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公会計制度


2000/03/20(月)
【記事】「財政破綻寸前の日本」救済の策を聞く

PRESIDENT2000年3月20日

国家財政を「バランスシート」で公表せよ

 現在の日本の国家財政がどれだけ危機的な状況かということは、数字をみれば明らかである。例えば、今年度一般会計の歳出約八五兆円中、税金で賄われているのは四九兆円弱で、残りの約三三兆円は公債を発行して、つまり借金によって賄われている。そんな財政状況が積もり積もって、累積では、国と地方を合わせれば六五〇兆円近い長期債務残高になっている。これは単純計算で、国民一人当たり約五四〇万円の借金を抱えたことになるわけで、この“ツケ”は最終的に、国民一人一人に回ってくる。

 日本の政府と地方自治体がいま迫られていることは、企業に比して一〇年遅れの「リストラ」だ。

 これまで「小さい政府」を目指し、行政改革が叫ばれてはきたが、省庁再編で「二二ある省庁を半分にしましょう」「何年までに公務員の数を何パーセント削減しましょう」などという議論は、組織と人の数を論じているだけで、それは本来のリストラではない。

 政府の大きさを考えるには、組織、人、予算、業務内容の四つについて検討する必要がある。このうち業務内容(仕事の範囲)を決めると、それに必要な人と組織はその結果として自ずと決まってくるというのが本来の順序だろう。

 そして、その過程で無駄をなくそうと努力することが、リストラと言えるのだ。

 国のリストラをするためには、何と言っても白分(国)の財務状態を把握しなければならない。ところが毎年国が発表する国家財政資料は、「国の歳入はいくらで、歳出はいくら。差し引き財政赤字はいくら」という、いわば出納簿的なもの。これでは、国の財政状況の本当の姿は見えない。その財務状態を正確に把握するためには、まずバランスシートなど財務諾表を作ることから始めるべきだ。

 バランスシートを作成するとはつまり、何にどれだけ金がかかっているのか、そのお金はどのようにして調達されているのか、を詳細にチェックしながら国の資本・資産・負債をガラス張りにすることである。そうすれば「この予算は必要ない」とか、「もっとこの分野に金をかけてもいい」とか、「この事業は民営化したほうがいい」という判断の基準ができる。判断の基準ができれば効率的に“無駄”が排除できるのである。

わが国国民の、一人当たりの借金は約五四〇万円

 もう一つ重要なことは、地方財政の立て直しだ。間題は山ほどあるが、地方交付税制度の見直しは不可欠だ。八五兆円の予算の中で、地方交付税は一五兆円を占める。

 もともと地方交付税の目的は、地方間の行政サービスの格着を是正することだった。いわゆるナショナルミニマム、つまり教育、保健衛生、福祉など国として最低限必要とするものを、どの地域でも実現するためのものだったのである。しかし、いまや日本国中ミニマムは、はるかに超えている。「国土の均衡ある発展を」という名の下に、全国各地に美術館やホールを造るために金を配る余裕はどこにもない。それどころか、そのツケがいま、大きな負担になっている。

 また地方交付税は、国が財布を握るという意味で、地方財政を硬直化させるし、地方の独自性や自立性を阻害している。

 例えばドイツ方式のような、地域間格差の是正機能に絞るなど、基本からの制度変更が必要だ。同時に、地方が自らの財源で行政を行うようにすること、住民がなるぺく身近で損得勘定できる仕組みをつくることが、無駄を最も出しにくくする。

 いずれにしても企業が必死にやってきたリストラに、一〇年遅れながら国と自治体は真剣に取り組まなければならない。(談)


(構想日本代表 加藤秀樹)
1950年、香川県生まれ。73年京都大学経済学部卒業後、大蔵省入省。主税局、国税庁などを経て96年退官。97年4月、民間の立場で政策・法律を立案するシンクタンク「構想日本」を設立。日本の構造改革のためのさまざまなプロジェクトに取り組んでいる。



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