もあり、民法34条を見直す意義は大きい)(注3)。 

以上



<参考>

(注1) 
地方税法第34条は、都道府県民税(所得割)、地方税法第314条の2は市町村民税(所得割)に関して、個人の寄付が課税対象からの控除を認められる場合を、以下の2つの場合に限定している。
イ 都道府県、市町村又は特別区に対する寄付金 
ロ 社会福祉事業法に規定する共同募金会に対する寄付金又は日本赤十字社に対する寄付金で、政令で定めるもの。

以上は、制限列挙であると考えられており、地方団体が条例によってNPO法人を寄付控除の対象として付加することはできないとする解釈が一般的である。したがって、この規定に、活動の公益性を認定されたNPO法人等を含める必要がある。

(注2)
NPO法人への資金の流れを促進するため実際に採用されている措置として以下の例がある。1.行政が財産の一部を拠出して公益信託を設立し、民間からの寄付を受け入る。助成対象となるNPO法人を一般公募し、公開審査を行う。2.行政が民間の金融機関にまとまった資金を預託し、民間の金融機関によるNPO法人への低利融資を可能とする。

(注3)
民法34条は以下のように定める。
「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益ニ資スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」

特定非営利活動促進法(NPO法)は、本規定の特別法と位置付けられているが、本来、NPOは営利団体である企業と同様、一定の要件を満たせば、公益の有無を問わず届出のみによって自由に法人格が取得されるべきである(参考 民間法制審議会報告書 ―公活動の基盤整備に関する法律案- 1997年4月 構想日本)。



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