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タイトル::【No.809】「特ダネではないけれど(18) 子育てを支える」
発行日::2017/05/25
本文:
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  J.I.メールニュース No.809 2017.05.25 発行 

  「特ダネではないけれど(18) 子育てを支える」

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【1】<巻頭寄稿文>

  「特ダネではないけれど(18) 子育てを支える」

           新聞記者     松浦 祐子 

【2】<お知らせ> 

   (1) 第236回J.I.フォーラム  6月20日(火)

     「トランプ、ルペン、そして日本。だからラオス」

   (2) 第5期 現場みらい塾 開講

   (3) Yahoo!ニュースオーサー 新記事投稿

【3】<ご紹介>

   (1) 藤田早苗さん 今後の活動予定 

   (2)《映画公開》 森 卓さんからのお知らせ

【4】<報道されない FUKUSHIMAの今 (2)>    

  「原告らの所有農地は、作付制限や出荷制限もされておらず、現実にその使用を妨害されていない。
  また、原告らの農作業に、具体的な健康リスクがあるとは言えない」by東電

   本当でしょうか。

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【1】 「特ダネではないけれど(18) 子育てを支える」

           新聞記者     松浦 祐子

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今、政府では2018年度の予算編成に向けての動きが始まっており、6月にはいわゆる「骨太の方針」がまとめられる予定です。
その中で、議論を呼んでいるのが「子どもを育てるための費用は、誰が、どのように負担していくのが良いのか」ということです。

発端は、安倍首相の1月の施政方針演説で義務教育だけでなく、大学などの高等教育へも無償化を広げる姿勢を打ち出したことでした。さらに、憲法改正を求めるビデオメッセージでも同様のことが述べられています。

ただ、政府が何か新しい事業を行おうとすれば「財源」の話が出てきます。自民党の一部が高等教育無償化の財源にしようとしているのが「教育国債」と言う名の国債の発行です。簡単に言えば、借金です。
一方、それに対抗するかのように出てきたのが、「こども保険」の導入です。支援の対象を高等教育から幼児教育へ変えるとともに、その費用負担を働く世代の年金保険料に上乗せする案です。

この「こども保険」、実は厚生労働省が過去に検討してきたものに似ています。2000年から2年間、研究者や保育関係者らによって「育児保険研究会(通称)」という会が開かれ、「育児保険構想 ―社会保障による子育て支援」という1冊の本にまとめられました。2000年と言えば、介護保険がスタートした年です。これを読むと介護保険の仕組みができ「次は、いよいよ子育て支援の制度設計だ」といった思いが伝わってきます。


介護保険は、「税」ではなく「保険」である以上、明確なサービスの給付がなければならないとの考えが元になっています。若い人が介護サービスを使うことはあまり考えられないため、自らの親の世代が介護サービスを使い始めるであろう40歳から保険料を負担してもらおう、ということになりました。このため、40歳未満の人は介護保険料を負担していません。

一方で40歳未満の人々の間では、社会による子育てサービスの充実が求められています。それならば子育てサービスを賄うための、若者向けの保険を作れば良いのではないか。そんなことからも、育児保険のアイデアが出てきたようです。

ただ「保険」とした場合、「子どもがいないなどサービスが使えない人にも負担をさせるのか」「若者世代の税金や保険料の負担は、重くなる傾向にあるのに、さらに負担をさせるのか」などの批判がついてまわります。

最終的には、全世代が負担をする消費増税を、子育て費用の財源にしようという形で議論は収斂していきました。税と社会保障の一体改革と呼ばれる改革の中で、「医療・介護、年金」という主に高齢者向けのサービスにしか使えなかったものを「子ども・子育て支援」にも使えるようにしたのです。

けれど消費税は2014年4月に5%から8%に引き上げられた後、2度の延期を経て、本当に10%まで上げることになるのかは、不透明な状況になっています。一方で、最低限の育児支援と言える待機児童問題さえも解消できていません。なんとか対応するための財源を作り出さねばなりません。そこで、十数年の時を経て「こども保険」へと戻ってきたと言えます。

子どもを育てるための費用は、誰が、どのように負担するのが良いのか。
世代を問わずにみんなで負担をする税金が良いのか、サービスを使う人が負担をする保険料が良いのか、将来世代にツケを回す借金で逃げるのか。

家族政策を充実させることで、出生率を向上させたフランス。フランスの手厚い家族向け給付の財源は、企業と従業員双方が支払う拠出金を中心に制度が作られました。近年、税金も投入されるようになっているようですが、「企業」が大きな支え手なのです。将来、有能な労働者が育っていくことは、企業にとってもメリットで、経済界も大いに協力すべきだという考え方があります。

もちろん世界各国の社会保障制度は千差万別で、税と保険が入り交じっていて、どの国の仕組みがベストだとは簡単には言えません。日本はどうするのか、なのです。未来の子どもたちのために、どのやり方を選ぶのが良いのでしょうか。大いに議論を盛り上げていきたいと思います。

