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「正解を知ろうとするだけではなくそれを考えるプロセスが重要」

現場みらい塾2日目は、松阪市の山中光茂市長とてい水まちづくり協議会の葉山和則会長による講義「松阪市住民協議会の挑戦」、元我孫子市長、元消費庁長官の福嶋浩彦さんの講義「自治をつくる」、PHP総研主席研究員の熊谷哲さんの体験「問題構造分析」。

講義に関して、私(伊藤)が一部をツイートしていますので転載します。
この2日間のキーワードは、「正解を知ろうとするだけではなくそのプロセスを考えることこそが重要」「ハード(仕組み)とOS(人間)がともに機能しなければ良い商品(政策)にはならない」「地域を作るのは行政ではなく市民」だと個人的に思います。

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現場みらい塾2日目。まずは松阪市の山中市長による講義。「各地域にまちづくり協議会を設立。無理やり作るのではなく地域が自発的に設立したところに市として支援するようにした。全国的にまちづくり協議会が停滞している。原因は一部の人だけが活動しているため。地域全体に活動が波及していない。松阪市では市長、副市長、担当職員が何度も地域に出向いて協議会の必要性や意義を伝え続けた。地域に人材はたくさんいる。ただし、市が強制的に作らせるものではない」

「『企業との明るい癒着ジャーナル』を出している。松阪市は中立性、公平性ではなく優位性を重視して企業誘致していく。例えばカラオケ事業者にカラオケ機材を地域に入れてもらい地域は利用料だけを負担する。化粧品会社に口紅の講座を無料で地域でしてもらう。その会社の口紅が売れるかどうかは市民の満足次第となる。なぜ特定の企業だけに話をするのかと指摘もされたが、違法でもなく行政のコストも抑えて市民の満足度が高まるのであれば問題ない。それが明るい癒着」

「今までは行政対住民の議論が多かったが、今の協議会は、協議会の役員と地域の住民の中、つまり住民同士での意見交換になっている。行政がすべての意思決定をするのではなく地域で決められるものは地域で決める。地域が自主的にふるさと納税を集める仕組みを作っている。寄附希望者は地域の住民協議会を支援したいか松阪市全体を支援したいかを選択し、住民協議会を選ぶと市はその協議会への交付金に加算している(地域に直接ふるさと納税の納められることは禁じられている)」

「地域づくりスポンサー賞という、企業が提示するテーマに対し住民協議会が地域住民を巻き込んで取組む優れた事業に交付金交付。企業が市によりも地域に寄付してもらうことによって地域がさらに元気になること、企業も地域と一体になれることを目的にしている」

「就任前までの総合計画の策定はコンサルに投げて、市民の意見はある意味で形式だった。就任後の策定はプロセスを大事にし、策定審議会のメンバーと住民との意見交換を行ったりした。市長の価値観よりも住民の価値観の方が正しいという考え。最後の責任は市長がとる」

「住民協議会作りは行政改革ではなく地域改革。行政の歳出削減のために地域に委ねるのではなく、地域でできることは地域で決めるための組織を作る」

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午後は福嶋浩彦さんの講義。「今の地方創生は本当にやるべきことをやるものではない。そのような取組があればなぜ今までやらなかったのか。交付金が出るから行うに過ぎない。地域消費喚起・生活支援型では全国の自治体の97%がプレミアム消費券を発行。中には創意工夫した取組をしている自治体もあるがそもそも国に言われた枠の中で行うことが地方創生とは異なる。自治体に権限を持たせることが本当の地方分権」

「自治は一人ひとりの市民から出発し市民の合意によって社会を作るもの。国の政策を地域に合うようにアレンジして実行するなら自治体はいらない。国の支所でもできる。自治体は『自治』をやるために存在する。自治をすることは自分の幸せに繋がり他の人の幸せにも繋がる」

「なぜ人口減少が大変なのか? 13万人の市が8万人に減少したら本当に不幸になるのか。今までと同じ仕組みで同じことをしようとするとできないがそれは経済成長=市民の幸せと思っているからであって、人口減少に合わせて幸せになる仕組みや行動を変えることが本来の形」

「右肩上がりだったこれまでの行政は市民の要望はすべて実現するのが基本姿勢。借金(未来の市民への増税)をしながら施設を作ったりサービスを行ってきた。これまではAは今年、Bは来年という順番決めだったがこれからはAもBもではなく「AかBか」の判断になる」

「AかBかの判断をするには市民合意が重要。例えば体育館か文化ホールかを考える時、体育館を利用している人は体育館の方が必要と言い、文化ホールを利用している人は文化ホールの歩が必要と言う。既得権(利用者)の意見だけではなくオープンの議論が不可欠。」

「高松市で行った公開施設評価。議論に参加したのは市の担当者、対象の施設の利用団体の代表者、外部(構想日本派遣メンバー)、それに無作為に選んだ市民。最後の評価は無作為の市民が行った。この評価が一つのきっかけとなってさらに深堀の議論をしている。高松の事例は、利用者(利用団体代表)、納税者(無作為抽出の市民)、専門家(外部)が一緒に議論をし決めていくというプロセスの好例」

「新しい創造のためには既得権を断固として切る必要。我孫子市長時代、既得権が補助金に繋がっていたため、一気に排除するためにすべての団体の補助金を一斉にゼロにし、翌年度はゼロから採択した。結果、既得権のある補助金はなくなった。ある特定団体にそろそろ補助金をなくしたいといっても絶対に反対する。オープンな場で全体の情報をさらけ出してその場で決めていけば、納得しやすくなる。そのプロセスが重要。」

「国の場合は政府の決定を国民が法的に関与せず選挙で選ばれた代表者が行う。国民はその評価を選挙を通じて行う。これが国のおける民主主義。一方地方自治体における民主主義は、代表者(首長・議会)だけではなくいざとなったら市民が直接行う。市民は住民投票によって首長・議会を解任できる(リコール・解散)。首長も議会も望むルールを作ってくれないと判断した場合は条例案の提案もできる。自治体の財政状況を納税者として追及ができる(住民監査請求・住民訴訟)」

「国が特定自治体に関する特別法を制定する際は、市長には権限がないが市民だけが特別法の制定に同意できる。首長・議会の意思を是正することもできる(常設型住民投票)。このように地方自治体は直接民主制の性質を持った制度。教科書的には間接民主制を補完するのが直接民主制となるが、本来は直接民主制を土台に置いた間接民主制と理解するべき。普段は間接民主制だがいざとなったら直接民主制をとる。市民参加とは間接民主制のプロセス。首長の意思決定の中に市民を入れるもの。つまり市民参加とは直接民主制ではない。今の点を混同する人が多い。最後は首長が責任をもって判断をするのが間接民主制。そのプロセスに市民の声を聞くのが市民参加。」

「自治を考える上で主権者としての市民は極めて重要。しかし、最近多くの自治体で対等なパートナーとしての市民だけを求めているのではないか。主権者としての市民は対等ではない。市民が上で行政は下の関係である。」

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