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タイトル::【No.792】「特ダネではないけれど(16) 財政の防災・減災 惑星直列に向けて」
発行日::2017/01/26
本文:
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  J.I.メールニュース No.792 2017.1.26 発行 

「特ダネではないけれど(16) 財政の防災・減災 惑星直列に向けて」

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【1】<巻頭寄稿文>

   「特ダネではないけれど(16) 財政の防災・減災 惑星直列に向けて」

              新聞記者     松浦 祐子

【2】<お知らせ> 

   (1) 第233回J.I.フォーラム  2017年2月23日(木)開催
    
   (2) 今後の構想日本の活動

   (3) Yahoo!ニュースオーサー 新記事投稿

   (4) 構想日本「会員懇談会」 4月以降に…

【3】<活動報告>

    福岡県 大刀洗町住民協議会の様子

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【1】「特ダネではないけれど(16) 財政の防災・減災 惑星直列に向けて」

              新聞記者     松浦 祐子

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新しい年になったばかりなのに来年の話をするのは気が早いようですが、医療・介護業界では、2018年は「惑星直列の年」と呼ばれ、特別な年とされています。

社会保障のあり方に大きな影響を及ぼす診療報酬(国が定める医療の単価)は原則2年に1度、介護報酬(国が定める介護の単価)は3年に1度、それぞれ改定されます。それが6年に1度だけ重なって、「同時」に改定されることになります。18年はその年に当たります。この時には、医療と介護の双方にまたがるような大きな制度改革が行われることが多いため、その改革に向けて、今年は社会保障に関わる重要な議論が行われる予定です。このコラムでも、社会保障の話題を多く取り上げたいと思っています。

まず、日本の将来の人口推計に関する二つの「事実」を挙げます。

1.2025年には、団塊の世代が75歳以上になる。
2.40歳以上の人口は、2021年をピークに減り始める。

子どもを産むことができる女性の数が既に減ってしまっているため、移民を受け入れるなどしない限りは、大きく変えることはできないとされています。

もう少し詳しく、数字の意味を考えてみます。

1.75歳は、一人当たりの医療にかかるお金や介護費が、大幅に増え始める年齢です。医療費では64歳以下は年間約18万円なのが、65~74歳は約55万円、75歳以上は90万円に増えます。介護費では、65~74歳の約5万円から75歳以上は約47万円に増えます。
2.40歳は、介護保険の保険料を納め始める年です。

1.は、社会保障費が増える理由として、よく挙げられるものです。私が最近知ってびっくりしたのが、2.の40歳以上の人口が減り始めるという事実でした。

介護保険は、40歳以上の人と企業が支払う保険料と、65歳以上が介護サービスを使った時の利用者負担と、国と自治体の負担(もともとは、国民の税負担)で賄われています。40歳以上の人口が減っていくということは、介護保険を賄う収入が確実に減っていくことを意味します。一方で、団塊の世代の大波がやってきて、支出は大きく増えることが予想されます。このままではどう考えても、介護保険は維持できそうにないのです。

少子高齢化というと、あまりに話が大き過ぎて、どこから手をつけて良いのか途方に暮れますが、介護保険に限って見れば、少しは「現実」を実感できるのではないでしょうか。しかも、40歳が減少を始めるのは今から、たった4年後。もう、すぐそこです。

今すぐに、社会保障改革に取り組む必要があるのが現状なのです。

とはいえ、社会保障改革を進めるために若者と高齢者が対立し、分断が深まってしまっては意味がありません。そうならないためには、どうすれば良いのでしょうか。

例えば介護保険の場合、介護保険料の負担は、なぜ40歳からなのでしょうか? 

2000年に介護保険がスタートする時には、親に介護が必要になってくる40歳以上が保険料を負担することに決まりました。けれど、介護保険を導入しているドイツも韓国も、医療保険の加入者全員が原則、介護の保険料も支払います。

近年は若くして若年性認知症を発症することが分かっていますし、病気やけがで一時的に介護サービスやリハビリの支援を必要とする若い人もいるはずです。いざという時には、若者にもメリットが感じられる仕組みを整備しつつ、介護保険は将来への備えなのだと理解を求めて、若い人にも負担をお願いする。20~39歳の人口は約2800万人ですから、所得に関係なく一律に月500円の負担ならば年間1680億円、月1000円で年間3360億円ほどの財源が生まれます。

若い人に負担を求めるのだから、高齢者もちょっと頑張って自分でできることは自分で行う。地域でできることは地域でやっていく支援態勢を整えていき、介護保険にかかる総額を減らしていく。若者と高齢者が協力し合うことで介護保険が維持され、どの世代にとっても、将来に対する安心を生んでいくようなサイクルを作り出したいものです。

上記は、私独自の提案です。けれども、これくらい思い切った議論をしなければ、オリンピック後の2021年は乗り越えられないのではないかと思うのです。それまでに、惑星直列のチャンスは1回だけです。大いに議論をしてきましょう。

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松浦 祐子 (まつうら ゆうこ)

1974年 神戸市生まれ。大学院修了後、1999年新聞社に入社。和歌山、高知での地方勤務、東京での雇用、介護分野、厚生労働省、財務省担当などを経て、現在は新潟で県政を担当。

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【2】(1) 第233回J.I.フォーラム  2月23日(木) 開催 

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      島のくらしから考える

   -淡路・奥尻・佐渡の魅力、生かし方-

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日本には7000弱の島があると言われています。そして多くの島には独特の伝統文化や歴史が多くありますが、住民がむしろその文化の魅力に気づいていないことが多いと言われています。