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当、新潟で県政取材などを経て、今は内閣府担当。

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【2】(1)第236回J.I.フォーラム  6月20日(火)  

    トランプ、ルペン、そして日本。だからラオス 

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構想日本で、なぜラオスの話なのか。
それは今回のゲスト吉田香代子さんの言葉に集約されています。

「笑顔と優しさ、緩やかな時間の流れ…、の背後にある様々なしがらみの面倒くささを引き受けながら懸命に、そしてなるべくなら楽しく生きようとするラオスの人々の姿に、私は人として当たり前の、しかし大切な面をみる気がします。」

今ラオスにあるものは、かつて日本にも欧米にも普通にありました。それを切り捨て、便利に快適に、効率よくしてきた挙句の果てに、トランプ、ルペン現象や、格差、過重労働などに直面しているのではないでしょうか。ノスタルジーでも優越感でもなく、謙虚に素直にラオスに学びませんか。

  ◯日 時:2017年 6月20日(火) 18:30~20:30(開場18:00)  

  ◯会 場:日本財団ビル2階 大会議室  港区赤坂1-2-2 TEL 03-6229-5111 
 
         ※場所にご注意下さい  

  ◯ゲスト:田中 陽子 (暮らしのクラフトゆずりは 店主)
     
       前川 佐知 (ラオス染織研究家)
     
       森 卓 (日本ラオス国交60周年記念作品『ラオス 竜の奇跡』プロデューサー/
                       ジャパンーラオス・クリエイティブ・パートナーズ代表)

       吉田 香世子(ラオス在住・ワーキングマザー)       
              
  ◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

  ◯主 催:構想日本

  ◯定 員:160名

  ◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
                ※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

  ◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
         ※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

         「頤和園(いわえん)溜池山王店」港区赤坂1-1-12 TEL 03-3584-4531
 
 ※フォーラムへのご参加は6月20日(火)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

 HPからのお申し込みはこちら http://www.kosonippon.org/forum/index.php 
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 (2)【石破 茂 前国務大臣を講師にお迎えします!(6/23)】

     第5期 現場みらい塾 受講生募集中

       第1回 6/23(金)、24(土)

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今年度も現場みらい塾を開講いたします。

現場みらい塾は、ハウツー的なスキル中心の従来型の自治体職員向け研修ではありません。自治体のどの仕事にも応用できる「知恵の出し方を身につけるトレーニングの場」です。

過去4期の特徴として、

 ・自治体職員を中心としながらも多様な参加者がいる(地方議員、メディア、民間企業など)。

 ・受講者がその後プログラムの内容を自分の自治体で実践するケースが多い。

 ・OB・OGが翌年度以降も参加する比率(リピート率)が高い。

などがあります。
行政職員を中心に、議員や民間企業等で働く人などが一緒に半年間議論し、多様なものの見方と知恵の出し方を学び合うゼミ形式のプログラムです。

さらに今期は、NPO法人「NPOサポートセンター」の協力で、現場で活躍するNPO関係者にも参加してもらうことで、同じ事象をさらに幅広い視点から見ることによる多様性の涵養をねらいます。

受講生はこれまでに約100名。問題意識の高いOB・OGとのネットワークも大きい財産です。

プログラム内容や開催場所が決まり次第、順次メルマガやホームページ等で発表していきます。
自治体職員以外の方も歓迎です。是非お申込みください。

参加受付やプログラム等の詳細は、下記のURLから現場みらい塾ホームページをご確認ください。
http://www.kosonippon.org/project/detail.php?id=739


≪ 第1回プログラム概要 ≫

▼6月23日(金)13:00~18:30
講義:「地方自治・地方創生」 石破 茂  〔衆議院議員〕
講義:「“社会のこと”を『自分事』にする」 加藤 秀樹 〔構想日本 代表〕

【会場】衆議院第二議員会館 第1会議室(B1F) 東京都千代田区永田町2-1-2
    http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/kokkaimap.htm

▼6月24日(土)10:00~16:00
実践:「自分の課題を見つめ直す」 田中 俊  〔構想日本 政策スタッフ〕
講義:「事業シートから自分の仕事を見つめ直す」 伊藤 伸  〔構想日本 総括ディレクター〕

【会場】協働ステーション中央(NPOサポートセンター) 東京都中央区日本橋小伝馬町5-1 十思スクエア2F
    http://npo-sc.org/

※講師や場所は情勢等により変更となる場合があります。また、講義テーマはいずれも仮題です。

≪ その他、開催日程 ≫

第2回(1日開催):7月 8日(土)10:00~ 18:00
第3回(1日開催):7月29日(土)10:00~ 18:00
第4回(2日開催):8月19日(土)13:00~ 18:30/20日(日)10:00~ 16:00

≪ 料 金 ≫

 受講料:4万円(税込)

