【No.187】教室天井の高さ「30cmの壁」
2005.02.25

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教室天井の高さ「30cmの壁」
JIメールニュースNo.187  2005.2.25
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■■ 目次 ■■
1.《教室天井の高さ「30cmの壁」》
2.《第91回 「J.I.フォーラム」の報告》
3.《第93回「J.I. フォーラム」のご案内》
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1.《教室天井の高さ「30cmの壁」》
― 埼玉県草加市の挑戦 ―
構想日本政策スタッフ 伊藤 伸
不登校、学級崩壊、学力低下…。日本の教育は問題が山積しています。
特に公立の小中学校レベルでの問題は深刻です。ただ現場(=保護者、住
民、学校、市町村)は、決してこの状況を見過ごしているわけではなく、
様々な取り組みが見られます。各市町村でも、財政的に厳しい状況の中、
創意工夫によって低コストで整備する試みが見られます。しかしこれらは、
必ずと言っていいほど「教育行政の壁」にぶつかり、市町村の創意工夫が
生かされなかったり、実現まで非常に長い時間がかかったりしています。
その一例として、NHKスペシャルで取り上げられた、埼玉県草加市の「教
室の天井の高さ」に関する取り組みを紹介します。
●教室の天井の高さを「30cm」下げることの苦心
草加市は人口が23万7000人、現在も増え続けていますが、この4年間で国
からの交付金が半減され、財政は急激に悪化しています。そのような中、
人口増加期に建てた学校が老朽化、耐震診断の結果、耐震補強などのほか6
校の全面改築が急務となりました。しかし、その費用は総額300億円。財政
的に困難な状況です。そこで草加市は、学校の改築費用を削減するため、
教室の天井の高さを基準より低くすることを特区で提案しました。
現在、建築基準法の施行令により、教室の天井の高さは3m以上でなけれ
ばならないとされています。草加市はこの高さを、30cm低く、企業のオ
フィス並みの「2.7m」にすることで経費は最高約8000万円削減できると試
算。特区による実現を目指しました。
しかし、提案当初の国土交通省の判断は「ノー」。理由は、「教室の天
井の高さは、成長過程にある児童生徒に心理的な不快感を与える可能性が
あるという調査結果がある」とのこと。
海外を見てみると、欧米は天上高が2.7mもしくは規制なし、スウェーデ
ンは近年規制が撤廃されました。日本人よりも体格の大きいアメリカでも
2.7mとしているのです。日本人の児童だけに「心理的不快感」があるので
しょうか。
そもそも、「天井高3m」という規制は、明治15年の文部省の指導により
できました。理由は、当時は教室の換気の仕組みがなかったため「空気の
容積」という視点からとのこと。つまり、この規制ができた当時と今では、
その根拠が変わっているのです。120年前のきまりを金科玉条のように言う
ことはおかしいと言わざるを得ません。
草加市の再度、再々度の質問の結果、国土交通省は草加市を対象に実証
調査を行うこととし、平成17年度前半には結論を出して、児童の違和感
がなければ全国展開されることになりました。どこまでも国は全国一律に
仕切ることにこだわっているようです。
●市町村の権限拡充へ向けて
教室の天井の高さを30cm変えるだけでも膨大な労力と時間が費やされ
ます。このような状況では現場が国との交渉にばかりエネルギーを取られ、
最も重要な子供たちに目を向けた改革ができるはずがありません。教育の
問題を解決していくには、国がこのように全国一律に「しきる」のではな
く、現場に財源や人事を含め自由度を持たせることが重要です。
今回の草加市の特区提案にあたり、各省庁と何度も交渉してきた担当の
中村さんは、「制度をいったん作ってしまうと人間はその制度の番人にな
ってしまう。気がつくと我々市町村職員を含めて制度の奴隷になっている
のではないか。そのため制度疲労に気づかず、様々な問題が生じている」
と言います。これは、国が画一的にコントロールしている大きな弊害の一
つであると言えます。
このような現状を打破するため、構想日本は全国の改革派市町村長106名
とともに、「教育行政改革」の提言をまとめ、記者発表並びにフォーラム
を開催しました( http://kosonippon.org/wp-manager/prj/edu/ )。今後は政治
家など各界に広くアピールし、「子供たちが行きたがる学校、保護者が安
心して預けられる学校」作りへの大きなステップへとしていくつもりです。
※草加市ホームページ http://www.city.soka.saitama.jp/
※構想日本の教育提言に関して詳しくは、以下をご覧下さい
http://kosonippon.org/wp-manager/prj/edu/
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2.《第91回 「J.I.フォーラム」の報告》
教育現場に対する市町村長の熱い思い!
討論者:五十嵐勇(千葉県本埜村長)、石田芳弘 (愛知県犬山市長)、木下
博信 (埼玉県草加市長)、佐竹敬久(秋田県秋田市長)、下村博文(文部
科学大臣政務官・衆議院議員)、西寺雅也(岐阜県多治見市長)、福嶋浩
彦 (千葉県我孫子市長)、穂坂邦夫(埼玉県志木市長)、松島貞治(長野
県泰阜村長)、森 貞述(愛知県高浜市長)
コーディネター:加藤秀樹(構想日本代表)
※ 詳しくは http://kosonippon.org/wp-manager/forum/log.html?no=1107
をご覧ください。
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3.《第93回「J.I. フォーラム」のご案内》
もう一度歴史をよく見てみよう
-日本人の生き方、暮らしぶり-
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神は細部に宿ると言います。古文書などを丹念に調べて歴史研究を行って
おられる磯田道史氏。
そこから、かつての日本人の生活や考え方が浮きぼりにされます。
これからの世の中を考えていくうえで、歴史に学ぶことはまだまだ多いと
思います。ところが、とかく、私たちはパターン化された「日本人論」
「日本型」にとらわれがちです。11人家族で生活感あふれる馬淵澄夫氏
との対談を通じて、私たちがまだ気づいていないかもしれない日本人の一
面について、何かを感じとって頂ければと思います。
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日 時 : 平成17年3月29日(火)
会 場 : 銀座ソニービル8階 ソミドホール
開 演 : 午後6時30分(開場:午後6時00分)
ゲスト : 磯田 道史(茨城大学助教授・『武士の家計簿』著者)
聞き手 : 馬淵 澄夫(衆議院議員)
主 催 : 構想日本
定 員 :160名
フォーラム参加費 :2,000円(シンクネット・構想日本会員は無料です)
懇親会参加費   :3,500円
(ご希望の方は下記懇親会参加に○印をつけてください)
※ゲストを囲んで懇親会を開催いたします。
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参加ご希望の方は、3月28日までに出欠の是非を、下記のメールアドレス
にお申し込み下さい。
forum@kosonippon.org
お名前
所属
ご連絡先

懇親会に     参加する      参加しない
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お問合せ:構想日本・西田(電話03-5275-5607)
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