構想日本は、兵庫県淡路市、北海道奥尻町、新潟県佐渡市の3市町の、魅力探しのお手伝いをすることになりました。国生み神話で有名な淡路市、三平汁発祥の地である奥尻町、全国能楽舞台の1/3を持つ佐渡市。受け継がれてきた伝統はとても魅力的です。一方、阪神淡路大震災、北海道南西沖地震、台風による被害など防災面での共通課題もあります。

島の「くらし」の現地調査やインタビューの報告も交えながら、3人の市町長に語っていただきます。他の地域の魅力探しにも大いに参考になると思います。

  ◯日 時:2017年 2月23日(木) 18:30~20:30 (開場18:00) 

  ◯会 場:アルカディア市ヶ谷  6階 「伊吹」 (千代田区九段北4-2-25)TEL 03-3261-9921

        ※場所にご注意ください 

  ◯ゲスト:門 康彦 (兵庫県 淡路市長)

       新村 卓実 (北海道 奥尻町長)

       三浦 基裕 (新潟県 佐渡市長)

  ◯コーディネーター:加藤 秀樹(構想日本代表)

  ◯主 催:構想日本

  ◯定 員:120名

  ◯参加費:一般 2,000円 / 学生 500円 (構想日本会員は無料です)
                ※学生の方は受付にて学生証をご提示ください。

  ◯懇親会参加費:4,000円(ご希望の方は懇親会参加とお申込み時に明記して下さい)
         ※フォーラム終了後、ゲストを囲んで、懇親会を開催いたします。

           アルカディア市ヶ谷  2F レストラン

 ※フォーラムへのご参加は2月23日(木)12:00まで info@kosonippon.org  にお願いします。

  HPからのお申し込みはこちら http://www.kosonippon.org/forum/index.php 

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(2)《今後の構想日本の活動》

2017年1月28日(土)29日(日)千葉県 富津市 「事業仕分け」(テーマ:公共施設)

   2月4日(土)静岡県 浜松市「防災住民協議会」(全5回中の第4回)

今年度の構想日本の『事業仕分け・住民協議会・施設仕分け実施一覧』詳細は、以下のURLよりご覧いただけます。

http://kosonippon.org/blog/?page_id=1079

 《その他》

2016年4月~隔週月曜日 京都大学経済学研究科・経済学部 特殊講義「公共経営論1・2」 (代表 加藤秀樹)

  公共政策の各論を毎回ゲストの講義で進めています。これまでのゲストは、
  株式会社もり 代表 原野守弘氏、内閣府 迎賓館長 別府充彦氏、一般社団法人瀬戸内サーカスファクトリー 代表理事 田中未知子氏、長岡京市長 中小路健吾氏、厚木市こども未来部長 小瀬村寿美子氏、元朝日新聞社 代表取締役社長 木村伊量氏、財務省 事務次官 佐藤慎一氏、株式会社マイファーム 代表取締役社長 西辻一真氏(構想日本メルマガ「農業の現場あるあるシリーズ」執筆者)、日本ポリグル株式会社 代表取締役会長 小田兼利氏、外務省 アジア大洋州局南部アジア部長 梨田和也氏、金融庁 検査局長 三井秀範氏(金融庁長官から急遽変更)、衆議院議員 岡田克也氏。

2016年9月~毎週木曜日 法政大学 「NPO論」講義 (総括ディレクター伊藤伸)

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(3) Yahoo!ニュースオーサー 新記事投稿

Yahooニュースにオーサーとして新しい記事を投稿しました。ぜひ御覧ください。

  代表 加藤秀樹

◇2016年12月28日 ヤフーニュース 日本にトランプ現象は起こるか(前編)
    http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20161228-00065994/

◇2017年1月5日 ヤフーニュース 日本にトランプ現象は起こるか(後編)
    http://bylines.news.yahoo.co.jp/katohideki/20170105-00066261/

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 (4) 今年の 構想日本「会員懇談会」はありません

☆毎年恒例1月の構想日本「会員懇談会」は、開催いたしません。

 構想日本が誕生して20年がたちました。

 そこで、20周年を記念した会を4月以降に開催しようと考えております。日程等詳細は、決まり次第ご連絡致します。どうぞ、お楽しみに。

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【3】<活動報告>

    福岡県 大刀洗町住民協議会の様子

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2016年度・福岡県大刀洗町の住民協議会は、1月21日が最終回でした。無作為抽出で選ばれた住民約40名※が、「防災」をテーマに10月から全4回の議論を重ねてきました。

災害の少ない大刀洗で、協議会を通して浮き彫りになったのは「災害への危機感、防災に対する日常的な関心が低い」という課題です。

これに関連して、日常生活の中にいかに防災を組み込んでいくかということや、いざという時に地域ぐるみでどう対応するのかなどについて話し合ってきました。

以下、参加住民から挙がった意見をいくつか抜粋して紹介します。

・老人会など地域行事に合わせて防災訓練を実施する。

・地域の防災情報を知らないので、何が分からないのか行政に伝えていく。

・災害時に備え、行政ではなく、地域でも住民の名簿を作れないか検討する。

・地域行事に中高生を巻き込み、災害時に若い世代を活用できる環境作りをする。

・災害時に、栽培している米や野菜などを地域に提供できるようにする。

全4回の議論を重ねる中で、参加住民の間でも「防災について家庭内で話すようになった」、「避難所や避難場所を知らなかったが、調べて実際に足を運んでみた」など、意識の変化に加え、行動の変化も芽生えてきています。

今回の住民協議会で話し合われた課題やその解決策について、どう優先順位をつけ行政に反映するのか、今後の大刀洗町に期待です。

(追伸)

大刀洗町住民協議会ですが、歴代の参加住民が有志でOB会を立ち上げることになりました。まさに住民協議会の目指す姿です。こちらも乞うご期待!

※住民票などから無作為に抽出された住民のうち、協議会に参加を希望した方々

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