※旅費・食費等は含まれません。
※1日のみなど単発での受講を希望する場合、1日につき1万円(税込)で受講することができます。

≪(参考)前回の主なプログラムと講師≫

「日本のこれから」河野 太郎 〔行政改革担当大臣(当時)〕
「『わたしのまち』と一人称で呼んでもらえる町を目指して」筒井 敏行 〔香川県三木町 町長〕
「財政の自分事化に向けて~国の財政と地方の財政~」福田 誠 〔財務省 国有財産企画課 政府出資室長〕
「ゼロサムからプラスサムへ」加藤 秀樹 〔構想日本 代表〕
「ディベートで培う実践的思考」熊谷 哲 〔PHP総研主席研究員(当時)〕
「無作為抽出の住民参加で地域の課題を『自分ごと』に」伊藤 伸 〔構想日本 総括ディレクター〕
「模擬仕分け」

【お問い合わせ】

 構想日本:田中、永由 TEL:03‐5275‐5607、Email:info@kosonipon.org

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 (3) Yahoo!ニュースオーサー 新記事投稿

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  Yahooニュースにオーサーとして新しい記事を投稿しました。ぜひ御覧ください。
 
   ディレクター 伊藤 伸

 ◇2017年4月13日 ヤフーニュース 「公助の限界。自分の身は自分で守るという教訓」-伊藤が行く災害の現場(1)熊本県益城町
    https://news.yahoo.co.jp/byline/itoshin/20170413-00069867/

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【3】<ご紹介>

   構想日本が注目している活動をご紹介いたします。

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 (1) 藤田 早苗さん 今後の活動予定 (NO.805、807のメルマガ執筆者)  

 5月27日(土)京都  京都教育文化センター103号室
 5月29日(月)京都  京都大学経済学部「公共経営論1」講義
 6月 3日(土)横浜  神奈川県民サポートセンター
 6月 6日(火)名古屋  ウィルあいち
 6月 7日(水)立命館大学  びわこ草津キャンパス

 詳細は決まり次第こちらにアップされる予定です。https://hyogen-tsutaeru.jimdo.com/

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  (2) 《映画公開》 森 卓さんからのお知らせです (6月のゲスト)

 映画『ラオス 竜の奇跡』(竜は河川をさします)(原題「サーイ・ナームライ」はラオス語で”川の流れ” という意味)

「力をぬいて、素直になると、人の温もりが見えてくる”人はとてもあたたかい” ラオスが教えてくれました。」

 東南アジア唯一の内陸国ラオスの人々は、国土面積が日本の本州と同じなのに人口は700万人(千葉県ほど)という環境で、自然に寄り添い、緩やかに流れる川とともに暮らしてきました。

 ラオス国内を流れる大河メコンは生活の中心であり、ラオスの人々にとって川は大切な存在です。この「川」を物語のテーマとして、現代にとって本当に大切なものは何かを描きました。

 映画『ラオス 竜の奇跡』 

 2017年6月24日 有楽町スバル座公開、順次全国ロードショー

 FB https://www.facebook.com/saynamlay/

 HP http://saynamlai.movie/

 関連メルマガ No.725 2015.10.01 http://www.kosonippon.org/mail/detail.php?id=733

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【4】<報道されない FUKUSHIMAの今 (2)>   

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 原発事故の特徴は”時間が解決してくれない”ことです。

 むしろ、過ぎゆく時間が人々を押しつぶす面もあります。

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私自身は2012年、2013年に長崎大学病院内で内部被曝の精密検査を受けました。

2012年の検査結果は560ベクレル/体、2013年の検査結果は350ベクレル/体でした。これは、一般に見ても、極めて高い数値です。農作業による体内被曝の可能性さえあると思います。

私には事故当時18歳であった娘がいます。彼女は、事故当時、私と同じ生活をしていました。今も、一緒に生活しています。

だから、私は、娘の身体が心配になるときがあります。このような複雑な思いを、私は一生感じながら、生きていかねばならないのです。

私は、本件事故以前に米取り扱い届出業者となり、消費者ないし小売店への直販体制をとってきました。そのため、自分の作ったコメを食べてくれる人の顔を直接見ることができました。

ところが、本件事故後、東京の小売店は買ってくれなくなりました。もちろん、個別の消費者も買ってくれなくなってしまいました。そのため、現在は、多くを、集荷業者に販売しています。しかも、本件事故前に比べ、安く買い叩かれるようになりました。

このままでは、私の老後の資金さえままなりません。私のような米専業者ほど、農地土壌に放射性物質が含まれることは、深刻な問題なのです。

農業を営む者にとって、先祖から受け継いだ農地は、まさに我が子です。私は、農業を始めて40年、手塩にかけて存続させてきました。しかし、本件事故により、この大切な我が子が、汚されてしまいました。

私の代で本件事故に対するけじめをつけることが、今の私の仕事です。このままの状態では、次の世代へ引き継ぐことはできません。

  以上  渡邊 永治氏(意見陳述書より 抜粋)

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