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タイトル::【No.797】「特ダネではないけれど(17) みんなで総合事業」
発行日::2017/03/02
本文:
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  J.I.メールニュース No.797 2017.03.02 発行 

 「特ダネではないけれど(17) みんなで総合事業」

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【1】<巻頭寄稿文>

  「特ダネではないけれど(17) みんなで総合事業」

           新聞記者     松浦 祐子 
 
【2】<お知らせ> 

   (1) 第234回J.I.フォーラム  3月22日(水)開催

     「原発」を通して 私たちの生き方、社会を考え直す
    
   (2) 今後の構想日本の活動

【3】構想日本 2017年2月の主な 政策実現活動

【4】構想日本 2017年2月の主な 新聞・テレビ等メディア掲載

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【1】「特ダネではないけれど(17) みんなで総合事業」

           新聞記者     松浦 祐子

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4月から全国の市町村で、「介護予防・日常生活支援総合事業」という事業が本格的に始まります。介護の現場では、略して「総合事業」と呼ばれています。

聞き慣れない言葉かもしれませんが、是非、みなさんが暮らしている市町村の総合事業がどのようなものか、関心を持ってもらいたいと思います。
 
2000年に始まった介護保険の介護保険料は、市町村ごとに決めることができ、介護サービスの提供と保険料負担との関係が分かりやすくなっています。
このため、当初は「地方分権の試金石」とも言われていました。

支払っている保険料に見合った介護サービスが提供されているか、地域の現状に合っているか。そういったことが、市町村ごとに、役場で、議会で、住民の間で議論されることが期待されました。

しかし、十数年が経った今、市町村ごとに主体的な介護サービスの提供ができているとは言い難いのが現状です。介護サービスの単価である介護報酬が国で決められることもあり、全国で提供される介護サービスは画一的になりがちです。国が市町村を指導し、市町村も困ったことがあれば、国に問い合わせて指示を受けるという行政のあり方も根強く残っています。

このような介護サービスと行政のあり方を、改めて変えていこうというのが「総合事業」なのです。

総合事業では元気な高齢者向けのサービスを、多様な方法で提供できるようになります。介護事業者の行うサービスに対しては、地域ごとに人員配置のあり方などを独自に決められるようになるとともに、利用料も安くすることができます。それ以上に重視されているのが、住民同士の支え合いによる活動です。市町村は、住民が気軽に集まれる居場所を作ったり、高齢者が困っていることを手助けしたりする活動を、後押ししていくことが責務になります。

一部の市町村では、すでに総合事業は開始されています。私は昨年から、勤務先の新潟県内の総合事業の状況を取材して回っていますが、これが、おもしろいのです。

厚生労働省は、「総合事業のひな型」のようなものを作っています。それに対して、ある市町村は、ひな型通りに全てができるように態勢を整えました。一方で別の市町村は「このサービスは、今の我がまちには必要がないからやらない」と一部は実施しないことを決めました。他にも「まずは、住民に総合事業について知ってもらうことが必要だから、出前講座から始める」と、ていねいに準備を進めている市町村もあります。

事業に関わる住民の側も、バラエティに富んでいます。

地域によって、農協の婦人部が張り切っているところもあれば、大規模合併を経た市町村では、旧市町村ごとに残っていた住民組織が活躍しているところもあります。住民のアイデアで、有料ボランティアへの給料の支払いは、地域の商工会で使える金券にし、地域でお金を回すように工夫をしているところもありました。

ある市では住民が地域での活動を始めるための講座を開講し参加者を募ったところ、予想を超える参加希望者がいて、市の職員も「こんなに住民の関心が高いとは思わなかった。我々は住民の意欲を分かっていなかった」と驚いていました。

一つの一つの市町村で行われている総合事業は「全国で初めての施策」といったニュースになるものではありません。でも、このような地域の歴史と住民の知恵に基づく営みが「自治」だと、私は思うのです。

私が取材した限りでは、総合事業は人口規模が小さいところの方がすでに地域の課題が共有されていて、人間関係も把握され、スムーズに進んでいるようです。
都会では、介護事業者と住民の間での役割分担などについての議論がまだ深まっておらず、自治体によっては、かなり混乱するところも出てきそうです。また、総合事業に対しては「国は介護サービスを住民にやらせて、予算を削減しようとしている」という批判もあります。

介護保険の財政が厳しいのは事実です。今のままの負担で、制度を維持していくことは難しいでしょう。

金銭的な負担の増加の議論とは別に「参加」という形で、楽しみながら負担をしていくというやり方もあるのだと考えてみてはどうでしょうか。それが、「総合事業」です。

住民がリードして総合事業を作っていく。高齢者だけでなく、若者も巻き込んでいく。そうなれば総合事業は、日本のまちづくりのあり方、自治のあり方を変えるきっかけになり得るのではないかと思っています。総合事業を育てるのは、みなさんです。

