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タイトル::【No.800】シリーズ島と道(1)「海上国道」
発行日::2017/03/23
本文:
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  J.I.メールニュース No.800 2017.03.23 発行 

   シリーズ島と道(1)「海上国道」

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【1】<巻頭寄稿文>

   シリーズ島と道(1)「海上国道」

         島研究家  片桐 幸雄
 

【2】<アーカイブ(過去の寄稿文)>

    3.11の原発事故後、核の取り扱いはどうなるのか?

    非核三原則は今どうなっているのか? 


    J.I.メールニュース No.300 2007.5.18発行

   【非核の意思を明らかに:政党、候補者、そして有権者への提言】
            
       東京大学客員教授 ピースプレッジ・ジャパン代表  鈴木 達治郎

   ※肩書は当時のもの 現在は 長崎大学 核兵器廃絶研究センター長


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【1】 シリーズ島と道(1)「海上国道」

        島研究家  片桐 幸雄

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最近、三つの島を訪問した。三つの島には「海水で四方を囲まれている」という以外には何の共通点もない。その一つ、淡路島に至っては、橋(明石海峡大橋)で本土と結ばれている。

もともと淡路島の北側は、明石港(明石市)と岩屋港(現淡路市、旧淡路町)との間にフェリーが運航されていた。このフェリーは「有料道路」として兵庫県が運航を始めた。

それを日本道路公団が継承し、1986年まで運航していた。特殊法人たる日本道路公団は、有料道路事業以外はサービスエリアやトラック・ターミナルという道路関連の限られた事業しかできなかった。だから実態は海運であろうと、法的には有料の「道路」として運行していた。そんなことをしてまで、フェリー事業を道路事業としなければならなかったというのは、今となっては笑い話である。

かつての一級国道(国道番号が1番から57番までがそれにあたる)は県庁所在地相互を結ぶものとされていた。その間にたとえ海があろうと、海の中の「道」でつながっていなければならなかった。

その「信念」が「海上国道」という奇妙な道路を産んだ。

神戸市垂水と岩屋の間に明石海峡大橋がかかったあとも、いまだに明石港と岩屋港を結ぶ海上の区間が神戸市と徳島市を結ぶ国道28号の区間として指定されたままになっている。その間を結ぶ「有料道路事業」が廃止されたが、道路はあるという理屈だけのことである。

この区間は実態としては先に触れたようにフェリー事業である。ただ法的には有料の道路であるから「道路の幅員」を決めなければならない。正確には、当時の日本道路公団が建設省(現在は国土交通省)に提出した事業許可申請書を見ればいいのだが、そんな昔の書類を見るのは容易でない。ぼんやりとした記憶をたどると、有料道路事業として使っていた船の最大幅員(全幅)が、道路の幅員とイコールであった気がする。フェリー事業を無理やり「(有料)道路事業」とした結果である。こんな無理に意味があったとも思えない。

兵庫県も日本道路公団も、旧建設省に道路事業としてやれと言われただけのことであろうが、海で隔てられた島を無理やり「海の中の道」で結ぶことに一体どれほどの意味があるのか。

鹿児島市と那覇市を結ぶ国道58号は、国道の一級、二級の区別がなくなったあとに指定されたものだが、実態は旧一級国道と変わらない。この国道は総延長約880kmのうち、600km以上が「海の中の道」である。

「海の中にも道はある」と叫んでも、通常の神経の持ち主には、到底理解できまい。これは、無理をするとおかしなことが起こるだけのことの一つの例であろう。

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片桐 幸雄(かたぎり さちお)

元道路関係四公団民営化推進委員会事務局次長。1948年生まれ。73年に日本道路公団に入社。主に料金設定や経営企画を担当し、2000年に総務部次長。02年から民営化推進委員会に入る。

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【2】<アーカイブ(過去の寄稿文)> 

    昨日のフォーラムゲスト 10年前のメルマガです
 
    J.I.メールニュース No.300 2007.5.18発行

   【非核の意思を明らかに:政党、候補者、そして有権者への提言】
            
       東京大学客員教授 ピースプレッジ・ジャパン代表  鈴木 達治郎

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「私たちは、人類として、人類に向かって訴える――

あなたがたの人間性を心に止め、そしてその他のことを忘れよ、と。
もしそれができるならば、道は新しい楽園へむかってひらけている。
もしできないならば、あなたがたのまえには全面的な死の危険が横たわっている。」
「ラッセル・アインシュタイン宣言」(1955年7月9日)より

2007年1月17日、上記ラッセル・アインシュタイン宣言の精神を引き継いだ核問題科学雑誌「ブレティン・オブ・アトミック・サイアンティスト」の「世界終末への時計」が12時7分前から5分前へと進められた。この時計の針が12時を指したとき、世界は終末に向かうとされている。

18人のノーベル賞科学者が含まれる科学者達は、イラン・北朝鮮問題、温暖化問題などの深刻化により、世界はより「終末」へと近づいているとの警告を発したのである。そういった中、2007年は日本の政治にとって、選挙が続く重要な年である。

しかし、数多くある選挙課題の中で、核問題が置き去りにされようとしている。

実は、安全保障専門家や政治家の間では、北朝鮮の核実験を契機に日本の核武装論や安全保障政策の見直し議論が進められている。政府が非核三原則堅持を明らかにしているにもかかわらず、党内をはじめ核武装の可能性を示唆する政治家・議員が後を絶たない。これらが、海外からの日本に対する「核疑惑」や、世界の核問題に緊張をもたらす要因となっているのだ。この様な情勢を考えると、今年の参議院選挙において、各政党、ならびに候補者、そして有権者は、各立場から非核への意思を明確にすることが重要であると考える。

私達ピースプレッジ・ジャパンは、科学者一人ひとりが、「核兵器の活動に手を染めない」誓約をする運動を1999年より推進してきた(現在、海外15カ国63名を含む184名が署名)。

このたび、参議院選挙を機に、持続可能な社会をめざすガバナンス・デザイン・ラボラトリーと共催で、「非核投票キャンペーン」を始めることとした。この運動はまず有権者が「非核三原則堅持を明らかにする候補者に投票する」旨の誓約を行う。有権者の誓約文は以下のとおりである。

 誓約

「私は、有権者として、わが国の『非核三原則』の堅持を明確にする候補者 および政党に、投票することを誓います」キャンペーンでは、誓約有権者数の数を逐次公開すると同時に、候補者・政党にアンケートを実施し、「非核三原則」堅持の意思をマニフェストとして取り上げるかどうか明確にしてもらう。候補者のデータはウエブで公表し、有権者はそれを投票の参考とする。このキャンペーンにより、政党・候補者そして有権者の「非核への意思」を明確にすることができる。

※非核投票キャンペーンは、ピースプレッジ・ジャパン(http://slideshowjp.com/doc/2794285/peace-pledge--japan )とガバナンス・デザイン・ラボラトリー(http://www.gdl.jp/)が企画中であり、6月はじめにはウエブサイトをオープンする予定(http://3nnp.jp/ )である。

皆様の積極的な参加をお願いいたします。


*鈴木 達治郎(すずき たつじろう)氏のプロフィール

1951年大阪生まれ。東京大学工学部原子力工学科、米マサチューセッツ工科大(MIT)「技術と政策」修士課程卒。工学博士。MITエネルギー環境政策センター、同国際問題研究センターなどを経て、1996年より(財)電力中央研究所社会経済研究所上席研究員。2006年より東大公共政策大学院客員教授。専門は原子力政策。

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