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【自治体決算カードの見方】その9:人件費

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人件費には市町村長や市町村議会議員への報酬等や職員への給与等、教育委員や農業委員、監査委員などの非常勤特別職への報酬などで構成されています。

このうち特別職等の報酬は、決算カードに定数と一人あたり平均給料月額が明記されていますので、隣接する自治体や類似団体の議員定数や報酬月額と比較することができます。なお、人件費には、報酬の他に、期末勤勉手当や共済費(共済年金への支出)が含まれ、市町村長や副市町村長には各期ごとに退職手当が支出されている場合もあります。

職員の人件費については決算カードの「うち職員給」の欄を見るとその団体の総額がわかります。人件費は、基本的に「職員数×給与単価」で算出されますが、この他に、共済費(共済年金への負担金)、退職手当が加わります。

人件費を比較する場合に、まず、職員数が適正な規模といえるかどうかを検証することが重要となります。決算カードの右上に「一般職員等」の欄がありますが、ここに当該団体の職員数が記載されています。住民基本台帳人口欄に記載の直近の人口をこの職員数で除した数値が、例えば近隣の自治体や類似団体の数値と比較してあまりにもかけ離れている場合には業務の執行方法の見直しが必要といえます。

下記の表は東京都内のいくつかの自治体の職員数と職員一人あたり市民数を比較したものです。公共施設の整備状況や業務の特殊性(例えば、特定行政庁や保健所設置の有無、大規模な市街地開発事業の実施の有無等)などから単純な比較はできませんが、業務の効率化が進んでいるかを考える契機になります。

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次に、職員の一人あたりの給与水準を比較することも重要です。

決算カードには記載されていませんがインターネットなどで「ラスパイレス指数」と検索してください。

国家公務員(一般行政職)の給与水準を「100」とした場合の当該団体の給与水準が示されますが、100を相当上回っている場合は注意が必要です。下の表は東京都内T自治体の「ラスパイレス指数」(技能労務職を除く)の状況です。平成9年度以降改善傾向にありますが、22年度では3ポイントほど上回っています。ご自分の自治体のラスパイレス指数を確認し、どのような給与構造になっているかを精査した上で、他団体と比較するなどして、適正な給与水準であるか検証してみてください。

なお、人件費を見る場合、あわせて「物件費」も比較検証することが必要です。下記の表は東京都内のT自治体の物件費の推移ですが、平成10年度の物件費のうち経常的な委託料(基本的に施設の管理委託料など)は56億円でしたが、その後減少傾向にあったものの20年度を底に、指定管理者制度の導入など公共施設の管理業務の民間委託化等により上昇傾向にあります。その反面職員数は減少しています。

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地方自治体は、厳しい財政状況にあるものの、法に基づく事業はもとより、時代の要請や住民の要望に応えて独自の施策を実施する一方、自主的な改革に取り組み職員数の削減や給与の見直しなどを行い財源の確保を図ってきています。しかし、少子高齢化などの影響から行政需要が右肩上がりにある反面、税収の増加が期待できない中では、身の丈にあった行政運営を行う必要があります。

業務の見直しを徹底して行い、行政が関わるべき事業なのか、職員を配置して実施しなければならない事業なのか、民間や住民に委ねることができないかなどの視点から、施策や事務事業の総点検を行うことをお奨めします。「もうやっている」との声もありますが、「まだまだ取り組むことができる」との声も事実です。