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。

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【2】(1)第234回J.I.フォーラム  3月22日(水)  

      「原発」を通して 私たちの生き方、社会を考え直す

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「原発」と言うと、イエスかノーか、とかくイデオロギー的なレッテル貼りが前面に出ます。だから有識者、社会的立場のある人は口をつぐむ傾向があります。そして、政治や行政はその対立を回避しようとする結果、私たちが一番考えないといけないことが議論されていません。

本来、原発を含むエネルギーの問題は、私たちの生き方、社会のあり方の根幹に関わることです。個々の原発の再稼働云々だけでは問題の本質に迫れません。

3人のゲストに、原発に関する基本的な事実と論点を整理して頂き、原発問題が私たちに迫っているのは何かを考えたいと思います。


  ◯日 時:2017年 3月22日(水) 18:30~20:30 (開場18:00) 

  ◯会 場:アルカディア市ヶ谷 4階「鳳凰」(千代田区九段北4-2-25)TEL:03-3261-9921
                ※場所にご注意ください 

  ◯ゲスト:神里 達博(千葉大学 教授)

        齊藤 誠 (一橋大学 大学院経済学研究科教授)

        鈴木 達治郎 (長崎大学 核兵器廃絶研究センター長)                           

  ◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

  ◯主 催:構想日本

  ◯定 員:100名

  ◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
                ※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

  ◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
         ※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

           アルカディア市ヶ谷  2F レストラン

 ※フォーラムへのご参加は3月22日(水)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

  HPからのお申し込みはこちら http://www.kosonippon.org/forum/index.php 

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(2)《今後の構想日本の活動》

2017年3月4日(土)静岡県 浜松市「防災住民協議会」(全5回中の第5回)

今年度の構想日本の『事業仕分け・住民協議会・施設仕分け実施一覧』詳細は、以下のURLよりご覧いただけます。

http://kosonippon.org/blog/?page_id=1079

 《その他》

2016年4月~隔週月曜日 京都大学経済学研究科・経済学部 特殊講義「公共経営論1・2」 (代表 加藤秀樹)

  公共政策の各論を毎回ゲストの講義で進めています。これまでのゲストは、
  株式会社もり 代表 原野守弘氏、内閣府 迎賓館長 別府充彦氏、一般社団法人瀬戸内サーカスファクトリー 代表理事 田中未知子氏、長岡京市長 中小路健吾氏、厚木市こども未来部長 小瀬村寿美子氏、元朝日新聞社 代表取締役社長 木村伊量氏、財務省 事務次官 佐藤慎一氏、株式会社マイファーム 代表取締役社長 西辻一真氏(構想日本メルマガ「農業の現場あるあるシリーズ」執筆者)、日本ポリグル株式会社 代表取締役会長 小田兼利氏、外務省 アジア大洋州局南部アジア部長 梨田和也氏、金融庁 検査局長 三井秀範氏(金融庁長官から急遽変更)、衆議院議員 岡田克也氏。

2016年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論」講義 (総括ディレクター伊藤伸)

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【3】構想日本 2017年2月の主な 政策実現活動

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<自治体改革活動>

2月4日 静岡県 浜松市防災住民協議会(全5回中 第4回)

2月5日 神奈川県 伊勢原市議会(全2回中 第1回) 

2月6-8日 新潟県 佐渡市現地調査

2月16-18日 兵庫県 淡路市現地調査

2月19日 福岡県 大刀洗町住民協議会進捗報告会

     ※その他、首長や自治体との打ち合わせ等 3件

<講演>

2月11日 NPOサポートセンター 「4時間でまるごと分かる! NPO×自治体の協働の”いま”」 (総括ディレクター 伊藤伸)

2月17日 日田商工会議所地域開発委員会講演会 「日田の現場の『チカラ』を結集しよう 自立を目指して小さく回す」 (代表 加藤秀樹)

2月19日 大刀洗町住民協議会進捗報告会 「『住民協議会』大刀洗から全国へ」(代表 加藤秀樹)

<その他>

2月3日 三重県政策創造員プレゼン 講評 (総括ディレクター 伊藤伸)

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【4】構想日本 2017年2月の主な 新聞・テレビ等メディア掲載

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2月23日 大刀洗の課題話し合う「住民協議会」委員の84%「意識変わった」初の報告会 提言を町が施策に反映 西日本新聞

2月24日 東京で「島」考える 淡路市長ら魅力や課題語る 神戸新聞NEXT

2月27日 【連載】自治・分権改革を追う 第91回 もう一つの住民票を発行する その始まりと可能性 月刊ガバナンス

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