構想日本

「現場みらい塾」最終回(豪華ゲスト:山崎亮氏と小林利典氏)

2月6日、7日(土、日)は「現場みらい塾」
11月の第1回から、4ヶ月間、4回6日間にわたっての開催。この日がいよいよ最終回。

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最終回は2人の「豪華ゲスト」にお越しいただきました。

1日目は、『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』や『藻谷浩介さん、経済成長がなければ僕たちは幸せになれないのでしょうか?』の著書などで有名な山崎亮(studio-L)さん。

 

2日目は、近畿経済産業局長や中小企業庁次長を歴任され、現在は株式会社商工中金執行役員の小林利典さん。

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お二方のご講義をダイジェストでお送りいたします。

 

わたしは、プレゼンのパワポをいつもつくっていないんですよね。

 

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山崎さんは、いつも講演の際にPowerPointでスライドを作成せず、
その時々で話す内容を会場のみなさんを合わせて決められるようです。
この日も、当然スライドは作成せず、会場の受講者の皆様からどんなことに感心があるかを聞かれて、お話をされていました。

 

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(受講生の方に話してほしい内容を選んでいただいたストーリーボード)

 

山崎さんは、黒松内町や箕面市下止々呂美のお話など各地での事例のお話、studio-Lの働き方などについてお話をされていました。

その中でも、黒松内町の事例が印象的だったのでご紹介いたします。

 

「ローカルルールを使ってこそ意味のある総合戦略ができるんです。」

 

北海道の黒松内町は、『車庫焼き』という家庭の車庫でBBQをする文化がとても盛んで、各家庭の車庫には必ず、「換気扇」が付いているそうです。

住民参加の総合戦略の制作を黒松内町から依頼された山崎さんは、「地元の人々を巻き込むには地元のローカルルールを使わないといけない。」と考え、黒松内町の『車庫焼き』をヒントに、ワールドBBQ(ワールドカフェの方式を真似たBBQ)を開催されたそうです。

地元のローカルルールではじめるワールドBBQは、黒松内町の住民が落ち着いて自分のまちについて話すことのできる効果が出ているとのこと。

その他、山崎さんからはいかにしてヨソモノが住民の輪の中に馴染んでいくかなど、たくさんのお話をしていただきました。

 

「『いいものは売れる』じゃなくて、『売れるものがいいもの』なんだ。」

 

PHP総研の熊谷さん、構想日本の伊藤とともに行政刷新会議で活躍された小林さん(当時、行政刷新会議総括参事官)は、現在、経済産業省から株式会社商工中金に出向されています。

小林さんは、「地域経済の活性化に向けて」をお題に日本の中小企業が抱える問題について講義。日本の中小企業が失われた20年の中でどのように努力してきたのか、中小企業の現場が抱える経営の問題など、現場で聞いた声などを織り交ぜながら話をしてくださいました。

その中でも特に印象に残ったのは、米Apple社のiPodと日本の中小企業を例として出された、日本の中小企業の意識改革について。

 

初代iPodの部品の7割は、日本の中小企業が開発していたそうです。その当時は、「いいものは売れる」の論理で日本企業は製造していました。しかし、その後iPodの部品は台湾製に取って代わられ、iPodを開発したAppleは時価総額世界一の起業になった一方で、その日本企業は当時に比べて時価総額が半分になってしまったそうです。

とてもいい技術でつくられた「いいもの」は、一時は売れるかもしれませんが、価格などの面で勝てなくなれば、買ってもらえなくなります。そのためには、企業人の意識を「いいものは売れる」の論理から「売れるものがいいもの」と切り替えることが重要だと説かれていました。

 

この小林さんのお話は、自治体経営にも共通するところがあるのではないでしょうか?

自治体にとって顧客は住民。開発者が「いいもの」と思ってるものが顧客にとっても同じとは限らなかったように、自治体が「いい政策」と思ってるものが住民にとって同じものであるとは限りません。

自治体の政策を担う、議員や行政の職員にも、「誰のための政策なのか」と政策の直接の恩恵を受ける人のことを考える必要があるのではないかと考えさせる講演でした。

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(最後には、左から『構想日本』の伊藤伸、第4回2日目ゲストの小林利典さん、『PHP総研』の熊谷さんを交え、会場の受講者とパネルディスカッションを行いました。)

次年度、第4期の開講も決定しました!

現場みらい塾第4期告知

詳細は構想日本のブログやWebサイトを通じて、近日中にお伝えします。

ご連絡、ご相談がございましたら、info@kosonippon.orgまでご連絡ください。

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